カジュアルウェア
ビームス2025年春夏展示会でトレンドをチェック。
中村達也さんと芹沢良輔さんの役立つ解説付き(ドレス&ビジネス編)
ファッショントレンドスナップ209
2025.02.14

世界的なメンズファッションのトレンド情報は、主に1月と6月に開催される展示会やランウェイショーにおいてジャーナリストとバイヤー、ユーチューバー、インフルエンサーなどが独自の視線で編集し発信されています。そのなかでも、パリ・ファッションウィーク(通称パリコレ)は、最先端のファッションを一気見できるイベントで、ここからの次季のトレンド予想が最も多く配信されています。ほかの地域でもメンズファッションのイベントはありますが、モード系ファッションに関してはパリが断トツ。
エルメスやルイ・ヴィトン、ディオールなどのフランスの老舗をはじめ、コム デ ギャルソン・オム プリュス、ヨウジヤマモト、サカイ、カラーなどの日本人デザイナーのランウェイショーが開催されていますが、実は今年のトレンドはこれだ!と言い切ることは大変難しくなっています。
2025年1月末に開催された秋冬 メンズ パリ・ファッションウィークの公式カレンダーには、6日間で68のブランドが掲載されていて、それすべてをパリで体験するのは至難の業で、ファッションのジャンルもさまざまだからです。
<<2025年秋冬 メンズ パリ・ファッションウィークの模様はこちら
とはいえ、SNSでコレクションやトレンド解説の動画が飛び交うこの時期は、好む好まないにかかわらずメンズファッション全体がざわつきだし、モード系ファッションに興味のない方も、そろそろ新作を購入しようと動きだすタイミング。同時に「パリのエッジーなトレンドではなく、日本で使えるリアルなトレンドを知りたい」「どんな服を買うと好感度が上がりますか」「ビジネススタイルのアップデート術を知りたい」といったお悩みを抱える人が増える時期です。

今回はモード系ではなくメンズのリアルなトレンド、なかでもドレスクロージングとかトラッドスタイルと言われている分野の2025年春夏のトレンドをこのおふたりにお聞きし、お悩みの解決策を見つけようと思います。
取材とスナップを兼ねて伺ったのは、2025年春夏プレス向け展示会。左手が、ビームス クリエイティブ ディレクターの中村達也さん。アルバイトとしてビームスで働きはじめて今年の秋で40年、ドレスクロージングのスペシャリストとして、バイイングや企画に携わりつづけている業界の生き字引的存在の方。
右手は、ビームス プレスの芹沢良輔さん。ビームスFのバイヤーを経て、現在は販促活動や取材立ち会い、 『MR_BEAMS』(フリーマガジン)の編集など、マルチな広報活動を手がけ、ビームス流ドレスクロージングの発信に日々奔走中の32歳

「今回ディスプレーしている右から2番目のジャケットは、グリーンにグレーをミックスしたようなパステル気味の発色がポイントです。グリーンは、昨年訪れたピッティ ウオモというフィレンツェで開催されているメンズウエアの国際的展示会でトレンドカラーのひとつとして提案されていました。ネイビーやグレーのジャケットは既にお持ちの方が、次にチャレンジするには最適ではないでしょうか。実は、個人的に昨年同じ生地でオーダーしていて、その使い勝手のよさと好評価も確認済みです」と中村さんの経験に裏打ちされた解説。
この展示会では、ビームスならではの柄物のジャケットがたくさん出ていましたが、手持ちのインナーやパンツとの組み合わせが簡単にできるという点では、パステル調ではありますがこれがベストバイ、今春買い足すジャケットNo.1ではないかと思います。

このジャケットのコーディネートは、ホワイトジーンズに、シャンブレーのウエスタンシャツ、首元にはジャケットのカラーを絶妙に拾ったネッカチーフを巻いています。今年のドレスクロージングのトレンドを満喫したいという方には最適。インスタ映えすることは間違いないですね。もちろん、これで出勤もあり。
このコーディネートはハードルが高いと感じる方は、ライトグレーやベージュのコットンパンツにサックスブルーやホワイトのBDシャツを合わせるとコーディネートがまとまると思います。

「ビームスが提案する今季的なスーツスタイルは、こちらの2体になります。左は遠目にはネイビーのように見えますが、近くで見ると深いグリーンだとわかります。素材はモヘア。通気性がよく吸湿性に優れているので、日本の春夏には最適です。ウールに比べるとやや光沢感があり、シワにもなりにくいのが特徴です。ネクタイは、プレス関係者向けにインパクトのある柄をチョイス。ここをお客さまお好みのレジメンや小紋に替えていただければ、難なくビジネスシーンに溶け込んでいくと思います。右はウールリネンの少し赤みがかったブラウンのダブルブレストのスーツで組んだコーディネートです。腰ポケットはパッチにしていますので、ドレスダウンした着こなしも楽しめます」。そう語るのは、スーツやジャケットを着て出勤することが多いという芹沢さん。
メンズのドレスクロージングの世界は、いつ見ても同じでは?と思っていらっしゃる方は多いかもしれませんが、今回のビームスの2025年春夏プレス展示会のリポートを読んでいただければ、実はそうではないということに気づいていただけたはず。ほんのわずかなディテールの変化やトレンドカラー、柄を採り入れることで、ビームスのドレス クロージングはシーズンごとにアップデートしているのです。
掲載した商品はすべて税込み価格です。
Photograph & Text:Yoichi Onishi