調べ・見立て(見立て)

編集長の「見立て」。コートは、秋の初めに買うに限る!

2017.10.19

山本 晃弘 山本 晃弘

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「プライベートスタイルで今年の秋購入したいものは?」という、ライフスタイル世論調査を実施しました。10月16日の時点での結果を見ると、「コート40%」という数字。「ジャケット32%、カバン16%、靴12%」といった、その他の選択肢を抑えてのトップです。夏が終わるか終わらないかのタイミングであった9月11日からアンケートをスタートしたことを考えると、意外な結果と思われるかもしれません。

「ボーナスが出る12月か、本当に寒くなる年を越さないとコートは売れない」というのが、これまでの定説。それが最近では、百貨店やファッション関係者が「いいコートは秋冬シーズンの立ち上がりの9月から売れる」と言います。こうした売り場のリアルな見立ては、上記のライフスタイル世論調査の結果とピタリと符合しているのです。

理由を推察してみましょう。暖冬が続いて、防寒の実需で購入していた消費者はコートを買わなくなりました。実際に、暖房の利いた効いた満員電車の通勤や車の移動には、コートは無用の長物のように思います。一方で、ファッションから考えると、コートは冬の着こなしを大きく左右する重要なアイテム。こうしたことをしっかりと理解している敏感な消費者が、色柄やサイズのバリエーションが豊富なシーズン立ち上がりに購入しているのです。これは、クールビズで売り上げが低迷したネクタイが、反対にファッショナブルなアイテムとして再注目されている状況と似ています。

実は、今年はコートが豊作。早めの完売が予想されます。人気の高いタイプは、例えばビッグシルエットのコート。大きめサイズのアイテムを着るトレンドは、数年前から女性の間で流行していましたが、男性ファッションにも広がってきたようです。体をゆったりと包むシルエットと豊かなドレープで、エレガントに見せてくれます。

あるいは、グレンチェックやヘリンボーンといった英国に由来する古典柄のコートも人気。そして、クラシックでありながらもベルトでアクセントをつけたり、メタルボタンを使ったりと、モダンな味付けが今年のコートの特徴です。ビジネスの着こなしだけでなく、コートにニットやデニムを合わせて、カジュアルなスタイルも活用してみましょう。

誰もが同じモコモコのシルエットになってしまうダウンと違って、ウールやコットンツイルのコートは、それぞれのシルエットによって、着る人のキャラクターを際立てるように思います。ある人は優雅に、ある人はセクシーに。そう考えると、週末のお出かけが楽しくなりそうです。

善は急げ。いいコートが欲しいのであれば、早めの購入がおすすめ。早く買って、シーズンが終わるまで長く着る。これが、「見立て人」からの提案です。

プロフィル
山本晃弘(やまもと・てるひろ)
AERA STYLE MAGAZINE編集長
「MEN’S CLUB」「GQ JAPAN」などを経て、2008年4月に朝日新聞出版の設立に参加。同年11月に、編集長として「アエラスタイルマガジン」をスタートさせる。雑誌の編集の傍ら、朝日新聞や朝日新聞デジタルに掲載する、ファッション&ライフスタイル系の広告コンテンツや動画の制作も手がける。現在はトークイベントを通じて、ビジネスマンや就活生にスーツの着こなしを指南するアドバイザーとしても活動中。

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Illustration:Akira Sorimachi

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