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朝日新聞 AERA STYLE MAGAZINE

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セイコーウオッチ株式会社

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自然との共生と、モノづくりの現在と未来。
自然との共生と、モノづくりの現在と未来。

グランドセイコーの聖地が目指した
3つの目標

グランドセイコーは、最高峰の腕時計を目指し、正確さ、見やすさ、耐久性、美しさという時計の本質を高い次元で追求し、グローバルブランドとして世界から熱い注目を集める。その誕生60周年を記念し、2020年に設立したのが「グランドセイコースタジオ 雫石」だ。グランドセイコーの機械式モデルの製造拠点である岩手県の盛岡セイコー工業に、その組立・調整を行う専用工房として誕生。本格始動から5年が経過したいま、自然に囲まれた工房はいよいよ本領を発揮し、期待とともに重要性はさらに増す。

盛岡セイコー工業の取締役副会長の加藤幸則氏は、そのスタートを振り返る。
「始まりは、グランドセイコーが単一ブランドとして独立し、海外に打って出ようという時期でした。世界に認めていただくためには、モノづくりもセイコーのほかの時計とは違うことを明らかにし、専用工房を作るべきという判断からだったのです」

盛岡セイコー工業取締役副会長・加藤幸則氏。

目指したのは3つ。まずそこで働く人たちが気持ちよく作業できること、訪れた人がストレスなく見学し、体感できる作りであること、そしてブランドのステージアップに貢献することだった。設計を依頼したのは日本を代表する建築家の隈研吾氏。ブランドが掲げる「THE NATURE OF TIME」のフィロソフィーに賛同し、これを快諾した。だがそこで出されたアイデアに依頼した担当者は驚いた。それは世界でもまれな木造建築の広大なクリーンルームだったからだ。

「相当ハードルが高いのではないかと懸念したそうです。でもそこは信頼が勝りました。結果、高度な設計や施工技術を駆使して木造のクリーンルームは完成し、天井が高く、ウィンドーエリアを広く設けることで明るく、岩手山はじめ自然の光景も眺めることができます。スイスでは時計製造のクリーンルームは割と小さく、個人の作業を重視すると聞きます。それに対し、開放感があり、コミュニケーションを取りながら作業できるのは日本人にはむしろ合っていて、チームで作業しやすい環境になっています」

工房では作業デスクが整然と並び、技術者がそれぞれの作業にいそしむ。そして時には隣同士で会話を交わし、集まって打ち合わせをする。閉ざされた空間のイメージが強い従来のクリーンルームとはまったく異なるものだ。そこからは、目指した働きやすい空間であることが伝わってくる。

(写真左)工房に沿った廊下からは、見学者がガラス越しに作業の様子を見学することができる。(写真右)天井が高く、開放感のある木造のクリーンルーム。

そして第二の目的に挙げた、見学者へのホスピタリティも実現しているといえるだろう。見学者は、まずエントランスに設けられた展示で、ブランドの歴史やムーブメントの仕組み、この地で製造されているパーツや組立にはどのような人が関わっているのかを知り、岩手山を眺めながら、工房に沿った長い廊下のガラス越しに作業の様子を間近に見ることができるのだ。加藤氏は言う。

「グランドセイコーのモノづくりを一貫して見ていただき、最後に完成した製品も直接触れられるように用意しています。特に岩手県の自然や日本の四季を積極的に取り入れて、ブランドの価値のひとつにしていることをお話しし、実際にこの場で作られた腕時計を見ていただくと、言動が一致し、見学者にも非常に届きやすいでしょう。こうした体感を通して、訪れた皆さん全員にグランドセイコーのファンになっていただきたいですね。そのためには一度に多くの方に見学いただくよりも、人数を絞り、ゆっくり見て理解や印象を深めていただきたいと思います」

それは、まさに第三の目的である、ブランドのステージアップにも確実につながっているのだろう。

エンジニアリングと自然が調和し、
未来を志向する工房

設計を手がけた建築家の隈氏は、その着想が“森の中で仕事をしている”ように感じられることにあったと話す。

「建設予定地を訪れたとき、まず岩手山からの大きな地形の流れの中にあると感じたんです。建物は単体ではなく、地形との大きな関係で考えることが一番重要です。そしてその地形には森があった。人類はもともと森で暮らし、木と生活が密着し、そこで脳が刺激され、賢くなったという近年の研究もあります。情緒的な心の豊かさもそう。そうした人間の原始的な状態をもう一度思い起こしてみようと思い立ったわけです」

「グランドセイコースタジオ 雫石」の設計を手がけた建築家・隈研吾氏。

それは、建物のみならず、木造建築のクリーンルームにも通じる。

「グランドセイコーに感じるのは、モノづくりというエンジニアリングと自然に対する慈しみという、硬軟が結合してバランスを取っているということです。僕が建築で目指しているのも結局その部分なのです。人類は、これまで工業という形で20世紀を走らせてきましたのが、そのひとつの限界が見えてきたとき、エンジニアリングと自然のバランスをどのように取っていくか。もともと自然からの知恵を文化に築き上げてきた日本にその答えが求められているのではないでしょうか。クリーンルームはそのひとつで、それこそ7世紀から培ってきた世界最古の日本の木造建築技術や匂いも含む木の質感に伴い、エンジニアリングの高さが伝わってくる。そして開かれている。エンジニアリングを極めることで自然に近づくというのが、心から僕らの目指すべきところじゃないかと思います」

何よりも僕自身がまずそこで働きたいか、自分の居場所にしたいかが基準なんですけどね、とほほ笑む。

5年を経たいま、そこに注いだ「未来というものは自然との共生にあり、建築もその方向に向かっている」という思いはさらに増しているともいう。

「現代の建築は、そこに漂う質とか空気感、それから時間もデザインしなくてはいけないと思います。外観を考える前に、素材をいかに使って、最後にどうリサイクルされていくか、大きな循環のストーリーをデザインしなくてはならない、そうでないと社会への説得力のあるものにはなりません。サステナブルというのは、よくCO2や気温上昇といった数字的な問題が取りざたされるけれど、それ以上に人間の心をどうつないでいくかが一番大事だと思います。建築はひとつのモニュメントや心象風景にもなる。心のサステナビリティみたいなもので、その部分をないがしろにしたらどんな建築でも意味がないですね」

自然と共生し、
モノづくりを継承する人材を育んでいく

(写真左)自然豊かなビオトープ越しに見える岩手山。(写真右)隈研吾建築都市設計事務所が設計、監修したインセクトホテルの現在。取材時にもさまざまな昆虫たちがインセクトホテルを訪れていた。

スタジオから望む緑地には、やはり隈研吾建築都市設計事務所が設計、監修したインセクトホテル(虫の巣箱)が設けられ、豊かなビオトープも整備されている。

「そこに地元の小学生を呼んで、自然の観察会を開催したり、わくわく時計教室やわくわく環境教室をしています。これらも含めたセイコーグループ全体で取り組んでいる時育のテーマに沿ったさまざまな活動を通して、地元にも少なからず貢献ができていると思います。やはり地元と一体になって成長していくというのは重要なことです」と加藤氏。

スタジオだけが独立するのではなく、盛岡セイコー工業のなかのひとつであり、自然環境の一部であるという位置付けはリクルーティングにもつながっている。現在、盛岡セイコー工業に従事する約700人のうち9割以上が地元採用、出身というから驚かされる。
「私たちはこれから先、50年、100年とこの場所で時計を作りつづけなければいけないわけです。そのためには技術やモノづくりの精神の伝承が何よりも大切ですし、自然と同様にここで生まれ、育った地元の人間で守り、作りつづけていくことが必要なのです」

(写真左から)ムーブメントの組立担当・小野雄太さん、ひげ具合調整担当・野坂新太さん、針付け担当・大久保友貴さん。

そうした期待の下、技術を継承し、研鑽(けんさん)を続ける3名の若き技術者にも話を聞いた。いずれもスタジオ設立と同時期に配属され、歩みを共にしている。そのひとり、ムーブメントの組立を担当する小野雄太さんは、県内の工業高校出身でもともと機械式時計に興味があり、会社見学で見た時計技術者の姿に憧れて入社した。

「入社後、技能五輪全国大会に出場するための技能育成塾という部門に配属され、技能五輪にも出たことがとても貴重な経験になっていますし、憧れていた仕事、やりたかったことができることをすごく誇りに思います」

スタジオのいいところに大好きな自然を間近に感じられ、リラックスできることを挙げ、職場も技術者が意見を出し合い、ひとりひとりがレベルを高められるところが気に入っている。

同じく県内出身で会社見学から入社を決めたのが、精度調整を担当する野坂新太さんだ。

「もともと商業高校出身なのですが、製造の現場を見たときに、圧倒され、ここの匠になりたいと思いました。精度調整という未知の仕事でしたが、黄綬褒章受章者や現代の名工にもなっているマイスターがすぐそばにいて、説明していただけるので、疑問があったらすぐ相談しています」

同じ班はもちろん、世代や分野を超えた技術者同士がコミュニケーションを取りやすく、活発な職場になっているという。

大久保友貴さんは、外装のなかでも特に時分針を付ける工程を担当する。3人のなかでは唯一、時計専門学校を卒業して入社した。

「やはり世界的なレベルで戦える腕時計を作っているところが魅力で入社しました。針付けというのは、みなさんが組み立て調整したムーブメントを受けての作業であり、そこで失敗したらすべてが台無しになってしまいます。それだけに緊張しますね」

いまではここから出荷するほとんどのグランドセイコーの針付けを手がけるが、それでも緊張はなくならない。それも作業のたすきを受け取る責任感だろう。そしてガラス越しの見学者からの視線にも少し緊張する、と笑う。

(写真左から)小野雄太さん、加藤幸則副会長、野坂新太さん、大久保友貴さん。

スタジオでの5年を経て、それぞれの目標を新たにする。小野さんは、社内のマイスター制度の最高位を取得し、社外での技術の実演を通してブランドの認知を高め、最終的には黄綬褒章を受章。野坂さんは、まず社内マイスター制度の最高位取得を目指し、いま学んでいるマイスターからより多くを吸収し、匠の技を受け継ぐこと。そして大久保さんは、まだ少ない女性マイスターを目指すこと。針付けだけでなく、より多くの作業ができるように知識と経験を積んでいきたいと語る。

自然と共生するグランドセイコースタジオ 雫石では、共生する自然と同様に、人材が育まれ、技術やモノづくりの精神が次世代へと継承されているのだ。5年はそのわずかな通過点に過ぎない。


セイコーグループ社員が
積極的に携わる「平庭高原」の保全活動

「自然との共生」をテーマに掲げるグランドセイコー。2021年には、岩手県・セイコーウオッチ・盛岡セイコー工業が協力し、地方創生および持続可能な地域社会の実現に向けた活動を協働で推進することを目的とした包括連携協定を締結した。その取り組みのひとつが、岩手県久慈市に広がる平庭高原の白樺林を守る活動である。ここには31万本以上もの白樺が群生し、『日本一の白樺美林』と称される美しい景観が広がっている。

今年8月にも、白樺美林を再生するプロジェクトの一環として、地域のボランティア団体「くじ☆ラボ」と共に環境整備活動を実施。社員は地元の小中学生を含めた一般市民や企業ボランティアと共に植樹や清掃に汗を流しながら、自然と触れ合う時間を楽しんだ。地域の人々と協力しながら“未来へつなぐ森づくり”に取り組む姿勢こそ、グランドセイコーが大切にする「自然との共生」を体現している。

エボリューション9 コレクション
手巻メカニカルハイビート 36000 80 Hours

品番

ケース・ブレスレット


防水性能

ケースサイズ

SLGW007

ステンレススチール
裏ぶた:ステンレススチールと
サファイアガラス

日常生活用防水

横 38.6mm 縦 45.0mm 厚さ 9.95mm