バッグ
GREGORY&KEEN主催のツアーに参加して変わる登山の印象
ギアが違えば山登りはこんなに楽しくなる!
2024.01.15
新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)に伴い、密を避けながら楽しめるレジャーとして空前のアウトドアブームが訪れた。これまでアウトドアの「ア」の字も口にしなかったような人が、突如「マイナスイオンが……」「フィトンチッドが……」と、雄大な自然の魅力について語りだす、そんなピカピカアウトドア一年生に遭遇することが何度もあった。筆者は生まれ育った地域が山に囲まれたド田舎ということもあり、自然の魅力は多少なりとも知っているつもりだった。ゆえにこの人たちは本当に自然の魅力をわかっているのだろうか?と思うこともあった。そう、このツアーに参加するまでは……。
登山はつらいものだという記憶
昨年10月、フットウェアブランドであるKEENとバックパックブランドであるGREGORYが合同でプレスツアーを開催した。KEENのシューズ、GREGORYのザックを実際に身に着け、埼玉県にある破風山という山に登る、いわゆる登山ツアーだ。登山自体は初めての体験というわけではない。先述のとおり、山奥出身の筆者は中学生時代、学校の行事に登山があったからだ。
しかし、登山についてのイメージは「つらい」というひと言に尽きる。なぜなら中学生ながらにして2000メートル級の山を“登らされた”苦い記憶しかないからだ。学校行事ゆえに個人の自由はなく、履きつぶした運動靴で、さながら軍隊の行進のように山を登らされ、肩に食い込む重いリュックを背負い、冷えた弁当をクラスメートと震えながら食べたことは今でも忘れられない思い出だ。以来、自ら山に登ろうという気は20年以上湧いてこなかった。
いざ、山へ!
そんな筆者が今回、ひょんなことからこのツアーに参加することになった。いまやすっかりシティーボーイとなった私は直前まで山に登れるか不安だった。手元に届いたKEENのシューズ「ZIONIC」の履き心地は確かによかった。GREGORYのバックパック「ズール」も、こんなに背負いやすいのかと正直驚いた。しかし、登山に対する苦手意識は残ったままだ。迎えた当日、いささかの気の重さを残しつつ、シューズのひもをギュッと締め、荷物を詰め込んだバックパックを背負い、数十年ぶりの登山が始まった。
同行した山岳ガイドさん先導のもと、山の中に入っていく。要所、要所でちょっとした岩場や鎖場などあったが、ガイドさんが山での歩き方や、あたりに生える草木について説明してくれ、そのたびに「へえ、そうなんだ」「わー、おもしろい!」と関心しっぱなしだった。目に映る鮮やかな緑、落ち葉を踏みしめる音、草木の香り。それらはとても心地よく、中学生の頃の自分には感じられなかった感覚が、この日は驚くほど五感に染みた。
登る足取りは軽く、あれよあれよという間に、気づけば山頂。この日は天候もよく、頂上から見る景色は圧倒的で、まさに“息をのむ”という言葉がふさわしい絶景が広がっていた。疲労感はありつつも、頂上に立った瞬間に疲れは吹き飛び達成感が湧き上がる。「ああ、登山って楽しいんだ!」と心から感じた瞬間だった。
快適な山登りを生み出すアイテムたち
下山後、コテージに戻り一日履いた靴を脱ぎ、バックパックを下ろしてふと思う。「そうか、これがよかったんだ」。「ZIONIC」のホールド感、グリップ感は不安定な山道でもしっかり地面を捉え、不安定な道を苦ともしなかった。ウォータープルーフ仕様のため、多少の水たまりなどは全く意に介さず、さらに、見た目からは考えられないほどの軽さも後から思えば重要なポイントだったんだと感じた。なだらかな山道はもちろん、険しい岩場まで、「ZIONIC」は最後までしっかり足をサポートしてくれた。
「ズール」は背負ったときから、その背負いやすさに驚いたのは先述のとおり。登山中は弁当や水筒、ちょっとした着替えなど詰め込み重量は増していたが、体にぴったりフィットし、なおかつ重さを分散してくれるため、本当に楽に背負えた。背面部分はメッシュになっているため、汗はかくもののベタつくといった不快感はない。また、小さなことかもしれないが各ポケットの開閉がしやすかったのも個人的にはポイントが高い。こういうところにストレスがないというのは非常にありがたかった。
今回ツアーに参加し、登山を数十年ぶりに体験させてもらったが、振り返ってみると本当に参加してよかったと思う。初心者向けの山だったと思うが、「ZIONIC」と「ズール」のおかげで、より快適で最高の登山となった。中学生当時、感じられなかった自然の美しさや雄大さを体感できる余裕があったのは、これらのアイテムが山登りをサポートしてくれたからにほかならない。今まで「本当に自然の魅力、わかっている?」と思っていた人に謝りたい。自然って素晴らしいですよね。森って美しいですよね。空気がうまいですよね。もうすっかり登山にハマりました。
それからというもの……
その後、すっかり山に魅了された筆者は、破風山の登山以降、立て続けに2つの山に登った。ひとつは山梨県にある「竜ヶ岳」、もうひとつは神奈川県にある「大山」。いずれも高い山ではないが、それでも登っていて楽しい山だった。日頃の行いがいい筆者だからどちらの山も晴天で、いずれの山からも富士山がきれいに見えた。頂上で食べる山ご飯にもすっかりハマり、ラーメンやらおにぎりやら、こっちがメインじゃないかと思うほど充実した山ご飯を楽しんでいる。
シューズやバックパックが違うだけで、山登りがこんなにも快適なものに変わると気づかせてくれた今回のツアーには感謝しかない。だからこそ、以前の筆者のように登山に苦手意識を持っている人にこそ「ZIONIC」と「ズール」をオススメしたい。余裕が生まれることで、見える景色はガラッと変わり、足取りも軽快になる。都会の喧騒から離れ、マイナスイオンとフィトンチッドが満ちあふれる森のなかに、いますぐ行きたいと思っている自分がいる。
次の登山は春先になると思う。そのため、いまは次に登る山を探している最中だ。さあ、次はどの山に登ろうか。部屋では「ZIONIC」と「ズール」が次の出番を待っている。
問/グレゴリー/サムソナイト・ジャパン 0800-12-36910
キーン・ジャパン https://www.keenfootwear.jp/
取材協力:GREGORY & KEEN
Photograph:Kazufumi Shimoyashiki
※★はAERA STYLE MAGAZINE
Text:AERA STYLE MAGAZINE