旅と暮らし
多彩なメロディーをプロデュース
奇才ベイビーフェイスの来日公演が決定!
2017.10.05
希代の名プロデューサーにしてソングライター兼シンガー、ベイビーフェイスについて考えるとき、必ず思い出すことがある。あれは2001年だから、16年前のこと。文藝春秋が発行していた「TITLe」という月刊誌(2008年休刊)で、新作プロモーションのため来日していたベイビーフェイスに取材した。企画のタイトルは「ベイビーフェイスさん、東京の音楽シーンで最も気になった曲は何ですか? / あのスーパー・プロデューサーに最新の東京ヒットソングを聴きまくってもらいました」というもの。その年に東京のチャートをにぎわせていたJ-ポップのなかから計32曲をチョイスしてMD(←時代ですね)に落とし、取材前にそれを聴いておいてもらって、特に気になった曲、なんならプロデュースしてみたいと思える歌手について話を聞くという企画だった。
でも多忙を極めるスーパー・プロデューサーですからね。正直、あらかじめちゃんと聴いておいてもらえるとは思ってなかったので、取材の場で曲を流しながら印象を聞こうと、そんな心づもりでこちらも同内容のMDを持って行ったわけです。ところが。なんと彼は取材前夜にホテルの部屋でその32曲すべてを2回通して聴き、気に入った曲をしっかり選んできてくれたのだ。しかも選んだ曲についての評が、さすがにどれも的確。例えば宇多田ヒカル「FINAL DISTANCE」について「熟練したヴォーカリストのように聴こえる。(当時)18歳? もっと上かと思ったよ。発音と発声法がいいから、日本語がわからなくてもどんなことを歌っているのか想像できる。今回聴いたなかで実際に会って仕事してみたいという気持ちになったのは彼女だけだね」。aiko「ロージー」について「(ジャケ写を見ながら)見た目より大人っぽい声だ。声質は違うけどリサ・ローブとかナタリー・インブルーリアを思い起こさせるね。リサは日常的なことをギターで自然に歌にしていたけど、それに似たニュアンスを感じたな」。またキリンジの曲に関して「スムース・シルキー・ヴォイス!」と歌声を褒め、EGO-WRAPPIN’の曲は「キャブ・キャロウェイとか好きなんだろうね。完全に自分たちのオリジナリティーをもっているから、僕が関われるところは何もないよ」と、そんなふう。多忙にもかかわらずその取材のために32曲入りMDを2回通して聴いてくれたこと、そして選んだ曲の印象を記憶したうえで核心を突いた感想を述べるその圧倒的な耳のよさに自分は感動し、これがスーパー・プロデューサーたるゆえんなんだなと改めて感じ入ったのだった。
さて、そんなベイビーフェイスの約3年ぶりとなる来日公演が11月にビルボードライブ(大阪と東京)で行われる。2015年の末に発表されたソロ名義で8年ぶりとなる最新作『リターン・オブ・ザ・テンダー・ラヴァー』は、90年代の“あの感じ”を思い起こさずにいられない極上のオトナR&B作品だったので、今回の公演でもスムース&メロウな世界観が堪能できることは間違いない。比較的最近ではブルーノ・マーズの大ヒット作『24K・マジック』に参加するなど、現在も第一線で活躍しているベイビーフェイス。その名曲群の美しいメロディーとやわらかな歌声に酔いしれよう。
プロフィル
内本順一(うちもと・じゅんいち)
エンタメ情報誌の編集者を経て、90年代半ばに音楽ライターとなる。一般誌や音楽ウェブサイトでCDレビュー、コラム、インタビュー記事を担当し、シンガー・ソングライター系を中心にライナーノーツも多数執筆。ブログ「怒るくらいなら泣いてやる」(http://ameblo.jp/junjunpa)でライブ日記を更新中。
ビルボードライブ
BBL 10th Anniversary Premium Stage
ケニー“ベイビーフェイス”エドモンズ
【東京公演】
公演日/ 2017年11月18(土)~20(月)
料金/ サービスエリア22,000円 カジュアルエリア20,500円(カジュアルエリアのみワンドリンク付き)
問い合わせ/ 03-3405-1133
所在地/ 〒107-0052 東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウンガーデンテラス4階
【大阪公演】
公演日/ 2017年11月15(水)、16(木)
料金/ サービスエリア22,000円 カジュアルエリア21,000円(カジュアルエリアのみワンドリンク付き)
問い合わせ/ 06-6342-7722
所在地/ 〒530-0001 大阪市北区梅田2-2-22 ハービスPLAZA ENT 地下2階
その他詳細についてはオフィシャルウェブサイトにて
PC/ www.billboard-live.com
Mobile/ www.billboard-live.com/m/