カジュアルウェア
ユニクロの最強コラボTシャツを知っている?
ピカソ&マティスの作品がプリントされていて神プライス。
ファッショントレンドスナップ213
2025.05.13

ユニクロのコラボ商品は、発売される前から情報が飛び交い、発売日にはファンがショップの入り口に行列するという光景がSNSでたびたびアップされていました。過去にはデザイナーのジル・サンダーとのコラボした「+J(プラスジェイ)」は、熱狂的な盛り上がりでしたし、現在も続いている「UNIQLO and JW ANDERSON(ユニクロ アンド ジェイ ダブリュー アンダーソン)」(デザイナーはジョナサン・アンダーソン)は、数々の傑作を生み出しています。
2025年春夏もご多分にもれず、ユニクロの新作についての解説動画やコーデ画像を有名ユーチューバーやファッション系インフルエンサーがアップしていますが、彼らのほとんどが見落としていた神コラボのアイテムがあったのです。
※ネットでほとんど取り上げられていないという表記については、私の確認&検索不足の可能性もあります。あしからず

その神コラボとは、20世紀のアート界に偉大なる足跡を残した2人の巨匠の作品がデザインされたUT初のTシャツコレクション。
ひとりは1881年スペイン生まれのパブロ・ピカソで、もうひとりが1869年フランス生まれのアンリ・マティス。ほぼ、同時代を駆け抜けたふたりですが、ピカソという名前はアートに興味のない人でも、聞き覚えがあるほど有名。ギネスブックにその作品数が画家のなかで最多(約15万点)だと認定されているほどで、時代によって作風が激変するので、これがピカソだと言う作品を絞り込むのはなかなか大変。
もう一方のマティスは、ピカソほどの知名度はありませんが、2024年2月から5月まで東京の国立新美術館で開催された「マティス 自由なフォルム」展には26万人以上が来場したというデータが示すように、日本では根強い人気があります。晩年に発表された切り紙絵シリーズは彼の代表作のひとつで、今回のUTのコレクションの4モデルもすべてここからチョイスされています。

今回はユニクロのショールームにお伺いして、ピカソとマティスのUTのこだわりポイントとコーディネート術をプレス担当の近藤さんに聞いてみました。
着用していただいているのは、ピカソとのコラボTシャツのなかでも特別な1モデルで、平和に向けたさまざまなアクションをするためのチャリティーを目的にしたTシャツプロジェクトPEACE FOR ALLのもの。
「たった1枚のTシャツにも平和のためにできることがある、というのがPEACE FOR ALLプロジェクトが大切にしている考えです。このプロジェクトの利益の全額は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、セーブ・ザ・チルドレン、プラン・インターナショナルに寄付されていて、ウクライナの人道支援、ミャンマーやバングラデシュでの災害支援・自立支援、南スーダンの人道危機への支援、ベトナムでの幼児婚防止プロジェクトなどに使われています。2025年の1月末時点での寄付金の総額は、19億円以上になっています。私が着ているTシャツは、ピカソ財団の協力をいただいて、ピカソが1958年にストックホルムで開催された平和会議のために描いた作品<花束を持つ手>が描かれた新作です」と近藤さんが数あるTシャツの中からこれを選んだ理由を語ってくれました。
Tシャツに描かれたピカソの作品の背景や、ユニクロの平和を願う気持ち、その継続的な取り組みを知るとただただ感動!

PEACE FOR ALL Tシャツ/パブロ・ピカソ¥1,500(ユニクロ 0120-170-296)
https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/sustainability/peace-for-all/
ピカソ作品がデザインされたTシャツとして話題になっていますが、実はTシャツ本体にもユニクロならではのこだわりが詰まっています。コットン100%で素材の厚み、シルエットも完璧。毎回さまざまな部分をアップグレード、改良しているとか。Tシャツはデザインがシンプルな分、着心地や袖の長さ、着丈、ネックのフィット感といったところがとても気になってきますが、そうした部分にユニクロは妥協していない、手を抜かないという心意気を、私はいつもユニクロのTシャツを着るたびに感じます。それで、ピカソの作品がプリントされてこの価格は、信じられません!

パブロ・ピカソUT¥1,500(ユニクロ 0120-170-296)
https://www.uniqlo.com
こちらのTシャツは、UTから発売されているパブロ・ピカソのグラフィックTシャツのなかの1点を私の好みでピック。ベースがブラックというところがポイント。ホワイトに比べて着やせ感が出せるのと、万が一食事中に醤油やソースをこぼしてもこれなら慌てなくて済むので。
胸にプリントされたパブロ・ピカソの作品は1935年に描かれた<帽子の女性>。当時パリで新しい芸術運動キュビズムが盛り上がっていましたが、この作品はそれを象徴する作品のひとつ。

今期のUTからはパブロ・ピカソに加えてアンリ・マティスのグラフィックTシャツが発売されています。プレス担当の近藤さんに教えていただいた裏話に私は感動。
「実は試作品が仕上がってから、アンリ・マティス財団にTシャツを送ってチェックしてもらったのですが、色の出し方などで修正がありました。そうした部分をクリアしてこのシリーズが完成しました。財団の協力のもと、オリジナル作品の色彩を最大限生かす方法を模索し、そしてクリアしたものがこのシリーズです」
ユニクロがこれらのTシャツに、真剣に熱く向き合っていたことがよくわかるエピソードですね。

アンリ・マティスUT¥1,500(ユニクロ 0120-170-296)
https://www.uniqlo.com/jp/ja/news/topics/2025032001/
地色のアンリ・マティスならではのブルーがとても奇麗。ユニクロのホームページのなかのUT magazine(※UT magazineは、ユニクロ旗艦店で無料配布)にはアンリ・マティスが晩年を過ごしたフランスの港町ニースを取材した記事や彼の子孫のソフィー・マティスさんへのインタビュー記事、彼が手がけたヴァンスの教会の壁画などが掲載されています。Tシャツを購入する前に目を通しておくとよりこのTシャツがいとおしくなるはず。
Photograph & Text:Yoichi Onishi