カジュアルウェア
ラルフ ローレンのコレクションのなかで
コレクターアイテムにまでなっている人気のセーターとは?
ファッショントレンドスナップ207
2024.12.25
過去50年の間で、日本のメンズファッションに大きな影響を与えた海外デザイナーは?
あなたは、誰を思い浮かべますか。個人的には、このふたりの存在は衝撃的で、そのスタイルは社会現象にまでなり、日本のファッション史のなかで黒船来航的な衝撃がありました。
私の答えは、アメリカのラルフ・ローレン(85歳)とイタリアのジョルジオ・アルマーニ(90歳)。
※もちろん、ファッションに興味を持った年齢やモード、ストリートなどのファッションのジャンルによって、挙げられる名前は変わってくると思います。あくまで個人的な感想ですのであしからず。
ラルフ・ローレンはポロという名前のネクタイブランドを1967年にスタート、幅広のネクタイがニューヨークで爆発的ヒット。翌年にはメンズウエアを発表。ブランド名の由来はイギリスが起源の乗馬競技で、ブランドのアイコンとして今も愛されています。
日本では、この刺しゅうが入ったポロシャツが1980年代後半に大ブーム。それまで、他ブランドのものがいくつかありましたが、百貨店などで見るとおじさん向けのスポーツウエア的なイメージが漂っていました。そこに新旋風を巻き起こしたのが、ラルフ・ローレンがデザインしたプレッピースタイルのポロシャツ。カラフルであらゆるシーンで着ることができて、エイジレスなファッションアイテムとして瞬く間に日本中に広がりました。
ジョルジオ・アルマーニは、1975年に自身の名前を冠したブランドを設立。1980年代後半の日本のバブル景気を背景に、スーツなどのドレスクロージングのトップブランドに上り詰めます。それまでの日本のインポートのメンズファッションの主流はイギリスやアメリカのブランドがほとんど、イタリアのブランドはファッション業界の一部の人が知っているくらい。
そんな状況が、ジョルジオ・アルマーニによって一変。各メディアがトレンドのスーツ、人気No.1のデザイナーとして取り上げた結果、イタリアンテーラードの超高額スーツが全国に広まります。これを機に、日本にさまざまなイタリアブランドが流入し、メンズファッションの新勢力としてシェアを広げることに。
今回も前置きが長くなりましたね。今回は、ラルフ・ローレンが生み出した人気アイテムのなかでも、隠れた名品と呼ばれているものにフォーカス。
それは、ネイティブアメリカンの織物に使われている柄をセーターに落とし込んだシリーズ。世界のファッションデザイナーのなかでこの柄を、コレクションに継続的に使っているのはラルフ・ローレンだけではないでしょうか。
※ペンドルトンなどの専業メーカーは除く
このシリーズは、1981年に「サンタフェ」と名付けられ発表され、日本でも話題に。コンチョベルトやウエスタンシャツといったアメリカのルーツとも言えるアイテムを彼独自の感覚でブラッシュアップし、都会でも通用するスタイリングを提案。これを機に、ドレスの分野はイギリス調、カジュアルはプレッピー調というラルフ・ローレンのデザイン ベースに新しいジャンルが定着し、この三本柱がブランドの人気を支えつづけています。
今回は、海外の有名デザイナーも訪れるという古着、ビンテージウエアの街、東京の高円寺へ。ここにラルフ・ローレンを愛する人なら、訪れるべき聖地「サファリ高円寺2号店」があります。店内にはユーズド(古着)のポロ ラルフローレンやRRL(ダブルアールエル)、ローレン、ポロ スポーツなどなど、数多くのラルフ・ローレンゆかりのブランドが集められています。
※ブルックス ブラザーズやネイティブ アメリカンのアクセサリーなどなど、アメトラ系アイテムも充実
なかでもネイティブアメリカン柄のものは、圧巻の品ぞろえ。スタッフの酒井優希さんにこのセーターの魅力とコーディネートを解説していただきました。
「ネイティブアメリカン柄のものは、セーター以外にもシャツやジャケットなど幅広く集めています。年齢、性別を問わず人気のあるものですが、ラルフ・ローレン初心者の方には、ちょっとハードルが高いな……と感じる方もいらっしゃいますが、徐々にこのアメリカならではのデザインにはまっていくようです。着こなし方のポイントは、インナーとパンツ。私は、色落ちしたダンガリーのヘンリーネックのシャツを合わせ、パンツをヴィンテージのやや太めのシルエットにすることで、自分らしい着こなしにまとめています」と酒井さんが解説。
店内にはネットには掲載されていないサファリの、お宝と言えるものが詰め込まれているので、ラルフ・ローレンのファンであれば、サファリ高円寺2号店に巡礼することをお勧めします。
今回私が特に感動しピックアップしたのが、手に入れやすい価格のもの、タートルネックの珍品、貴重な手編みの名作の3点。
ちなみに、こちらのスナップは、イタリアのフィレンツェで開催されるメンズファッションの見本市「ピッティ ウオモ」でスナップしたもの。
ネイティブアメリカン柄のショールカラーカーディガンにデニムを持ってきても、首元にバンダナ、ニットキャップをプラスすることで、ラギッド感満載のアメリカンスタイルとはひと味違う仕上がりになっていますね。バンダナをしなければ、日本でもトライしやすいスタイルだと思うのですが、いかがでしょうか。
サファリ高円寺2号店
住所/東京都杉並区高円寺南3-47-8 1階
営業時間/13:00〜20:00
TEL/03-3316-5766
https://e-safari.co.jp
Photograph & Text:Yoichi Onishi