お酒
クラフトビールと映画。【第1回】
『プラダを着た悪魔2』に合う一杯は?
2026.09.01
乳酸菌や酵母を使って発酵させ、すっきりとした酸味を持つサワーエール。
Nara Brewingの「study in rouge」は、ルージュという名前から、安易に鮮烈な赤を連想してしまったが、グラスに注ぐと、透明感のある淡いピンク色をしていて、ただちにさわやかなラズベリーの香りが舞い込む。 細やかな炭酸とラズベリーの酸味と、ファーストアタックはキレのある飲み口で、やがてバニラの甘みが追いかけるように後からやってくる。
このビールとのペアリングに選んだ映画は『プラダを着た悪魔2』。
ファッションに全く興味のないアンディが、有名ファッション誌「RUNWAY」の編集長ミランダのアシスタントになり、理不尽でハイレベルな要求に振り回されながらも、自分自身と向き合い、成長していく物語を描いた大ヒット作『プラダを着た悪魔』から20年。 ジャーナリストとして活躍していたアンディが、あることをきっかけに、ミランダ率いる「RUNWAY」に再び戻ることに……。
“現在”を描いた映画なだけに、自身の立場や環境、世代や時代によって感じることは様々だろう。あれから20年、雑誌を含む多くのメディアの在り方は大きく変化している。トレンドを牽引してきたミランダが、時代の変化に振り回されることとなる。 着実にジャーナリストとしてキャリアを積み重ねてきたアンディが、苦境に立たされた「RUNWAY」を救うことはできるのだろうか?
「study in rouge」を手にした時、スタイリッシュなイラストの女性を見て、真っ先にミランダの姿を思い出した。彼女は自身が守ってきたファッションが持つ文化や歴史の価値を、伝え続けなければならないという使命やプレッシャーを、常に背負ってきた。ただ傲慢で物事を決めてきたのではない、それは前作の「青いセーター」の話でもわかること。
時にはつらい決断をしなければならないこともある、強く在り続けなければならない時もある。そんな大人たちには、サワーエールのようなさっぱりとした果実の酸味と甘みで、ゆっくりと贅沢な時間を味わっていただきたい。
きっと映画の結末と同じで、前向きになれるはず……!
鮎川ジュン(あゆかわ・じゅん)
アエラスタイルマガジンwebの人気企画『いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは?』の選者・執筆者。音楽家、DJ、イベントオーガナイザーなど幅広い顔を持ち、ソーシャルイシューギャラリー「SIGNAL」ではバー部門を担当。多種多様なクラフトビールを取り扱う。
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Text:Jun Ayukawa