腕時計
ティソ、 手の届く名作・良品を送り出してきた老舗
2017.07.03

世界最大級の時計・宝飾展示会とされるバーゼルワールドは今年で100周年。1917年に商品見本市mubaとして開催された初回はわずか29ブランドだったが、ティソも出展していた。
その前年にロシア帝国の宮廷貴族の腕を飾る時計が完成。手首に沿うようにダイナミックに湾曲した長方形のケースから「バナナ・ウォッチ」と命名されて大人気を博した。ところが翌年にロシア革命が勃発。1年で生産終了となり、伝説の時計となってしまった。78年もの時を経て1995年に復刻。以降も限定で発表されたことはあるが、ほぼ100年ぶりに本格的に復活した。
このエピソードからわかるように、1853年に創業したティソは、ヨーロッパ全土を市場として、アメリカまで視野に入れていた。時計づくりでも斬新なデザインを意欲的に取り入れてきたほか、世界初の耐磁時計を製作。1971年には世界初のプラスチック製機械式時計も開発している。

スイスでも老舗のブランドとなった現在でも、そうした果敢なチャレンジ精神は依然として旺盛であり、世界初のタッチセンサー式腕時計「T・タッチ」を1999年に発表。2014年には機能などを大幅にブラッシュアップし、ソーラーエネルギーで駆動する新作が登場した。
機械式時計でも、モダンにデザインされたフルスケルトンなど魅力的なモデルが数多い。ちなみに、このスケルトンモデルは昔ながらの製法でつくられたブルースチールの針やインデックスなど、ディテールの仕上げが丁寧でありながら、税抜きで20万円だった。
クロノグラフやダイバーズなどのスポーツからドレッシーやオーセンティックまで、ラインナップが幅広いので細かくは紹介できないが、ETA社と協同開発した80時間のロングパワーを誇る「Powermatic 80」がシリコン製ヒゲゼンマイを導入して進化。精度と持続性を高めており、このムーブメントの搭載モデルも登場している。デイリーユースも含めて、手が届く名作や良品を探すのであれば、まずはティソからチェックしていただきたい。
「ティソ Tレース サイクリング ツール・ド・フランス スペシャルエディション」。ツール・ド・フランス2017の公式計時記念モデル。クオーツ、ケースはステンレススチール、直径44.5㎜ ¥56,000 「ティソ ヘリテージ バナナセンテナリー 日本スペシャルエディション」。デフォルメされたアラビア数字も魅力。クオーツ、ケースはステンレススチール、サイズ49×27㎜ ¥45,000(9月発売予定) 「ティソ エブリタイム スイスマティック」。通常の約半数の部品で構成された機械式スイスマティックを搭載。自動巻き、ケースはステンレススチール、直径40 ㎜ ¥46,000(9月発売予定)
問/ティソ スウォッチ グループ ジャパン 03-6254-7361
掲載した商品はすべて税抜き価格になります。
Photograph:Fumito Shibasaki(DONNA)※1、Mitsuya T-Max Sada※2
Text:Keiji Kasaki(Team Spiral)