カジュアルウェア

ファッション トレンド スナップ2

2017.07.13

大西陽一 大西陽一

ファッション トレンド スナップ2

6月のピッティ・イマージネ・ウオモ(通称ピッティ)の期間中は、気温が35度近くなる日が多かったのですが、会場には少数ではありますが、スーツにネクタイをきちんと結んだジェントルマンの姿を見ることができます。

ほとんどはクラシコ系といわれるテーラードスーツなどを得意とするメーカーのスタッフか、それらを扱う販売店のバイヤーの方々。彼らをよ~く観察すると、トラッドなスーツにもごくわずかな違いではありますがトレンドが生まれ、デザインの変化があるのがわかります。

まずは、イタリア解釈のクールビズスーツから。

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ネクタイをしていてどこがクール(涼しい)なの? と突っ込みたくなるスタイリングですね。彼ら的には「スーツの色が夏ならではなので、クールに見えるでしょ。それに、コットン素材だからスポーティー」という解釈。ビジネスにおいては、自分が涼しくなるという発想ではなく、いかに夏らしくスマートに装うかということが大切なのです。

さて、このスーツにはトレンドが2点隠されているのがおわかりですか?

ひとつはパンツがベルトレス。もうひとつはジャケットのラペルの幅がサルトリア仕立てのように太い。通常は7~8cmくらいですが、この方の場合9.5cmはありますね。こうした太めのラペルは、王道のトレンドではありませんが、確実にスーツマニアの方々に浸透してきています。それも30~40代 のナポリ、ニューヨーク、香港、東京の若手バイヤーやサルト(ピッティでは新人扱いですが)が率先してこのスタイルのスーツをプッシュしています。

彼らのスタイルは、昔のクラシコイタリアの継承スタイルでありながら、若い感覚でディテールをバージョンアップさせ、昔にはないモダンなスタイリングになっています。

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こちらは、ミスター・ビームスことクリエイティブディレクターの中村達也さん。これぞトレンドの「モダンクラシコ」!

レギュラーぎみの襟型の太ストライプシャツ、スーツにチェンジポケットがつく、パンツはタック入り……と細かな部分に、これから世界のトレンドになりうるディテールが詰まっています。

なかでもいちばん注目しておきたいのが、ネクタイ。今年の秋冬のスーツスタイルのトレンドになっている幾何学模様です。一見、昔のアルマーニなどのイタリアブランドのネクタイにあったようなパターンですが、柄の大きさや色のバランスが昔とは微妙に変化していますね。

いまや日本のバイヤーたちのスタイルは、次の年のトレンドになるといわれるくらいで、イタリアのデザイナーも彼らのスタイリングをかなりチェックしています。その辺りのことは、書くと長くなりそうなのでまた別の機会に……。

さてさて、今回のお二人のスーツスタイルで共通している点があります。ピッティではメジャーなのですが、日本ではまだまだというポイント。

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靴がタッセルスリップオンで、それを素足履き(シューズインソックス着用)しているところです。タッセルスリップオンは、ビジネスシューズとしてイタリアではかなり普及していますが、日本ではリアルビジネスマンで履いている人はまだまだ少数。個人的に大好きなデザインなので、日本でももっと広まるといいですね。

今回は、この辺で終了。次回は、日本のファッション誌があまり取り上げないリアルなミラノのビジネススタイルをリポートします!

プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに通い、日本人でもマネできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こなしを求めたトレンドウォッチをつづける。

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Photograph & Text:Yoichi Onishi

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