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ジーンズの聖地・児島のベティスミスは、日本最古のジーンズ工場。
ここの定番モデルの人気の秘密を探る!
ファッショントレンドスナップ195

2023.09.26

ジーンズの聖地・児島のベティスミスは、日本最古のジーンズ工場。<br>ここの定番モデルの人気の秘密を探る!<br>ファッショントレンドスナップ195

日本で一番古いジーンズ工場はどこなのかご存じでしょうか。リーバイスの歴史や歴代の名品モデル名はスラスラ答えられる人も、この問いに一瞬戸惑う人は多いはず。「岡山県の工場では…」と答えられる人はかなりのマニアですね。

答えは、岡山県の倉敷市の児島にあるベティスミスの工場。ここは国産ジーンズの歴史と共に歩んできたと言ってもよいような所で、1962年にアメリカ向けにコーデュロイ生地のジーンズを輸出し、3年後にはアメリカから輸入した生地やミシンを使い本格的なジーンズの製造をスタート。1970年には日本初のレディースジーンズメーカーとして旗揚げし、そのときのブランド名がベティスミス。現在の社名でもあるこの名前ですが、ベティ(ベティー)という名前はアメリカ女性の愛称としてよく使われる名前。このへんからも、レディースジーンズに特化したブランドとして、アメリカをリスペクトしつつ日本のジーンズ業界を引っ張っていこうという意気込みが感じられます。

メンズがスタートしたのは1990年からで、2003年には業界初のオーダーデニムをスタート…などなど、国産ジーンズ発祥の地、児島から伝統を守りながらも常に革新的な試みを世界に発信しています。

ベティスミス_ジーンズ2 500_1

ということで、またまたくどい前振りでしたが、今回は児島のベティスミス本社に伺いスナップを決行しました。

「ベティスミスの本社工場は、瀬戸内海に面したのどかな街ですが、世界中のVIPが訪れるジーンズ巡礼の地のひとつとなっています。

レディースのジーズからスタートしたことで、身体にフィットしたきれいなシルエットになるノウハウと、オーダーデニムで培われた日本人男性向きの万能パターンをミックスしてできたのが、今回私がはいているモデルです。

デニム ワークスというオリジナルブランドで、昔の旧式織り機を使ったセルビッチ(生地の端がほつれないようにする仕様)付きの生地に、ストレッチ機能をプラス。

厚みは、アメリカのジーズでよく使われている14オンスではなく、それよりも薄い10オンスなので、暑い日でも蒸れにくくなっています。

縫製はアメリカ製の古いミシンを使い、ビンテージジーンズのような独特の表情が製品に出るよう工夫しています」と解説していただいたのはベティスミスの広報室長の西田草介さん。

1960年代にアメリカから取り寄せたユニオンスペシャル(アメリカのジーンズ製造に使われていた業務用で現在は製造中止)というミシンを今でも修理しながら使っているのを見ると、この工場のジーンズ愛がハンパないことがよくわかります。

ベティスミス_ジーンズ3 500_2

こちらは、西田さんのヒップ側の画像ですが、ウエストがピタと体のラインに沿って合っていて、尻ぐりも余分なもたつきがなくきれいなヒップラインを作っています。

「日本で初めてレディスジーンズ専門のブランドを立ち上げ、ジーンズにカーブベルトを採用したメーカーということもあり、直線的なメンズのパターンを日本人の男性の体形にフィットするよう独自の改良をしています。

そのひとつが、腰のベルトを巻く部分がわん曲していること。こうすることで、しゃがんだときに後ろが浮いてしまうなどのデメリットを改善することができます」と、ジーンズの奥深さを西田さんがレクチャー。

実際見てわかるように、腰まわりがとてもスッキリしていて、股の部分がきれいに切れ上がっているので脚が長く見える効果も。それでいてストレッチが効いているのでタイトなジーンズにありがちなストレスはほとんど感じないそうです。

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左側の銅色の丸いパーツは、バックポケットに付けられたリベットを裏側から見たもの。表側から見るとここのリベットは生地でかぶされているため見えません。この仕様は、リーバイスが1937年〜1966年まで採用していた隠しリベットと呼ばれているものがルーツと言われています。

ベティスミス_ジーンズ5 500_4

こちらはジーンズの裾を折り返したところ。脚部分の外側の縫い目のところに、白い余白(生地の端)にオレンジの細かな糸目がはいっているのが見えるはず。これが旧式織り機で織ったセルビッチデニムの証し。

裾上げ部分の裏側にある黄色い太い糸がチェーン状になっているのも大切なポイント。アメリカ製の古いミシンで縫うと、はき込むうちにねじれが生まれ、ビンテージジーンズ独特の表情(あたり)が出ます。

ベティスミス_ジーンズ6 500_5
スリムストレート・ストレッチ・セルヴィッチデニム ¥17,600/デニム ワークス(ベティスミス)

<問い合わせ>
ベティスミス 086-473-4460
https://betty.co.jp/contact/

<ホームページ>
https://betty.co.jp/

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今回児島のベティスミスを訪問したのは、スナップのほかにも目的がありました。ここには、ジーンズの工場だけでなくジーンズミュージアム、ジーンズ作り体験施設、ベティズストア&アウトレット、ドッグランなどさまざまな施設があり、それを見学したいと考えていたので。

なかでも感動したのは、ジーンズミュージアム。ジーンズがアメリカで生まれた1800年代の本物のジーンズが展示されていたことと、アメリカのワークウエアとしてのジーンズの歴史を楽しみながら学べるところ。展示方法もいわゆるミュージアム的なお勉強的なものではなく、当時のアメリカの小屋を模した作りのなかにアメリカの古いマネキンや炭坑夫の工具などが展示され、マニアの方でなくとも見とれてしまう工夫がされていました。

ベティスミス_ジーンズ8 500_7

こちらは敷地内にあるジーンズ作り体験の施設内。体験ジーンズのラインアップから好きなスタイルを選び、ボタン、リベットを専用の機械で打ち込むジーンズ作りを体験できます。お好みのレザーパッチやワッペンなども取り付け可能で、作ったジーンズは当日持ち帰れます。(注)要予約。見学のみは無料。

ベティスミス_ジーンズ9 500_8

こちらは、ベティスミスが手がける商品が購入できるベティズショップ&アウトレット。ここにはジーンズ以外にバッグ、日用品やインテリア小物なども販売しているので、ここならではのお土産を見つけられます。

<営業時間>
3月〜11月 9:00〜18:00 12月〜2月 9:30〜17:00
 
<ベティスミス ミュージアム&ヴィレッジ>
岡山県倉敷市児島下の町5-2-70

ベティスミス_ジーンズ10 500_9

近くには瀬戸大橋が一望できる鷲羽山があります。

掲載した商品はすべて税込み価格です。

トレンドスナップのまとめはこちら

Photograph & Text:Yoichi Onishi

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