スーツ
森岡 弘が提案する、ネクストステージの装い。
New Protocol Style VOL.02
【グレースーツを嗜(たしな)む。】
2026.06.10
スタイリスト森岡 弘氏が現代人に贈る服装講座。第2回はグレースーツの魅力とその着こなしをビジネス&フォーマルの正統という観点からお伝えします。
「グレースーツはオジサンぽい」なんていう声が聞かれることもありますが、むしろ私はグレーを上手に着こなしている人には「格」を感じます。確かにネイビースーツは幅広い年齢層に似合いますが、グレーはある程度ステイタスのある人にこそ似合う色。そして自分自身が「変われる」ということを示してくれますね。
たとえば社会的な地位を得たり、年齢と共にグレイッシュヘアになってきたとか、ライフステージが変わるときこそグレーをおすすめします。フォーマルな場に出席するときも、グレーはふさわしい色でしょう。日本では冠婚葬祭と言えばブラックフォーマルですが、欧米の礼装はチャコールやミディアムグレーが基本ですから。
色柄はときに素材の品質をカバーしてくれますが、ソリッドなグレーはリアルに品質を映し出します。だからこそ上質素材のグレーは、着る人の「格」を雄弁に物語ってくれる色だと思うのです。
誠実さと品格を両立するミディアムグレーはビジネスに、ドレス感のあるチャコールグレーは冠婚葬祭に適しています。ネクタイの色を選ばないこともグレーならでは。どんな色柄のネクタイでも包み込むVゾーンは、グレーのなせる業ですが、よりモダンに着るなら同系色が似合います。
こんなふうにグレースーツは便利ですが、無難な選択ではありません。人生の奥行きを映し、人生を楽しむ余裕を表す装いです。ビジネススタイルが少し面倒に感じられる時代に、ドレスアップを楽しむ余裕で見せるグレースーツこそ、いま改めて袖を通す価値があるのです。
【ミディアムグレー】
誠実さと品格を両立してくれるビジネスグレー
最上級の品格を備えるならば、襟羽根をぴったり閉じて。襟開き角度が小さめのレギュラーカラーならドレス感度もさらに高い。
袖口にのぞくシャツのカフスは1.5~2センチ程度。ここではダブルカフスのシャツを着用して、よりドレッシーに装った。
ネクタイの大剣はベルトに触れるぐらいが適切だ。これ以上短くても長くても、スーツスタイルの正統性からは外れてしまう。
【チャコールグレー】
ドレス感で見せるならフォーマルグレー
グレースーツの醍醐味(だいごみ)はクールな着こなしを楽しめること。タイの色柄は鮮やかなものより落ち着いたグレーやベージュで。
グレーのトーンは素材や織りによっても変わる。光沢感あるシャークスキンから、ジャージー素材まで幅広く選べる点も楽しい。
グレースーツには茶靴より黒靴が最も正統。なかでも最上級の格式をもつ内羽根式のプレーンやストレートチップが似合う。
森岡 弘(もりおか・ひろし)
婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社後、『メンズクラブ』編集部に。スタイリストとして1996年に独立後、自身の会社「グローブ」を設立。ファッションディレクターとして、雑誌や広告、企業とのコラボレーションなど幅広く活躍中。政治家、企業家、キャスターらのスタイリングにも定評がある。
Fashion Direction: Hiroshi Morioka(GLOVE)
Photograph: Yoshihiro Kawaguchi(STOIQUE)
Hair & Make-up: Shuichi Araki(Swell)
Text: Yasuyuki Ikeda