カジュアルウェア
【すべてユニクロ】賢くリーズナブルに装う、
盛夏のビジカジスタイルvol.4
(編集者の場合)
2025.08.14
リーズナブルにおしゃれを楽しむうえで、ユニクロはもはや欠かせない存在。もちろんビジネスパーソンにとってもそれは例外ではない。スーツはもちろん、ネクタイや革小物などトータルで展開しており、ビジネスウエアを全身ユニクロでそろえることだって可能だ。今回、オール ユニクロ商品を使った夏のビジカジスタイルを全5回にわたり提案。OFFシーンにも使えるアイテムや着こなしのテクニックなど、ビジカジのスタイルサンプルとしてだけでなく、着回しという点でも参考になるはずだ。
本連載では、回ごとに架空の人物像を設定し、それぞれの職場や働き方に即したビジカジスタイルをご提案。本人を取り巻く環境や仕事内容の類似点から、自身に合ったコーデを探ってみてはいかがだろう。今回のキャラクターはこちら。
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山中遥太(編集者) |
この日は、連載コラムの執筆者で、フリーエディターであるY氏との打ち合わせ。弊社のOBでもあることから、個人的にも何かと目をかけてもらっている大先輩だが、ファッションにも造詣が深いとあって打ち合わせの日の格好にはかなり気を使う。
以前、お気に入りのハイブランドのロゴTを着て行った際には「随分、高そうなものを着ているね」と嫌味を言われ、かといってファッションにばかり頓着していませんよという体を装うと、そのあざとさを一瞬で見透かされたことがある。
今回は、ユニクロの「エアリズムコットンカノコポロシャツ」をチョイス。コットンの鹿の子地による優しい風合いだが、エアリズム素材ならではのひんやりとした接触冷感機能が、今の季節にはありがたい。玄関先でY氏はこちらを一瞥(いちべつ)すると「そのポロシャツいいね」とひと言。「実はユニクロなんですよ」と言ったときの、Y氏の驚いた顔を見逃さなかったことは言うまでもない。
いつもなら、デニムパンツを合わせるところだが、プレッピーやIVYスタイルを好むY氏を意識して、ユニクロの「ストレートチノ」を選んだ。両玉縁仕様のバックポケットなど、オーセンティックな仕様を押さえつつ、程よくゆとりがあって真っすぐストンと落ちるストレートシルエットは、今日的なムードを備えている。適度なハリコシがあるツイル素材は、タフでありながら品のある光沢感できちんと感を補完する。
ベルトは、お気に入りの「イタリアンレザーステッチベルト」。初めてのボーナスで購入したJ.M.ウエストンのシグネチャーローファーの色みと合わせて、ダークブラウンをチョイスした。ブラックも含めて毎日のように着けているので、レザー本来の質感や味わいが増してなじんでいく。上質なレザーの生産地として知られるイタリアのトスカーナの職人が丁寧になめした本革は、エイジングの美しさも含めてY氏もまさかユニクロとは気付いていないだろう。
この日も無事打ち合わせは終わり、「憧れの先輩相手に今日は一本取れたかな」と満足そうに席を立つと、Y氏が「ポロシャツなら、こういうテクニックもありだよ」と袖口をひと折り。途端にこなれた雰囲気へ変わる。
虚をつかれた自分に追い打ちをかけるように「ニットも肩に掛けたほうがいいな」と、自身のワードローブからベージュのカーディガンを手渡してくれた。「ステキなニットですね!」と言い掛けて、タグを見るとびっくり。今期のユニクロの「ニットVネックカーディガン」だ。確かにリネン混の爽やかな質感が、ポロシャツ1枚の軽装に洒脱なニュアンスを添えてくれる。
鏡に映る2時間前の自分より明らかに洗練されたスタイルに戸惑いつつ、「実はユニクロのポロシャツなんです」と、したり顔で教えていた自身の姿が急にフラッシュバックする。明らかに狼狽(ろうばい)する自分を横目に Y氏は茶目っ気たっぷりにひと言。
「僕もユニクロ大好きなんだよね」
……そうだった。ブランドネームやアイテムのトレンドに頼るのではなく、スタイルとしての提案。それを教えてくれたのは、ほかの誰でもなくY氏であったのだ。きっとポロシャツがユニクロ製であることは、最初から気付いていたのだ。すべてを手のひらの上で転がされていたような気がして途端に恥ずかしくなったが、同時にユニクロというチョイスが正解だったことにも気付けてどこかうれしくもあった。
自宅の外まで見送ってくれたY氏が「全身ユニクロに、ハイエンドなアイウエアを合わせるとは、君もかなりの上級者だね」と笑う。
「えっ? メガネもユニクロ製で1990円ですよ」
どうやら今回ばかりは、Y氏の驚き顔も嘘ではなさそうだ。
問/ユニクロ 0120-170-296
掲載した商品は税込み価格です。
Photograph: Yuki Kina
Styling: Hidetoshi Nakato(TABLE ROCK.STUDIO)
Hair & Make-up: Ken Yoshimura
Text: Tetsuya Sato