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『ジェントルメン』
いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #70

2024.04.18

『ジェントルメン』<br>いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #70

『スナッチ』や『シャーロックホームズ』など、スタイリッシュなクライム映画のヒット作を多数世に送り出している、ガイ・リッチー監督の最新ドラマがNetflixに登場!

本作は2021年に日本で公開された、映画『ジェントルメン』のスピンオフ作品。これまでドラマ化された『スナッチ』や『ロック、ストック&フォー・ストールン・フーヴズ』では監督は務めていなかったが、ドラマでは初となる監督、脚本、製作総指揮を務め、存分にガイ・リッチー節を楽しむことができる。

英国貴族の血統であるエディは、王家を離れ軍に従事していた。しかし、父が倒れたと聞き、久しぶりに屋敷に戻ることに。兄のフレディ、妹のシャーロット、母の願いも届かず、父のハルステッド公爵は息絶えた。

遺言執行人が現れ、それぞれ家族に財産が分けられたが、肝心の屋敷や爵位については、長男のフレディではなく、弟のエディに与えると宣告された。

600年の歴史上初となるこの決断もそのはず、兄のフレディは麻薬に溺れ、ギャンブル中毒と自堕落な生活を送っていたのだ。しかもリバプールのドラッグカルテルに800万ポンドの借金まであるという。

貴族とはいえ、家業は落ち込みっぱなし、家は傷みっぱなし、現金も残されていない。そこに、父とビジネスをしていたというスージーが現れた。スージーに連れられ、農場に行くと、その地下にはなんと大麻農場が広がっていた。父がそんなビジネスに関わっていたなんて知りもしなかったエディは、兄の借金をどうにかできるかもしれないと大麻ビジネスに関わることに……。

エディが兄の借金返済のために駆け回るも、どうしても兄のフレディがなにかをやらかし、事態を悪化させていく。スリリングなアクションシーンでも、必ずユーモアのある演出が入り、血生臭いシーンがなぜか爽快なテンポ感に惑わされながらスタイリッシュになってしまうのだからすごい。

「リッチー節」を言葉にするのは、なかなかに難しいことだ。独特の間、スピード感あふれるカメラワーク、滑稽でクセの強いキャラクターたちや、豪華絢爛なセットや衣装、ほこりひとつまでもがガイ・リッチーというブランドなのだ。

長尺なドラマでは、人物描写やユーモアまで細かな作り込みができるため、ここまでも!? と見つけるのが楽しくなるほどの仕込みがたくさんちりばめられている。

人物描写にひと役を担う衣装にもかなりこだわりがあり、パーティーシーンでのスーツの着こなしや、英国貴族ならではのクラシカルな装い、いい意味で想像どおりの各国のマフィアたちにも要注目だ。クルマに関してもそうで、クラシックカーから最新のスポーツカーまで、メカ好きにとってはたまらないラインアップ。センスがいいって、こうゆうこと!と思わず叫びたくなるほどだ。

『ダイバージェント』シリーズや『アンダーワールド』で知られるテオ・ジェームズ、リッチー作品に常連のヴィニー・ジョーンズや、『スキンズ』『パイレーツオブ・カリビアン』のカヤ・スコデラリオ、『ブレイキング・バット』や『マンダロリアン』のジャンカルロ・エスポジートなど、キャスト陣も豪華!

全8話をあっという間に見終わってしまうほど、面白い。シーズン2があるのかはまだ定かではないが、続投してほしいと強く願うばかりだ。

いつでもどこでも楽しめるNetflixで配信中だが、ドキッとするシーンもあるので、電車の中で気まずくならないためにも注意が必要だ。

<<過去の「いま観るべき、おしゃれな海外ドラマ」はこちら

Text:Jun Ayukawa
Illustration:Mai Endo

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