腕時計
グランドセイコー、 時計の「本質」を限りなく究める
2017.06.24
スイスに挑戦する国産最高級ブランドとして1960年に誕生した「グランドセイコー」が、今年から母体の「セイコー」から独立したブランドになる。2010年から世界市場を強く意識した戦略を展開しており、それぞれを分けたほうがイメージをより鮮明にアピールできると判断したという。そのシンボルとして、ロゴを12時位置に配したダイヤルに変更。今後はスポーツモデルなども拡充していく予定という。
もともと「グランドセイコー」は、スイスのクロノメーター検定と同等の精度基準を達成した高精度機械式時計として1960年12月に発売された。ところが1969年末に、ゼンマイによる機械式の精度をはるかに凌駕(りょうが)する世界初のクオーツをセイコー自らが開発。輝かしい時代を築いた「グランドセイコー」の名前は市場から消え、伝説的な存在となってしまった。
それがよみがえったのは1988年だが、クオーツを搭載しており、機械式ムーブメントのモデルは1998年まで待たねばならなかった。セイコーはヒゲゼンマイから内製するマニュファクチュールであることを誇りにしており、かつてのGS規格を超えるような高精度と品質が求められたからだ。
その後は高い人気を追い風として、さまざまなバリエーションが発表されてきたが、基本的なスタイルは極端には変わっていない。見やすさや飽きのこないデザインといった時計としての「本質」を追求することが伝統的な理念だからである。たとえば針一本にしても、多面のカットが施されており、どの角度から光が入っても、必ず一面は反射するように仕上げられている。これはバーインデックスも同様であり、わずかな光のもとでも視認性はすこぶる高い。
また、歪(ゆが)みのないフラットな鏡面を主体に構成されるケースデザインは手作業による研磨でしか実現できないという。
近年はチタンとセラミックという異素材をコンビネーションした意欲的な新作も発表。今回の独立によって、そうした進化がより加速されそうだ。
問/グランドセイコー専用ダイヤル 0120-302-617
掲載した商品はすべて税抜き価格になります。
Photograph:Fumito Shibasaki(DONNA)※1、Mitsuya T-Max Sada※2
Text:Keiji Kasaki(Team Spiral)