腕時計

ラドー、 超硬素材を求めてセラミックスに到達した先駆者

2017.06.28

ラドー、 超硬素材を求めてセラミックスに到達した先駆者
「ラドー セラミカ」。力強いラインと優しいカーブのシルエットをもつ角型モデル。マット仕上げのグレーが都会的。自動巻き、ケースはセラミックス、サイズ30×41.7 ㎜ ¥265,000(11月発売予定)(※1)

 21世紀になってから急速に普及した時計の新素材がセラミックスだが、1986年に世界で初めてブレスレットに採用したのがラドーである。続いて1989年にはケースにも導入してフルセラミックスの時計が完成した。

 セラミックスは簡単に表現すれば「焼き物」となるが、磁器や陶器ではなく、酸化ジルコニウムなどを焼結させた紛れもないハイテク素材だ。特有の質感も魅力だが、金属よりも軽量で硬度が高いことが特徴であり、要するに金属が苦手なすり傷などに強いのである。このためベゼルに使用するブランドも少なくない。ラドーもまた、この特性を求めてハイテクセラミックスに到達したと考えられる。

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(※2)

 ラドーが創業したのは1917年だが、このブランドの名前が世界的にブレークしたのは1962年に誕生した「ダイヤマスター」だ。この時計のケース材料はタングステンと炭化チタニウムを融合した超硬合金だった。傷がつきにくいことから「スクラッチプルーフ」と標榜(ひょうぼう)。これを強調するために、ベゼルが幅広く大胆に湾曲した前衛的なフォルムになっていた。このモデルがセラミックスも含めたラドーの将来を決定したといっても過言ではないだろう。

 1990年代には素材だけでなくプラズマ加工技術も開発(特許取得)。セラミックスではあり得ないとされていたメタリックな輝きを実現した。2000年代に入ってもダイヤモンドと同等の硬度をもつ「Rado V10K」を発表。さらなる高みを目指す姿勢に衰えは見られない。2011年にはケース厚5㎜の超薄型モデルも開発している。

 こうした素材の魅力をアピールするため、先進的なデザインを導入。流麗な曲面で構成された「トゥルー」など未来的なフォルムの時計も少なくない。

 バーゼルワールドでは例年多数の新作が投入されるが、今年は、詩情、記憶、心地よさ、デザインを4大ポイントとしてフォーカスしたという。セラミックスのカラーバリエーションもグレー、ブルー、グリーン、ブラウンが追加されており、これからもチャレンジングな製品開発が期待できそうだ。

  • 0616_cat_diamaster_657_0129_3_420
    「ラドー ダイヤマスター グランドセコンド」。スモールセコンドを大きく配置したアシンメトリー(非対称)なデザインが個性的。自動巻き、ケースはセラミックス、直径43㎜ ¥290,000
  • 0616_diamaster_PR_dial_black_BR
    「ラドー ダイヤマスター パワーリザーブ」。約80時間、3日間以上のロングパワー。その残量表示計をシンボリックにアレンジ。自動巻き、ケースはセラミックス、直径43㎜ ¥215,000(9月発売予定)
  • 0616_cat_hyperchromeCook_763_0500_3_130
    「ラドー ハイパークローム キャプテンクック」。レトロなデザインを再現したビンテージモデル。約80時間のロングパワー。自動巻き、ケースはステンレススチール、直径37.3㎜ ¥185,000(8月発売予定)

問/ラドー スウォッチ グループ ジャパン 03-6254-7330

掲載した商品はすべて税抜き価格になります。

Photograph:Fumito Shibasaki(DONNA)※1、Mitsuya T-Max Sada※2
Text:Keiji Kasaki(Team Spiral)

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