カジュアルウェア
ファッション トレンド スナップ3
2017.07.18
![ファッション トレンド スナップ3](http://p.potaufeu.asahi.com/b55a-p/picture/11200459/d1d2fa7bfc845e5fbac2d7c06aebcb3b.jpg)
日本のファッション誌が取り上げるイタリアのファッションスナップだけを見ていると、誌面に出ているようなおしゃれな人が、ミラノやフィレンツェの街にあふれているかのような幻想!?を抱くと思います。
しかし、現実は……。
フィレンツェに関していえば、年2回のピッティ期間中以外は、あんなにおしゃれな人を街中で見ることはできません。普段は、世界各国(イタリアも含め)から来る観光客ばかりなのです。
ミラノも同様で、コレクションの時期をはずすとメンズのファッション(レディースは別!)はシックなコーディネートばかり。
ただし、そうした定番的で変化のないように見えるビジネススタイルのなかに、トレンドや日本人には発想しにくいエレガントな色づかいが潜んでいるところが、ミラノの男性の真骨頂。
![400pitti_3_1](http://p.potaufeu.asahi.com/ad97-p/picture/11200452/07317c57a55eb06f30c43ab9e9622bfd.jpg)
このご両人は、典型的なミラノスタイル。
ミラノのビジネスマンは、猛暑だろうが、基本的にスーツの下には日本のクールビズのような半袖シャツはまず着ません。
右のお若い方の靴にご注目を。
Wモンクストッラップという名称の靴で、ひもがなくベルトのバックルと同じようなものが甲に2個付いています。
ローファーほどカジュアルでなく、ストレートチップなどのレースアップシューズよりはスポーティーな雰囲気という位置付けの靴で、イギリスやイタリアでは人気の高いビジネスシューズです。
![400pitti_3_2](http://p.potaufeu.asahi.com/6cd3-p/picture/11200453/d3195db8100a75b8cb05d0aaefc667c6.jpg)
さて、もう一方の先輩ビジネスマンのほうは、ノータイでかなり日本的なスタイリング……と思いきやサングラスがティアドロップ型。それで、カバンはレザーのリュック。
日本でも20~30歳代のビジネスマンを中心にナイロン系のリュックで通勤というスタイルが浸透してきていますが、ミラノは年配のお方までもが!
![400pitti_3_3](http://p.potaufeu.asahi.com/16a8-p/picture/11200454/4b6cebc0786d15ce4f09d93a809fb1ea.jpg)
そのほかに、ミラノらしいのが自転車にスーツというスタイル。もちろんバッグはリュックです。
![400pitti_3_4](http://p.potaufeu.asahi.com/5480-p/picture/11200455/9772910d73cacbe1b898e7af9c278ddb.jpg)
実はビジネスリュックは、いまやモードブランドから老舗バッグメーカーまで、さまざまなデザインのものが発表されています。
なかでも2017年春夏は、四角いビジネス向きのリュックのバリエーションが豊富。
![400pitti_3_5](http://p.potaufeu.asahi.com/b3e9-p/picture/11200456/9ff81eefd9d2aeeedffcd8be248ede8b.jpg)
私はこの傾向が、ビジネスリュックの一過性の流行ではなく、ビジネスの定番バッグとなる前兆だと確信しています。
ちなみに6月の2018年春夏のミラノ ファッション ウィーク中も、ランウェイから展示会までリュックは引っ張りだこ。個人的に「これは!」と思ったのがボローニャで創業したバッグ専業メーカー、フルラの四角いリュック。
![400pitti_3_6](http://p.potaufeu.asahi.com/97c2-p/picture/11200457/a8371a52eec95ce0f993904be9125854.jpg)
上部にシングルの取っ手を付けることで、ビジネスでの使い勝手を向上させつつも、全体のデザインはカジュアルシーンでも違和感がないという、フルラならではの高難度のひねり技をやってのけています!
この柔軟な発想力と素材&縫製のクオリティーの高さは、やはりイタリアがNo.1ですね。
プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに通い、日本人でもマネできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こなしを求めたトレンドウォッチをつづける。
Photograph & Text:Yoichi Onishi
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