リッツォーリからスタイルブックを出したPOGGYさんを知ってる？
オリジナリティ溢れるスタイルに世界のファッショニスタが注目中。
ファッショントレンドスナップ214

ニューヨークに本社を置く出版社、リッツォーリ（正式にはRizzoli International Publications）を、みなさんご存じでしょうか。今回、ファッション＆アート系で定評のあるリッツォーリからスタイルブックを発表した、POGGYという愛称で呼ばれているファッション・キュレーターの小木基史（＠poggytheman）さんにフォーカス！

「今回の出させていただいた私のスタイルブックは、リッツォーリの方からお話があって進んでいったものです。取っ掛かりは、ヨーロッパ出張中のファッションショーのときに、リッツォーリ アメリカ本国のイアン氏が私の隣の席で、あなたの本を出版したいんだけど？と話が盛り上がり、でもその時は全く信じてなくて、帰国後メールでの正式なオファーが来てびっくり。デザイナー、執筆人、カメラマンの人選から構成内容まで、全て私とチームのディレクションで進めることができたので、満足のいく仕上がりになっています。世界的にアートやファッション関係の書籍では定評のあるニューヨークのリッツォーリから出せたのは、とても光栄なことです」

彼は、ユナイテッドアローズ（セレクトショップ）でさまざまな職種を経験した後2018年に独立し、企業のブランディングや店舗運営のアドバイスから、日本ではまだ無名ながら個性のある海外ブランドを発掘＆輸入するなど、さまざまな仕事を手がけています。

スタイルブックの発売を記念したイベントが、渋谷にあるスニーカーを中心としたライフスタイルブランドのショップKith Tokyo（キス トウキョウ）で行われ、そこで今回のスナップ＆インタビューをさせてもらいました。

スナップはその時のもので、POGGYさんの代表的なスタイルだったので、ここで簡単に解説。

まずは、POGGYさんのスタイルは、20年以上ユナイテッドアローズで学んだテーラードクロージングやトラッドをベースに、自身が過去に影響を受けた音楽やファッションと深い関係性を持つ、スポーツジャージー、古着、スニーカーなどなど彼の好きなものを独自の感覚でミックスしています。それは、既存のストリート、トラッド、ヒップホップ、ビンテージといった時代時代のトレンドを吸収＆体験しながら、その枠を超えていくという超型破り。

今回のイベントでも、テーラードのスーツに、白のB.D.シャツ、足元はスニーカーという定番スタイルに、何とバスケットボールの選手が着るスポーツジャージー（タンクトップ）をB.D.シャツの上に重ねているのです。ちなみに、これはシカゴ・ブルズのもので、マイケル・ジョーダンの背番号23付き。ストリートカルチャーで今でもリスペクトされているマイケル・ジョーダンは、若かりし頃にPOGGYさんが見ていた漫画スラムダンクとの親和性もあるとの事。

こうしたバスケットボールのスポーツジャージーは、90−00年代にアメリカのヒップホップ系のミュージシャンがTシャツの上に着て首にはゴールドのネックレスをジャラジャラ巻いていましたが、POGGYさんの発想は、唯一無二でユニークでクール。普通に考えたら、スーツとスポーツジャージーが合うわけないですから。でも彼が着ると格好いいんですよね。

「このスタイルの時はスーツの上着は人前ではほとんど脱がないです。ガラッと雰囲気が変わっちゃいますので」と微笑みながらPOGGYさんが裏話を披露。

カバーの紙を外すとパープルの布張りの装丁（表紙本体）が現れます。中心にはPOGGYさんの息子さんが描いた絵が。それも段差をつけて額装したかのような高級感漂う仕上げになっています。こうした細かなこだわりを発見すると、この制作チームの熱量が半端ないことがよくわかります。中身もすばらしく裏原宿カルチャーからビンテージアニメTシャツ、POGGYさんが手がけたブランドやコラボ商品などなど、世界の誰ともかぶらないポギースタイルが炸裂しています。

ただ、残念なのは英語が苦手な私には、250ページを超えるこの書籍のなかにちりばめられた、興味深いインタビューや著名執筆陣の原稿が全く理解不能なこと。個人的には、別売りで日本語訳が出ればな……と熱望しています。

POGGYさんのビンテージウエアのコレクションについての章がいくつかあるのですが、市場で高騰しつづけているビンテージのロックTシャツのような海外からのカルチャーだけでなく、日本独自で海外でも評価されている昔のアニメTシャツを胸を張って着たいという、想いのこもったコレクションは独自の見立てで、それをポギー スタイルに取り込んでいます。

アトム、アキラ、セーラームーン、ジブリ作品などなどがプリントされたTシャツを、アニメオタクやコレクター目線でない独自の価値観で集め、日常使いしているそうです。写真集のなかのこの章では、もののけ姫のTシャツにテーラードジャケットを合わせて登場。それ以外にも、カシミアのセーターやシャツの下にも着ているとか。

2026年にユナイテッドアローズ & サンズとノンネイティブがコラボしたとき撮影したビジュアル。撮影当時のユナイテッドアローズ & サンズは、POGGYさんがディレクター。ポギースタイルのコンセプトは、トレンドとクラシック（伝統）をシャッフルして新しいスタイルにアップデートする事だと思いますが、この写真はそれを見事に表現しています。

こちらの章では、ヒップホップなどの音楽と関連性の深いスポーツユニフォームにフォーカス。なかでもベースボール用の半袖とバスケットのタンクトップがお気に入りで、私物が何点か掲載されています。これをテーラードスーツやジャケットと組み合わせて着るスタイルは彼のアイデア。私も昔からシンプルなTシャツをスーツにコーデしていましたが、彼のようにTシャツやシャツの上にバスケットジャージーを重ね着して、スーツと合わせる発想には脱帽。ただ、スーツの素材感や色、靴のチョイスなどが難しく、誰でも簡単に真似できるスタイリングではないのでご注意ください。

写真集『POGGY STYLE Dressing for Work and Play』の発売に伴い、350年以上の歴史を持つイタリアの生地メーカーのヴィターレ・バルベリス・カノニコのハイブリッド加工をしたウールを使い、ユナイテッドアローズ & サンズ、コモリとの豪華なコラボ商品が発売されています。スーツ（２色）、ベースボールシャツ、フットボールシャツ、バスケットボールシャツがラインナップ。

これを買えばポギー スタイルをいち早く手に入れられる!?と思う私のリコメンド アイテムが上の画像。スーツの下に合わせるのはなかなかハードル高いので、まずは白Tシャツの上に重ね着してはいかがでしょうか。パンツはお好みで。足元は、スニーカーが無難ですが、サンダルやローファーというのもありですね。この一着から、自分なりのファンキーなコーデをあれこれ想像してみるのは、とても楽しい瞬間！！

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