週末の過ごし方
遅咲きの希望? 令和の奇跡?
ダイアン津田篤宏の初著書からみる「人気者のわけ」
2026.06.03
2016年に発行された『LIFE SHIFT(100年時代の人生戦略)』のベストセラーがきっかけとなり、人生100年時代と言われるようになって久しい。そうなると、40代、50代は戦国時代の20代半ばといったところだろうか? まだまだ先は長いのだから、レイトブーマー、いわゆる「遅咲き」への注目度は今後どんどん増すはずである。
押しも押されもせぬ超大人気お笑い芸人・ダイアンの津田篤宏。5月27日の50歳の誕生日に初の単著が発売となった。46歳で上京した彼は今、最も注目される芸人でありレイトブーマーといえるだろう。
発売日当日の記者発表会では、本人が驚くほどのメディアが集まった。登場直後のあいさつからかむ津田に、記者たちは笑顔で取材にあたっている。この光景自体が、人気ぶりを表しているようだ。
本書『津田日記』は、一昨年の末に占い師に「黄色の手帳を買ったら良い」とアドバイスをもらった津田が購入したという手帳(ちなみにエルメス)に、2025年の年初から1日も欠かさずしたためた日記を1冊にまとめたものである。
「こう見えて、やりはじめたら途中でやめるのが嫌なタイプなんですよ。なので、書きはじめたからには埋めたいなという気持ちで毎日書きましたね。毎日毎日、手書きで書きました」。なかには、その手書きそのままのページも挿入され、超多忙な毎日のなか、愚痴も夜遊びも赤裸々に日々をつづっている。書き殴ったような筆跡がまた、引っ張りだこの人気ぶりを物語っているようだ。また(書くスペースが少ないので)途中からこの日記専用のペンを探して買ったという真面目ぶり。そして当初は書籍化の予定はなかったが、本になることが決まる。
「基本はずっと悪口ばっかり書いているんです……前半はもっとリアルに人の名前とか書きましたが、後半はできるだけ書かないようにしてたんです。けれども、やっぱりお酒飲んで書いてるときは、書きまくってましたね。決して言ってはいけないようなことも書いていました。お許しください! とりあえず噓は書きたくないなと思いまして、全部さらけ出そうと思いました。本の中では全裸になっていると思っています」と話していた。
初志貫徹を全うし、専用のペンまで買って毎日手書きで、嘘はつかず赤裸々な感情を吐露と……全部さらけ出す50歳。令和の今、そんな姿が多くの人に愛されているのだろうか。『名探偵津田』(の収録の様子も日記に書かれている)を代表する過酷なロケで鍛えられたからか、メディアからの無茶振りにも気さくに応え、笑いに包まれた発表会は実際の時間よりもあっという間に時が過ぎたが、終わったあと「いやぁ、書くのが難しい。面白すぎて」とボヤく記者がいたのが印象的だった。
今年の目標は「2月に川に入るようなロケではなく、スタジオでVTRを見ている芸人」だという。その切実でリアルな願望に、ガツガツギラギラした野心は感じられなかった。大人気のレイトブーマーは、初志貫徹する真面目さと、嘘がない自然体な姿ゆえ生まれたのかもしれない。
『津田日記』津田篤宏著 新潮社刊 1760円
嫁とケンカ、千鳥大吾さんと飲んだ、名探偵のロケしんどいなど、大人気芸人が嘘のない日々のあれこれをつづった1冊。令和の引っ張りだこの超多忙な一年をリアルに感じられる。