週末の過ごし方
早いばかりがいいわけではない、便利ばかりがいいわけではない。
AERA STYLE MAGAZINEは、ゆっくりと進化を続けていきます。
2025.01.01
明けまして、おめでとうございます!
アエラスタイルマガジンは、WEB、雑誌、タブロイド、SNS、ポッドキャスト、イベントを通じて、さまざまな発信をしています。2008年に創刊してから17回目の新春を迎えますが、ニッポンのビジネスパーソンを応援する思いはずっと変わりません。読者の皆さまから、ビジネスウエアの着こなしの参考にしたり、長期休暇に出かけるリゾートを探したりと、私たちの提案を参考にしていただいているという声が届きます。日頃のご愛読に、心より感謝を申し上げます。
わたし自身は、編集者になって38年目を迎えます。企画を考えて、構成を練って、原稿を書いて、校正して、読者に届ける。こうした編集の基本的な作業はいまも続けていますが、仕事はそれだけにとどまりません。就活生にスーツのアドバイスをしたり、社長のポートレート撮影やスピーチ動画をディレクションしたり、広告キャンペーンのコピーを考えたり、トークイベントやラジオでしゃべったり。仕事の範囲が想像していた以上に広がっていくのに驚きますが、新しいトライはいつも楽しいものです。
一方で、今いちばん好きな仕事は、インタビューです。気になる人にお目にかかって、お話を聞いて、「へぇ」と感心した言葉を、読者の皆さんに伝える。これこそが、自分の仕事の基本。中学生のときに編集者になりたいと思ったときにやりたかったこと、そして、これからもずっと続けていきたいことだと感じます。WEBや雑誌に掲載する原稿を書くときにも、イベントの参加者やラジオのリスナーに音声で語り掛けるときにも、インタビューしたおもしろい人の魅力を、皆さんに丁寧に伝えていこうと思います。
先日、サーフボードのシェイパーをインタビューしました。お客さまからオーダーを受けたら、まずは一緒に海に入ってサーフィンのスタイルを見ると言います。「ターンを決めたいなら短めのボードがいいです」とか「もっとスピードを出したいならフィッシュテールがいい」とクリニックしてから、ボード作りに取り掛かるそうです。「面倒じゃないですか?」と問うと、「面倒だから楽しい。便利になりすぎてカッコ悪いことも多い」という答えが返ってきました。何年か前に、同じような言葉を聞いた記憶があります。スーツ生地の産地である尾州でファクトリーを訪ねたときのこと。ガッッチャンガッチャンと、何十年も使ってきたシャトル織機がゆっくりと生地を織る音が響く側で、熟練の職人さんが「早いばかりが良いわけではない」と話してくれたのです。
今年は、ゆっくりと仕事をしていこうと思います。読者の皆さまの声に応えて、丁寧に記事をつくる。直接お目に掛かったとしたら、じっくりとお話を聞く。そういった基本に立ち戻り、同時に、新たなチャレンジをしていきます。2025年も、アエラスタイルマガジンをよろしくお願いします。
2025年 元日
アエラスタイルマガジンWEB編集長
山本晃弘