週末の過ごし方
水上恒司、感性を刺激する旅へ。 【前編】
─マセラティ MC20 チェロを駆けらせ、八ヶ岳を目指す─
2024.05.09
実力派の若手俳優、水上恒司。本名での再出発でさらにギアを上げている。出演作が続く多忙な日々のなか、マセラティで小淵沢へワンデイトリップ。大人のリゾートでアートを発見する。
「男心をくすぐるフォルムと性能ですね」
ステアリングを握る水上恒司が感嘆の声を上げる。場所は小淵沢。八ヶ岳を望む高原にあるホテルキーフォレスト北杜のエントランスに、彼が乗るマセラティ MC20チェロが横付けされた。蝶番(ちょうつがい)を支点に上に開くバタフライドアをはじめ、未来的なスタイリングはイタリアの名門らしい王道感をいい意味で裏切っている。バイクの大型免許を持つほど運転好きな水上だけあって、「直線で500キロくらい出して走りたくなる」という憧れを込めたジョークも放つ。
「遊び心たっぷりだと思います」
グラウンドからステージへ野球少年が選んだ俳優の仕事
遊び(プレイ)は人生に欠かせない。
これはレトリックではない。そもそも「遊」の字が含む意味は意外に幅広い。たとえば遊撃は戦術にとらわれないフレキシブルな戦法を指す。遊撃手と呼ばれる野球のショートを考えればわかりやすいだろう。踏むベースはない代わりに守備エリアは広く、ボールに合わせて適確にして俊敏な動きが欠かせない。狭小な拘泥とは無縁、実力に裏打ちされた自由さがそこにはある。
水上は1999年生まれというZ世代にあたる若手ながら、これまでのキャリアはかなり多彩だ。端正な面立ちに恵まれた肢体という長所は、往々にして〝二枚目〟として役柄を狭める。だが、水上は常に挑戦を欠かさない。たとえば大ヒットした近作『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』。静かな所作に熱情を秘め、若くして空に散る特攻隊員をみずみずしく演じ、日本アカデミー賞優秀主演男優賞に選ばれた。NHKの朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の大阪の御曹司、映画『死刑にいたる病』の内に暗い衝動を抱えて謎を追う青年、『熱のあとに』では女に刺されるホストを無言のうちに演じている。役柄の幅はもちろん、主役、準主役、脇役というビリングへのこだわりも二の次。それでいて、ただ器用なだけでなく、しっかりと存在感を残す。俳優としてのスタンスは遊撃的といえるだろう。
「ものをつくる現場が好きなんです。こんなことをしたいというつくり手の思いが感じられると出たくなりますね」
もともとは野球選手を目指す高校生だったが、教師の依頼で演劇大会に出演した際の喝采が人生の行き先を変えた。岡田健史という芸名でデビューし、テレビドラマ『中学聖日記』でヒロインの相手役に抜擢。一躍注目され、次々とオファーが舞い込み、高い評価を集める若手俳優となる。事務所の退所を機に本名に戻すが、改名も勢いに水を差すことはなかった。
車名:マセラティ MC20 チェロ プリマセリエ・ローンチ・エディション
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4670×1965×1215㎜
ホイールベース:2700㎜
駆動方式:MR
車重:1750kg
乗車定員:2名
エンジン:3.0リッターV型6気筒ツインターボ
トランスミッション:8速AT
最高出力:463kW(630ps)/7500rpm
最大トルク:730Nm/3000~5750rpm
タイヤ:前245/35ZR20、後305/30ZR20
車両本体価格(消費税10%込):¥44,380,000
問/マセラティ コールセンター 0120-965-120
(9:00~18:30/年末年始を除き無休)
https://www.maserati.com/jp/ja/models/mc20-cielo
水上恒司(みずかみ・こうし)
1999年生まれ、福岡県出身。2018年にドラマ『中学聖日記』で俳優デビュー。19年『博多弁の女の子はかわいいと思いませんか?』で初主演を務める。大河ドラマ『青天を衝け』、映画『死刑にいたる病』などの演技で評価を集める。22年9月、本名に改名。映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』、NHK連続テレビ小説『ブギウギ』のほか、4月からはドラマ『ブルーモーメント』に出演する。
取材協力/ホテルキーフォレスト北杜、中村キース・ヘリング美術館
Photograph: Satoru Tada(Rooster)
Styling: Eiji Ishikawa(TABLE ROCK.STUDIO)
Hair & Make-up: Rina Kajiwara(HAKU)
Text: Mitsuhide Sako(KATANA)