特別インタビュー
日本イチのダンディー&セクシーがカムバック!
舘ひろし、柴田恭兵、土屋太鳳、
映画『帰ってきた あぶない刑事』への思い
2024.05.30
ドラマ放送開始から38年、劇場版最新作から8年――。あの『あぶない刑事』の二人が帰ってきた!
伝説の『あぶ刑事』、8年ぶりに映画化
舘ひろしさん演じるタカ(鷹山敏樹)、柴田恭兵さんが演じるユージ(大下勇次)主演の『あぶない刑事』の伝説が始まったのは、38年前。放送当時のドラマ最高視聴率は26.4%、ロケ地の横浜が人であふれかえり撮影が中止になることもあったそうだ。そんな社会現象を巻き起こした「あぶ刑事」に、また劇場で会える。最新映画『帰ってきた あぶない刑事』が5月24日から公開された。
唯一無二のエンターテインメントをつくりあげてきた背景や当時の裏話、さらにはいい男の条件などなど、主演の舘ひろしさん、柴田恭兵さん、そしてニューヒロインを演じた土屋太鳳さんに作品への思いを聞いた。『帰ってきた あぶない刑事』での役どころにも通じる、仲むつまじい雰囲気と共に、どうぞ。
――8年ぶりに『あぶない刑事』を作ると知ったときの気持ちは?
舘:前作の『さらば あぶない刑事』(『あぶない刑事』劇場版シリーズの第7作)で終わったと思っていたので、もう一回、恭サマと演じることができるのは、すごくうれしかったですね。タイトルの“帰ってきた”が最初はしっくりこなかったけれど、撮り終えた今はぴったりだったなと感じています。
柴田:僕は最初「もういいでしょう」って言っていたんですけれど、「今回、“娘かもしれない人物”が出てきます」と聞いたときに、そういうお芝居ができるのは面白いなと思いました。今までタカとユージはプライベートなことをあまり出してこなかったので。まさかこんなステキな娘が出てくるとは思いませんでしたね。
土屋:お話をいただいたとき、私は「なんとしてでもやりたい!」と熱望しました。昔、私が役作りで悩んでるときに母から『あぶない刑事』を見るように勧められたことがあったんです。あの『あぶない刑事』の世界に入れるかもしれないというのが、とてもうれしかったです。
舘:お母さん、間違った教育をしたね(笑)。
土屋:実際に娘役を演じた感想は、たぶん、みなさんが想像している以上に……最高でした! スタッフさんと俳優部でお互いを尊重しながら、意見を出し合える現場で。私が言うなんておこがましいのですけど、すばらしい現場でした!
唯一無二のエンターテインメント
――『あぶ刑事』は刑事ドラマにおけるサスペンスやアクションという要素に加え、時にスタイリッシュに、時にコミカルに描かれていて、それが唯一無二のエンターテインメントを作り上げている。台本にはないが、柴田さんがアイデアを出して舘さんと現場で調整したセリフもあるそう。
柴田:台本はあってないようなものなのでね。
舘:恭サマは、ほとんどそうですね。ちゃんと真面目にやったのは、僕ぐらいなんですよ(笑)。
柴田:(笑)。
舘:恭サマが「こう言ってください、僕がこう言いますから」って、もう恭サマはほとんどプロデューサーです。二人のシーンはすべてが見どころですよ。
土屋:最近そういう映画ってなかなかないんです。役者陣がアイデアを出すってすごく大切なんだなってあらためて思いました。
柴田:「あぶ刑事」は、最初から「鷹山」はまんま「舘さん」なんですよ。だから役作りや台本があっても、「自分がやりたいことがいちばん大事」。舘さんはダンディーな存在で、そこは崩れませんからね。もう全部OK、何してもOKなんですよ。
舘:建物で言うと僕はたぶん土台なんです。その上でデザインしていくのが、「柴田恭兵」なんだと思います。パイロット版(1986年)を撮られた長谷部安春監督が僕に求めたのは、たぶんそれだったんですね。恭サマの軽快なお芝居に憧れたこともありましたが、監督に止められて。最初の映画の公開日(1987年)に、監督が僕に「“舘さん”で『あぶない刑事』を撮ってた」と言うんですよ。土台を作って、作品が揺らがないようにしていたそうです。
土屋:でも舘さん、揺らいでるときありました! 面白すぎて笑ったりして。
一同:(笑)。
舘:もうね、NGを何度出したことか(笑)。昔は、後ろを向いているけど背中は笑っている、みたいなことがよくありましたね。ベンさんや恭サマ、中条さん(※)とかいて、みんなもう面白くて!(※ベンガルさん、中条静夫さん)
ド派手なアクションシーン
――キャバレーでの銃撃戦やコンテナヤードでの攻防戦、さらにタカがハーレーに乗ってのショットガン、ユージの華麗な走りとレパードのドライビングなど、「あぶ刑事」ファンが喜ぶアクションシーンも満載だ。
舘:僕にとってハーレーに乗ってガンを撃つアクションはもう自転車と一緒で、どうってことないんです。ほら、西部警察とか石原プロで育ってますから。ただ実際に僕が運転をしているので、命懸けですよ。
柴田:今回の舘さんのハーレーのシーンは、今まででいちばんかっこいいなって思います。もうね、「待ってました!」という感じ、拍手を送りたいぐらい! 今回のユージは、僕が覚えてるなかでいちばん速く走ってます。太鳳さんのアクションシーンも「タカの娘かな?」「もしかしたらユージの娘かもしれない」と思わせられて、ステキでしたね。
土屋:本当にうれしいです。あの……運動神経が良くてよかったって(笑)。私は普段から走っているんですが、ユージと走るシーンでどのくらいのスピードで走るのがいいかなと思ったんですね。
柴田:あ、僕に気を使ってくれたのね?
舘:じじいが走るからね?
土屋:いえいえ、私もタッグを組むつもりで走るぞと意気込んでいて。テストの「よーい、スタート!」の声でガーッと走ったら、ユージがビューーーッ!!と走っていて、追いつこうと思っても距離が縮まらなかったんです。恭兵さんは「遅いと思ったでしょう~」って余裕で。あの速さはすごく印象に残っています。
――タカとユージは「ダンディー鷹山」「セクシー大下」とも称されるダンディー&セクシーコンビ。年齢をまったく感じさせない二人の考える“いい男”の条件とは?
柴田:優しさ。
舘:わからないなぁ。憧れたのはジェームズ・ボンド、ショーン・コネリー、あとはスティーブ・マックイーン。そんな俳優になれたかというと、実際は全然。
柴田:舘さんは持って生まれたダンディーさが魅力ですよ。小さなころから、ダンディーだったと思う。
舘:絶対そんなことないと思うよ(笑)。恭サマはこのまま。お芝居の軽快さ、僕にはまったくないものをもっている、思いがすっと入ってくる演技。……天才!
――ピンチをよりピンチにする真山 薫役の浅野温子さんや横浜港署捜査課課長の町田 透役の仲村トオルさんなど、おなじみのメンバーも健在。チームを導き、いい作品を作る秘訣(ひけつ)は?
柴田:テレビシリーズが始まってから、みんなでプライベートで食事や飲みに行ったことが1回もないんです。舘さんとは年に1回ぐらいゴルフをすることはあるんですけど。そのせいかタカ&ユージ、薫、透の関係もずーっとそのままなんですよ。お互いに尊敬し合っていて、会う度に新鮮だし、その距離感でやってきたのもよかったのかなと思いますね。
舘:お互いがすごくリスペクトしているのはありますね。「舘さん、CM見たよ」って恭サマが言ってくれて、僕は恭サマの演じる時代劇を見て「いいな」と思っていたり、トオルの俳優としての生き方みたいなものに「いいな」と思ったり。
土屋:私としては、舘さんと恭兵さんは、「心づくり」がうまいんだなって思っていました。現場のスタッフさんの心を育てていき、作っていく――。そういう作業がすごくお上手で、疑似家族になれるんです。だから、映画を見にきてくださる方々も絶対に後悔しないなっていう自信があります!
『帰ってきた あぶない刑事』5月24日から全国ロードショー
監督:原 廣利
脚本:大川俊道、岡 芳郎
プロデューサー:近藤正岳
出演:舘 ひろし、浅野温子、仲村トオル、柴田恭兵
土屋太鳳
西野七瀬、早乙女太一、深水元基
ベンガル、長谷部香苗、鈴木康介、小越勇輝/杉本哲太
岸谷五朗/吉瀬美智子
公式サイト:https://abu-deka.com/
配給:東映
(土屋さん)ビスチェ¥41,800/08サーカス(08ブック 03-5329-0801)、イヤーカフ¥20,900、パール付きチョーカー¥29,700、バングル¥39,600、シルバーリング¥22,000/イー・エム(e.m.表参道店 03-6712-6797)、チェーンネックレス¥39,600、ゴールドリング¥34,100/リューク(リュークinfo@rieuk.com)、ジャケット/スタイリスト私物
Photograph: Ari Takagi
Styling:Yuri Nakamura(Hiroshi Tachi)、Kensuke Furudate(Kyohei Shibata)、Miku Ogawa(Tao Tsuchiya)
Hair & Make-up:Kayo Iwabuchi(Hiroshi Tachi)、Kumiko Sawada(Kyohei Shibata)、Izumi Omagari(Tao Tsuchiya)
Edit & Text: Tomoko Komiyama