週末の過ごし方

俳優・町田啓太と考える、装う美学。
「霜月」に恋しくなるコート。

2023.11.24

俳優・町田啓太と考える、装う美学。<br>「霜月」に恋しくなるコート。

日本には四季折々に豊かな表情があり、それぞれにふさわしい「装い」がある。それは単に体感的な暑さや寒さをしのぐといった「機能」を追求するだけのものではなく、Time(時間)、Place(場所)、Occasion(場合)、つまりはTPOにそぐうものであるべき。そして、そのことに通底するストーリーを理解し装うことは、正しい「大人のたしなみ」と言えるだろう。

本連載は、一年の12カ月それぞれに季節を意識したテーマを掲げ、大人の男にふさわしいスタイルを模索しようというもの。小誌が培ってきたTPOに合うトラッドスタイルの知見と、現代を代表するファッションアイコン=町田啓太の表現力とのコラボレートにより、アエラスタイルマガジン流現代版「服飾歳時記」としてつづっていく。

大人だからこそ選びたい、
“かわいい”コート。

町田啓太03

霜降り月、霜降月が転じ「霜月(しもつき)」。諸説あるなかそう呼ばれることが多い11月だが、都内で暮らしているとさすがに「霜」を見るにはまだまだ早い気がする。とは言え、寒さが日に日に増し、厚手のコートが恋しくなってくるのも事実。そんな折に、われわれが町田のために用意したのが、霜降りグレーのダッフルコートだ。

町田啓太01

アイビースタイルのバイブルとして知られる穂積和夫の名著『絵本アイビーボーイ図鑑』(1980年刊)に、ダッフルコートについて以下のような記述がある。

『一見カジュアル用のコートと考えられているこのダッフル・コート。セグメントの厳しいアイビー・ワードローブの中で、カジュアルにもドレスアップにも両方着られる唯一のコートです』

もちろん、ドレスアップの程度によるとは思うが、確かにスーツ姿にダッフルコートを羽織る町田を想像すると、とても“サマ”になっていることが容易に思い浮かぶ。そしてカジュアルな着こなしは、今回の写真を見てのとおりだ。

町田啓太02

「学生時代、ダッフルコートにはなんとなく“かわいい”イメージがあった。当時の自分はそれを求めておらず、もっと武骨なテイストや、クールさを欲していた。でも、いまは違う。大人だからこそ、この“かわいらしさ”を楽しめる。ダッフルがもつシームレスな汎用性をたしなみたい」

町田啓太05

町田には、思い出深い1着のダッフルコートがある。それは、町田の所属事務所の創業者であり、恩師であるEXILE HIROからデビュー間もないころに譲り受けたものだ。

「駆け出しのころはお金がなく、いいモノはとても買えない。でも、いいモノに触れることでしか学べないことも多い。先輩たちはそれをよく知っていて、“お下がり”としてそういういいモノをたくさん譲ってくれた。HIROさんからいただいたダッフルもそのひとつで、譲り受けたとき、いつかこういうスタンダードないいモノを『自分できちんと選び、きちんと着たい』と心から思えた。その思いは、いまも変わらない」

町田啓太04
コート¥693,000/ジャンフランコ ボメザドリ(バインド ピーアール 03-6416-0441)、ニット¥41,800/フランチェスコ ピエリ(カヴァレリア 06-6258-7577)、パンツ¥59,400/ピーティー トリノ(PT JAPAN 03-5485-0058)、キャップ¥46,200、マフラー¥67,100/共にフェデリ(トレメッツォ 03-5464-1158

FROM EDITOR
2022年12月からスタートしたこの「服飾歳時記」も、今月で一巡。1年間ご愛読をいただいた読者の皆さまには、ただただ感謝の気持ちでいっぱいです。来月からは、2年目に突入。四季折々に寄り添うファッションの楽しさを、これまで以上にお伝えできるよう頑張ります。引き続き、アエラスタイルマガジンにご注目ください。

アエラスタイルマガジン編集長[雑誌・タブロイド] 藤岡信吾

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町田啓太(まちだ・けいた)
1990年生まれ。俳優、劇団EXILEメンバー。映画『チェリまほ THE MOVIE ~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい~』『太陽とボレロ』『ミステリと言う勿れ』、テレビドラマ『テッパチ!』(フジテレビ系)、『ダメな男じゃダメですか?』(テレビ東京)、『unknown』(テレビ朝日系)、『漫画家イエナガの複雑社会を超定義』(NHK)など話題作に多数出演。来年には大河ドラマ『光る君へ』の出演が控える。5号連続で表紙出演中の『アエラスタイルマガジン』vol.55も要チェック!

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<<「俳優・町田啓太と考える、装う美学。」一覧はコチラから

Photograph: Sunao Ohmori(TABLE ROCK.INC)
Styling: Eiji Ishikawa(TABLE ROCK.STUDIO)
Hair & Make-up: KOHEY
Edit & Text: Shingo Fujioka(AERA STYLE MAGAZINE)

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