週末の過ごし方

『三体』
いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #72

2024.05.16

『三体』<br>いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #72

累計発行部数2900万部以上の大ヒット作、数々の著名人も絶賛した劉慈欣(リウ・ツーシン)によるSF小説シリーズ『三体』が映像化。原作ファンはもちろん、『ゲーム・オブ・スローンズ』を手がけたデイヴィット・ベニオフ、D・B・ワイスによる製作指揮ともなれば、話題は『三体』一色にならざるを得ない。

小説と異なる設定(性別や人種が違うなど)が多少あり、熱狂的な原作ファンの感想は賛否両論あるが、1話約2000万ドルという製作費も納得のデジタル技術を駆使した圧倒的な映像美と、全世界を夢中にさせたストーリー展開は、間違いなく今年のNetflixの代表作のひとつとなったことだろう。

時は1960年代、中国では文化大革命の真っただ中、悲劇は起こった。

毛沢東を崇拝する紅衛兵と名乗る学生らが集まり、「造反有理」のスローガンを掲げ、修正主義者、反革命分子として知識人や政治家たちを迫害した。イエ・ウェンジエの父は、物理学の教授をしていたが、相対性理論を教え、国民に悪影響を与えたとして、紅衛兵によってウェンジエの目の前で殺害されてしまった。

その後ウェンジェは父親と同様に反体制派とみなされ、強制労働を強いられていた。それでも興味を捨てきれず読んでいた英字の本が見つかり、ついに刑務所送りとなってしまった。

絶望の最中、ボロボロになりながらただ生きるだけの毎日を過ごしていると、突然大きなパラボラアンテナのある軍事施設へと移送された。文化大革命以前は、天体物理学を学び、研究に勤しんでいた彼女の論文が軍の目にとまったのだ。ウェンジェの専門性が必要だと言われ刑務所暮らしから一変、ある計画のために、ここでの暮らしが始まった。

そのある計画とは、地球外生命体とコンタクトを取るという国の極秘プロジェクト。そこでウェンジェは、上の者らに禁止された自らが考案した方法で通信を無断で行い、得体の知れない存在とのコンタクトに成功してしまった。しかし、自身の立場が危うくなるのを恐れ、成功したことは報告せず胸の内に秘めておくことに……。

時は現代、イギリスでは、科学者たちが次々に自殺するという不可解な事件が起きていた。オックスフォード大学で学んだ5人の仲間たちの恩師も、同様に突然自死してしまった。

恩師の葬儀に向かう途中、オギーは列車内で何かのカウントダウンのような、不思議な幻覚を見ていた。疲れているせいなのか、精神的な問題なのか、刻々と0へと迫る数字に怯える。

研究に行き詰ってはいたが、そんな理由で死を選ぶ人ではないと疑問に思ったジンは、納得できる理由を探りに恩師の家へと向かった。迎え入れてくれた母親と話していると、「最近はゲームをしていた」と見たこともないVRデバイスを譲り受けた。ヘッドセットのようなものをかぶってみると、そこにはあらゆる災害から世界を救う壮大なゲームの世界が広がっていた……。

物語は、恩師の死をきっかけに再集結したオックスフォード大学の仲間5人の物語と、天体物理学者イエ・ウェンジエの物語と、現在と過去を行き来しながら進んでゆく。過去のちょっとした得体の知れない謎の存在とのコンタクトが、現代に脅威となって現れる。その存在は本当に脅威なのか? 私たちがすべきこととは? 混乱しながらも、国の諜報機関と共に5人は自身のできることを探ってゆく。一見バラバラに見える各々のエピソードは、すべてひとつの謎の存在へとつながる。

専門的な知識が必要なのでは?という懸念を、視覚で解決できるよう見事に映像化した本作。これでもかとVFXをぜいたくに使用した映像は、映画館で鑑賞したい!と思えてしまうほど美しい。

映像美に加え、5人の仲間たちの恋愛や日常もしっかりと描き、SFドラマでありながらもより身近に感じることができ、さまざまな方向から楽しむことができる。

「三体」が伝えたいこととはなにか?

得体の知れない存在に対して、科学を駆使した破壊兵器を用いて対抗しようとする人間の愚かさを描いているようにも思える。科学の進歩が、意図せず間違った使われ方をしてきたことは、歴史が証明しているがゆえに、自分たちは正しいことをしているのか?と葛藤している姿は、現代の私たちにも通ずるものがある。

学者VS地球外生命体というSF作品は多く存在するが、「本当に起こるかもしれない!」というロマンであふれている。おそらくこのドラマを観た人たちは、すぐに原作小説が読みたくなったり、気になった専門知識を得ようと夜な夜なネットサーフィンをしたりしてしまうに違いない……。

そんな知的好奇心がくすぐられること間違いなしの「三体」はNetflixにて配信中!

<<過去の「いま観るべき、おしゃれな海外ドラマ」はこちら

Text:Jun Ayukawa
Illustration:Mai Endo

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