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フィレンツェの異国人 その5 ヒューゴ
2017.08.23

メンズファッションからスタートし、現在では世界100カ国以上でトータルライフスタイルアイテムを提供するヒューゴは、個性を尊重した斬新な装いを揃(そろ)え、コンテンポラリーなデザインを届ける。

ピッティ・ウォモは世界最大級のメンズファッションの展示会であり、注目するのはモード系ブランドも例外ではありません。特に世界から多くのバイヤーやファッションジャーナリストが訪れるとあって、この機を逃すことなく、ファッションショーを開催するメジャーブランドも増えてきています。ヒューゴもそのひとつです。


2018年の春夏コレクション発表の舞台となったのは、フィレンツェの古いタバコ工場。会場には何百ものキャンドルがともされ、ほの暗いなか、スケッチや文章が飾られるとともに、床や壁には絵の具が飛び散り、アーティスティックな雰囲気を演出しています。
そのランウェーをまさにキャンバスのように埋め尽くしたコレクションは、ゆったりとしたシルエットであり、ロング丈のコートやスーツにしても伝統的な裁断と採寸を見直し、ふわりと身にまとうデザイン。発想のベースは1993年のヒューゴ最初のコレクションで、当時のスタイルを彷彿(ほうふつ)とさせます。
それでも足もとは絵の具の飛沫(ひまつ)が残るスニーカーを合わせ、バスキアなどのアーティストや、彼らが表現した自然体のスタイルから着想した、先鋭的なクリエイティビティーが伝わってきます。


ヒューゴのDNAはこうした型破りなスタイルにあり、それは一般とは異なる視点を持つアーティストに通じます。ラグジュアリーであってもさらっと着こなせ、繊細であるけれども気楽。そんな自由さが味わえるのです。
プロフィル
柴田 充(しばた・みつる)
フリーライター。コピーライターを経て、出版社で編集経験を積む。現在は広告のほか、男性誌で時計、クルマ、ファッション、デザインなど趣味モノを中心に執筆中。その鋭くユーモラスな視点には、業界でもファンが多い。
text:Mitsuru Shibata