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新しいエルメネジルド ゼニアの、
ビジネスとクリエイティブについて―
2017.11.28
1世紀以上の社史において初のアーティスティック・ディレクターとしてアレッサンドロ・サルトリを招聘(しょうへい)し、従来の3ブランドを3ラインという方向性に体系化した。大きな変革期を迎えたエルメネジルド ゼニアのトップが見据える、いま求められる関係性とは。
「変革にはタイミングが重要で、その好機であるとともに、ブランドを前進させるにはよりモダンなアプローチが必要と感じました。核となるのがカジュアリゼーションであり、今回そのキーマンとしてアレッサンドロを選びました。彼はまさにブランドイメージを変革し、コレクションに強いインパクトをもたらしました」
エルメネジルド ゼニアCEOのジルド・ゼニア氏は言う。成長への転機であり、広告キャンペーンでもそんな〝決定的瞬間〞について、ロバート・デ・ニーロとダンサーのベンジャミン・ミルピエが冬のNYで語り合う。世代やジャンルは違っても互いへのリスペクトが深い関係性を生む。
「カジュアルウエア、レザーやシューズといったアイテムでイノベーションを追求すると同時に、エモーションな面からもブランドを変容したいと思いました。キャンペーンでは立場の異なる二人が会話する。これは象徴的なシーンで、店頭に置き換えるとお客さまと私たちとの関係でもあるわけです。その親近感と精神的なつながりを感じていただけると思います」
かつてジー ゼニアを担当したサルトリ氏の復帰もそんな親密さをうかがわせる。サルトリ氏はゼニア発祥の地トリヴェロ出身で、ブランドのもたらした地域文化や環境に育まれ、価値感を共有する。
「アレッサンドロとは30年以上の知己であり、ブランドのDNAを理解し、互いの意思疎通や決定もスムーズです。彼によってブランドの歴史の新しい章が始まったといえるでしょう」
分断する社会、関係の意義が問われる現代に、何よりもそれを大切にするのは創業以来のファミリービジネスを貫くことでもあるだろう。一族が結束することで独立性をもってビジネスに集中し、長期的なビジョンのもと、次世代を見据えたレガシーをつないできた。
「私たちは伝統を大切にし、創始者である祖父が目指し、父や叔父が築いてきたことに敬意を払いながら、そのトーチを次の世代に受け渡すのが使命と考えます。そのなかで環境保全やサスティナビリティは会社としての社会的な責任であり、ヘリテージについてお客さまにも伝えてきました。新しいトレンドやファッションを作るだけでなく、自然環境を大切にしてビジネスを展開していく。それが私たちの社会貢献なのです」
ブランドの変革期に日本上陸50周年という記念すべき年を迎えたのも運命的なものを感じるという。
「それは新たな歴史の始まりであり、時を重ねるほど私たちの関係性はさらに深まることでしょう」
Photograph: Yoshihiro Kawaguchi(STOIQUE)
Text:Mitsuru Shibata