腕時計
優れた時計は心を気持ちよく奏でる
2017.06.28
3月に開催された「バーゼルワールド」は時計宝飾の展示会では世界最大級とされており、ルーツを1917年の商品展示会として、今年で100周年という歴史を誇る。この2つの展示会を中心に、各ブランドが精魂を込めた新作を発表。これらがいよいよ本格的に店頭に並ぶ楽しみな時期がやって来る。
バラエティーに富んだ時計が数多く発表されるため、トレンドを読み解くことは難しい。むしろ高級時計は高価なだけに、流行として短期的に消費されることを注意深く避けてきたといっていい。
ただし、今年はケース径のサイズダウンが顕著で、これまで主流だった直径40㎜台を下回るモデルが目立った。ドレッシーな3針だけでなく、クロノグラフでも38㎜径が登場。スーツの袖口にもエレガントにフィットする。男女ともに愛用できるユニセックスとしてラインアップされるなど、新時代の到来を感じさせる。
こうした多彩な時計を選ぶときには、自分なりの世界観をもつことをおすすめしたい。例えば時計と音楽は、機能こそ違っているが、よく似た存在だ。ポップスやロックからクラシックの交響曲まで、音楽は時と空間を超えて現代に共存。時計も機械式にクオーツ、電波時計などに加えて最近はスマートウォッチも登場。クリスチャン・ホイヘンスが発明したヒゲゼンマイ付きテンプをルーツとすれば、300年以上にわたる歴史が眼前にあるといっても過言ではない。
そして、一世を風靡(ふうび)した人気のポップスがやがてスタンダードとしてタイムレスな存在になるように、時計にもロングセラーのコレクションが少なくないのである。
その意味では時計ブランドは紛れもなくアーティストであり、彼らの歴史や理念などを知れば知るほど深い愛着を感じるようになる。そこでレコードジャケットの裏面やCD付属の「ライナーノーツ(解説)」のように、本サイト、及びアエラスタイルマガジン本誌で、主要16ブランドの概要をまとめてみた。
時計と音楽の共通点はもうひとつある。美しい時計、優れた時計は心を気持ち良く奏でてくれるのだ。時間に追われて神経がささくれ立つこともある現代社会だけに、こうした余裕がビジネスに成功をもたらすのではないだろうか。
Videography & Photograph: Mitsuya T-Max Sada
Text: Keiji Kasaki(Team Spiral)