紳士の雑学

知っておきたい、コートのディテール
[トレンチコート]

2018.02.07

秋から冬にかけて、屋外での装いの主役はアウターウエアとなる。ひとくちにアウターと言っても、そのスタイルは実に多様。それらの歴史をひもとき、ディテールを堀り起こし、それぞれの役割や価値に思いをはせれば、男の装いはもっと楽しくなる。

Detail トレンチコートの細部

写真・図版

①エポレット
将校の階級章をここに示したことから、一般的にエポレット(肩章)と呼ばれるようになった。正確にはショルダーストラップ。

②ガンパッチ
銃を撃った衝撃を和らげるための工夫。銃身に雨水が入るのを防ぐ用途も兼ねた。下襟を合わせ上にかぶせれば雨風の侵入も防止できる。

③かぎフック
雨風を防ぐために襟を立たせたときに、のど元をしっかりと留めるための金属製のかぎ。取り付けには高度な職人技を要す。

④スロートタブ
上襟を立てその上から前面を押さえるために取り付けられたタブ。風雨の侵入を防ぎ、のど元を防寒する。未使用時は襟裏に収納可能。

⑤ストームポケット
内部に雨が入らないようにボタン留め式の雨ぶたを付けたポケット。コートを着たまま中の上着のポケットに手が届く仕様が一般的。

⑥スリーブストラップ
風雨が強いときに袖口を締めてこれを防ぐとともに、腕の動きで袖がまくり上がらないように取り付けられたバックルを装着した袖ベルト。

写真・図版

⑦ラグランスリーブ
襟ぐりから袖付けされたラグランスリーブは、肩の可動範囲や運動量を最大限確保。軍用衣料としての本来の機能を彷彿させる。

⑧アンブレラヨーク
雨が降りかかる背上部のヨークは、2枚の布を縫い合わせてケープ状に設計される。動きを妨げないように末端は縫い付けていない。

⑨Dリング
D字形であることからこう呼ばれるベルトに取り付けられた金属製のリング。ナイフや水筒、そして手榴弾を下げるために利用した。

⑩インバーテッドプリーツ
内側に箱ひだを備えたプリーツ。裾が大きく開くので脚の動きを妨げることがない。普段はボタンを留めて広がりを抑えることも可能。

トレンチの歴史

第1次大戦下、英国陸軍が塹壕(トレンチ)戦の戦闘服としてトレンチコートを採用したのは紛れもない事実だ。しかし、誰がいつこのコートを開発したのかというとそれは定かになっていない。ただ、その兵士の命を守るための機能を昇華させ、品質を高める努力を惜しまない英国職人気質をもって、今日まで発展させたのはアクアスキュータムとバーバリーの両ブランドの貢献があってのこと。究極のレインコートとしての比類なき実力は、誕生以来100年以上も愛されつづけている歴史が雄弁に物語る。

出典:永久保存版「スーツ」着こなし事典(朝日新聞出版)

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