紳士の雑学

大人のパーティーウエア講座。
【第4回】スマートカジュアル

2017.12.22

写真・図版

年末年始は、言わずと知れたパーティーシーズン。ドレスコードが書かれた招待状を受け取ることも少なくないだろう。どんなドレスコードにも慌てず、スマートに対応したいもの。そこで、ブラックタイ、スマートエレガンス、ビジネスアタイア、スマートカジュアルの4つのドレスコードについて、ルールを押さえつつ、個性が光るパーティーウエア術を、松屋銀座のカリスマバイヤーにして、メンズ・ファッション関連の著作でも知られる宮崎俊一さんに伝授していただこう。

ラストとなる第4回は、スマートカジュアルについて。

「スマートカジュアルは、ある意味、いちばん難しいかもしれません。ブラックタイの場合は、キチンとしたルールを押さえる難しさがありますが、スマートカジュアルは、その逆でいろいろな解釈ができますから」

パーティーシーンのドレスコード講座の最終回は、スマートカジュアル。のっけからハードルが高そう……、と思われた向きもあるかもしれない。でも心配ご無用。

「アエラスタイルマガジンの読者にとっては、スマートカジュアルと言っても、仕事上の関係で呼ばれるパーティーを前提としたほうがいいだろうと考えて、ジーンズやプレスラインの入っていないパンツをはくことは想定していません。あくまでも、テーラードジャケットに、プレスラインの入ったパンツ、足元もレザーシューズを履くスタイルを提案したいと思います。デニムやスニーカーは、基本的にNGです。ハリウッドスターが何かのパーティーでちょっとはずした着こなしをするならいざ知らず、ここでは敢えて危険を冒さず、あくまで品と格を意識したコーディネートをおすすめしたいと思います。

最近、ラグジュアリーホテルで開催される“スマートカジュアル”がドレスコードのパーティーも多いのですが、実際に「ジャケットはマスト、ジーンズはNG」というのが会場になるホテルサイドの本音。どういう場所でのパーティーなのか、どういう招待客なのか、それを考えればおのずと着こなし方も決まってくるはずです」

では、具体的に解説していただこう。

「トルソーに着せた基本編も、私が着用している応用編も、ノータイのコーディネートとしました。ジャケットは、いずれもいまのトレンドを踏まえて、肩パッドの入らないリラックス感のあるものを選んでいます。冬物ですが、背中の部分に裏地が付かない背抜き仕様で、シンプルな大身返しと言われる仕立て方になっています。特にストレッチ系の素材ではない天然のウール素材でありながら、ハンド仕上げを要所要所に施したテーラリングの技術で可動域が広く、ニットジャケット的なやわらかい着心地が実現されています。見た目にもリラックス感がありますね。秋口から春先まで、やや長い期間にわたって着られるというメリットもあります。

どちらのジャケットも、2パッチポケットで、胸はハコポケットになっているのもポイントです。3パッチポケットよりもエレガントなイメージがあり、カジュアルだけでなく、幅広いシーンで着ることができます」

トルソーに着せた基本編は、ブルーにブラウンを効かせたコーディネート。このなかでは、コーデュロイベストが“キモ”になってくるという。

「基本編で合わせているコーデュロイのベストは、生地をワンウォッシュして、ちょっと着込んだようなニュアンスのある、中畝(ちゅううね)タイプのものです。ノーパッドのジャケットとマッチしますし、このベストの存在によって、茶のスエードの靴を合わせる意味合いが出てきます。スエードの靴を履くと、一気にリラックス感が増します。以前は冬のアイテムと捉えられていましたが、現在、畝が太くないコーデュロイは、オールシーズンOKです。シャツとチーフはブルー系にしていますが、ブルーとブラウンは相性がいい組み合わせだということを覚えておくと、ほかでも応用が利くと思います」

そして応用編では、デイリーなオシャレでも参考にしたいテクニックも。

「私が着ている応用編は、いわゆるドルチェヴィータスタイルですね。よりリラックス感を強調するために、ブリティッシュグリーンのタートルネックのニットを合わせ、足元にはスエードのブローグシューズ、ノークッションのパンツの裾からソックスがのぞいています。このソックスの色を拾って、チーフの色と合わせるのも、ちょっとしたポイントです」

小物類やコートはどうだろうか?

「時計は、ステンレスのブレスレットタイプや、スポーティーなクロノグラフもいいと思います。コートでおすすめしたいのが、ローデンクロスのステンカラーコートです。ローデンクロスとは、オーストリアの貴族がハンティングで着用するコートに使われていた、防寒性、撥水性に優れたウール×ナイロンの混紡素材です。これを使い、Aラインのステンカラーコートに仕立てたのが、これです。スーツにもカジュアルにも着られて、ホテルのクロークにも胸を張って預けられるクオリティーのものです」

こうした、アイテムやコーディネートのテクニックを使い、「リラックス感ときちんと感が共存したスタイル、それがスマートカジュアルです」と、宮崎さんは結論付けた。

4回にわたってお届けした、パーティーシーンの最新ドレスコード講座、いかがだっただろうか。これをマスターして、年末年始のパーティーシーズンがいっそう充実したものになることを、切に願う。

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ポイント01
ノークッションのパンツの裾から、ソックスをのぞかせる。このカラーを拾って、チーフやインナーの色と合わせるなどのテクニックを使えば、コーディネートに統一感が生まれる。スエード靴も、リラックス感の演出には欠かせない。

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ポイント02
トルソーに着せた基本編のコーディネートに合わせたい、茶のスエードのチャッカブーツ。茶のコーデュロイベストをもってきたことで、足元と相まって、リラックス感のなかにもエレガントさが演出できる。

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ポイント03
基本編で着用しているコーデュロイベスト。生地の段階でワンウォッシュして着込んだような風合いにした、中畝タイプ。ノーパッドのジャケットとの相性もよく、茶のスエード靴を合わせることにも意味をもたせることができる。

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ポイント04
オールマイティーなローデンクロスのステンカラーコート。オリーブグリーンで、特にブラウン系のコーディネートとの相性はばつぐん。防寒、撥水などの機能性にも優れ、本格的なレインコートによく見られるインナーまで貫通したポケットも備えており、フロントのボタンをかけたままスマホが取り出せて便利。オーストリア王室御用達のSEIDRA社の生地を使い、どこに出しても恥ずかしくないクオリティーやストーリー性も魅力的。まさにスマートカジュアルにうってつけの一着。

トルソー、ハンガー&置き:ジャケット¥60,000、ベスト¥18,000、パターンオーダーシャツ¥12,000(別料金でオプション可)、パンツ¥28,000、コート¥70,000/すべてアトリエメイド、チーフ¥8,000/フェアファクス、シューズ¥63,000/グレンソン(すべて松屋銀座5階紳士フォーマル 03-3567-1211[大代表])
宮崎さん着用:ジャケット¥60,000/アトリエメイド、パンツ¥19,000/カルツォーニ、チーフ¥8,000/フェアファクス(すべて松屋銀座5階紳士フォーマル 03-3567-1211[大代表])、その他は私物。

掲載した商品はすべて税抜き価格です。

Photograph:Sunao Ohmori(TABLE ROCK.INC)
Styling:Tomohiro Saitoh(GLOVE)
Text:Yasushi Matsuami

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