週末の過ごし方
もしもロサンゼルス出張が入ったら?
最新LA街歩き。
2024.07.02
海外出張、それはビジネスパーソンの醍醐味(だいごみ)。空港独特の匂いに始まり、車窓からの異国の街並み、ミーティング前の緊張感……どれもが非日常的で、そして仕事終わりに待ち受ける一杯は最高にエキサイティングだ。こちらの「もしも○○出張が入ったら?」では、元・地球の歩き方のトラベルエディターが海外出張の隙間時間に役立つ遊び方を紹介。vol.3の舞台はカリフォルニア、ロサンゼルスだ。
今、ロサンゼルスで日本人が一番見たいものといえば、2024年より大谷翔平が加入した「ロサンゼルス・ドジャース」だろう。私もロサンゼルス出張の日程が決まった瞬間、航空券やホテルよりも先に、ドジャースのホームゲームがあるか調べてしまったほどだ。
MLB(メジャーリーグベースボール)は、まずレギュラーシーズンが例年3月後半〜9月末頃まで行われ、ポストシーズンに進出するとさらに10月末から11月頭まで試合が続く。試合数はレギュラーシーズンだけで年間162試合と多いため、実はかなり観戦のチャンスがある。またドジャースのホームスタジアム「ドジャースタジアム」はコンベンションセンターから近く、平日はナイトゲームが一般的なので、DTLA(ダウンタウン・ロサンゼルス)近辺で働くビジネスマンなら仕事終わりに駆けつけても十分間に合う。
野球にまったく興味がない方でも、ドジャースタジアムでの試合観戦は十分に楽しめるものだ。かつてのドジャースオーナー、ピーター・オマリー氏は、「球場はガールフレンドを連れて行きたくなる場所でなくてはならない」と言ったそうだが、そのせいあってか球場内はいたって安全&清潔。試合の合間にはスクリーンを使ったクイズなどの余興も行われ、ファンを盛り上げてくれる。またMLBでは試合前にアメリカ国歌を、そして7回裏前には野球ファンにおなじみの歌「私を野球に連れてって!」を観客全員で大合唱する。実際に生で聴くと鳥肌ものなので、離席して見逃さないよう気をつけてほしい。
チケットはドジャースの公式サイトから購入可能で、完売しなければ当日券も発売される。英語での購入が不慣れな方は、オンライン予約サイトKlookだとすべて日本語で予約することができる。実際に私も利用したが、PayPayや日本のクレジットカードでも支払いでき、座席の区分もバジェット・レギュラー・プレミアムの3タイプのみとわかりやすい。値段は公式サイトで買うよりも少し高いが、在庫管理が別のため公式サイト上で表示されていないブロックもKlookでなら買える可能性もある。手段のひとつとして覚えておくとよい。
出張期間中にあいにく試合がなくても、スタジアムツアーに参加してみてはいかがだろう? 歴代の名選手のユニフォームや数々のトロフィーのほか、1959年にドジャースがまだロサンゼルス・メモリアル・コロシアムをホームスタジアムにしていた際の貴重な写真や、1962年当時のスタジアムチケット(フィールドレベルの良席がなんと$3.50!)、また1962〜2012年まで実際に使っていた木製のロッカーを再現したコーナーなどを鑑賞し、ドジャース栄光の歴史を垣間見ることができる。
ツアーは約75分間の内容で、毎日催行(デイゲーム開催日以外)。10時から15時まで(ナイトゲームのある日は13時まで)、1時間おきに出発し、値段は大人が$30、14歳以下の子どもや55歳以上のシニアは$25(3歳以下は無料)。月・水・金・日の10:30〜と12:30〜は日本語ツアーもある。
もし“いかにもカリフォルニア”という雰囲気を味わいたいなら、サンタモニカピア(桟橋)へ足を運んでみよう。目の前に広がる広大な砂浜と太平洋。ビーチ沿いならではの開放感があり、海風が吹く分、DTLAより気温が2~3℃涼しいことも珍しくない。車がないと不便なロサンゼルスだが、サンタモニカは地下鉄エキスポラインの駅があるのでアクセスもしやすい。
また、サンタモニカはアメリカ初の国道ルート66の終着地点としても知られている。シカゴとサンタモニカを結ぶことで西海岸の発展に大きく寄与し、アメリカの映画や音楽、小説などにも文化的象徴として無数に描かれてきたルート66。現在は一部が廃線となってしまっているが、ここから約4000km、大陸横断のロードトリップに思いをはせてみるのもアメリカならではの醍醐味と言えるだろう。
時間に余裕がある方は、桟橋のレンタサイクル店で自転車を借り、ビーチ沿いのサイクルロード「マービン・ブラウード・バイク・トレイル(通称ストランド)」を走るのもおすすめだ。カラっとした気候のなか、海を眺めながらのサイクリングはこれ以上ない爽快感を味わえる。途中、ベニスビーチでの筋トレや、ウィル・ロジャース・ビーチでのビーチバレーなど、エリアで過ごし方が異なる様子を眺めるのも面白い。
桟橋にある小さな遊園地「パシフィック・パーク」は、入場料は無料で、乗りたいアトラクションごとに支払う仕組み。世界初の太陽光動力の観覧車に乗れば、天気がよければ南側にはベニスビーチやその先のマリーナ・デル・レイ、北側にはマリブの山々も一望できる。
桟橋にはレストランがいくつも軒を連ね、どこに入ろうか迷ってしまうが、もしひとり$100以上の予算が許されるのであれば、入り口ゲートすぐ横の「The Lobster」が眺望もよく、プリプリの絶品ロブスターが味わえておすすめだ。
ピアからダウンタウンに向かえば、ショッピングモール「サンタモニカ・プレイス」やショッピングロード「サードストリート・プロムナード」があり、ハイブランドからファストファションまで本格的な買い物もできる。出張でなければまる一日でも過ごせてしまうのがサンタモニカの魅力だ。
治安面を考慮すると、あまり夜遊びはおすすめできないロサンゼルスだが、ここならば安全と断言できる場所がある。それはアナハイムにあるディズニーランド・リゾートだ。DTLAあたりからだと距離的にも意外と近く、UBERやレンタカーで30〜40分ほど(交通状況による)でアクセスできる。
敷地内には「ディズニーランド・パーク」と「ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー・パーク」の2パークがあるが、特にディズニーランド・パークは通常朝の8時から夜の0時まで開園(ただし日によって23時。詳細は公式サイトにて確認を)しており、私自身仕事が終わって夕方から駆けつけたことがあるが、数時間の滞在でもかなり満喫することができた。
ディズニーランド・パークでは、せっかくなので東京ディズニーランドにはないものを体験したい。なかでもおすすめなのは、ここカリフォルニアとフロリダにしかないテーマランド「スター・ウォーズ:ギャラクシーズ・エッジ」だ。映画『スター・ウォーズ』の世界を細部まで完璧に再現したエリアで、2019年5月に「ミレニアム・ファルコン:スマグラーズ・ラン」、2020年1月に「スター・ウォーズ:ライズ・オブ・ザ・レジスタンス」の2アトラクションが完成。今なおパーク内で高い人気を誇り、待ち時間も長めとなっているが、スタンバイ列に並ばずに済むライトニング・レーンもあるので、時間がない人は有料で利用する価値が十分あるだろう。
ちなみに同エリア内にはファーストオーダーの指揮官、カイロ・レンがストームトルーパーを従えて巡回していたり、TVドラマシリーズで人気のマンダロリアンやアソーカ・タノ、そしておなじみのウーキー族のチューバッカやアストロメク・ドロイドR2-D2も頻繁に登場したりするなどキャラクターとの遭遇率が高い。ショップではジェダイになりきれる全身コスチュームを販売しているので、世界観に入り込んで記念撮影するのもよい。
カリフォルニアのディズニーランドでは、2パークを行き来できる「パークホッパー」というオプションを付けることも可能。時間さえ許せば、アドベンチャー・パークの「ラジエーター・スプリングス・レーサー」や「インクレディコースター」「グリズリー・リバー・ラン」など、絶叫系のアトラクションも楽しみたい。ディズニーの魔法で仕事の疲れも一気に吹き飛ぶはずだ。
両パークとも夕方以降のアトラクション待ち時間は日中と比べると短めだし、日中の強い日差しを避けて回る夜のテーマパークの心地よさは、一度体験すると病みつきになる。レストランは混み合うが、こちらは公式のアプリやウェブサイトから予約が可能。うまく活用してスマートに回りたいところだ。
円安ドル高が厳しい昨今、おみやげ購入にアウトレットを活用するのも手。比較的行きやすいのは、ロサンゼルス市内にある「シタデル・アウトレット」か、ビバリーヒルズからもほど近い「ビバリー・コネクション」あたりか。前者はナイキやコーチなどアメリカで定番のショップが120ほど入るアウトレットモールで、ユニオンステーションなどから無料のシャトルバスが運行している。後者はビバリーヒルズやウェストハリウッドといった高級ショッピングエリア近くにありながら、ノードストローム・ラックやマーシャル、TJマックス、サックス・オフ・フィフスといったオフプライスショップが一堂に会しており、利便性抜群。スーパーマーケットのターゲットもあるので、ばらまきみやげを探すこともできる。
ちなみに個人的にイチオシのアウトレットは「カマリロ・プレミアム・アウトレット」。バスなどのアクセス手段がないため、買い物に行くのはレンタカーが必須となるが、ロサンゼルス随一の規模を誇り、160と店舗数も多いため、「本気で買い物をするならカマリロ!」と決めている。
小さなお子さんへのロサンゼルスみやげを探すなら、ドジャースグッズがスタジアムより安く購入できる「ドジャース・クラブハウス」や、こちらもテーマパークで買うよりお得な「ディズニー・ストア・アウトレット」あたりが定番。ただし、これらはシタデル・アウトレットにもあるため、カマリロまでせっかく来たのであれば、カリフォルニア発の子ども服ブランド「ジャニー・アンド・ジャック・アウトレット」を推したい。高品質でセンスのよい子供服は定価だとなかなか高価だが、ここなら25〜60%オフで購入可能。
また「グッチ」や「ヴェルサーチェ」「ジミーチュウ」といったおなじみのハイブランドだけでなく、日本からは撤退してしまった「ザディグ・エ・ヴォルテール」や「エージー(アドリアーノゴールドシュミット)」なども入っており、大人も本気で買い物を楽しめるアウトレットだ。
そんな今回のロサンゼルス出張は、羽田空港から発着するデルタ航空の直行便を利用した。デルタ航空は2020年にすべての日米路線を羽田空港に集約。都心から圧倒的にアクセスのよい羽田に路線を集約し、2022年には米系航空会社で唯一となるラウンジ「デルタ スカイクラブ」もオープンしたことで、出張者がより積極的に利用したくなる航空会社となった。
2024年6月現在、羽田〜ロサンゼルス間は最新鋭機のAirbus330-900 neoかAirbus350-900が就航しているが、これは従来と比べて約25%燃料効率の良いサステイナブルな機材と言われている。機内でも100%リサイクルペットボトル素材の寝具や、再利用可能な生分解性素材の食器を導入し、ナイフやフォーク、アメニティキット「Someone Somewhere」でもプラスチック製品を極力排除するなど、環境へ配慮したアクションに積極的だ。
デルタ航空の羽田〜ロサンゼルス便に搭載されているシートクラスは、エコノミークラスにあたる「メインキャビン」、メインキャビンよりシートピッチが約10cm広くリクライニング角度が1.5倍となる「デルタ・コンフォートプラス」、さらに広いシートピッチ(最大約96.5cm)や調整可能なフットレスト&レッグレストが魅力のプレミアムエコノミークラス「デルタ・プレミアム・セレクト」、そしてビジネスクラスの「デルタ・ワン」の4タイプだ。
今回搭乗したのはプレミアムエコノミークラスに相当する「デルタ・プレミアム・セレクト」。グロウン・アルケミストのスキンケア製品が入ったプレミアムアメニティや、ノイズキャンセリング・ヘッドセットなど、よりリラックスできるよう上質なサービスが満載。機内食はメイン料理が3種類のなかから選べ、アプリから事前に予約することができた。内容・食器ともにグレードが高く、個人的にはビジネスクラスに近いと感じるシートクラスだった。シートには個人用にUSBと電源が完備されているので、PCやスマホなどの充電にも困らなかった。
ちなみにデルタ・プレミアム・セレクト搭乗者は、優先チェックインや優先搭乗、手荷物優先取り扱いなどが享受できるスカイ・プライオリティの対象。搭乗以外の時間でも余計な疲労を軽減してくれる。もしスカイマイルのゴールドメダリオン会員以上の資格があれば、空港ラウンジを利用できる。
出張とはいえ、せっかくやって来たロサンゼルス。仕事以外の時間で思い切り満喫したとしても、それくらいのオン・オフの切り替えはアメリカではスタンダード。限られた時間をうまく活用し、ぜひともロサンゼルス滞在を満喫してほしい。
取材協力:カリフォルニア観光局、Klook、デルタ航空