カジュアルウェア
ファッション トレンド スナップ18
ピッティレポート遅報!? タートルネックのセーターがリバイバル。
ビジネスからデートまで着こなせる便利アイティムの着こなしの技を解説。
2018.02.16
SNSで見るピッティのスナップは、ありとあらゆる種類のスタイルが取り上げられていますが、実際に日本で同じような格好をしてしまうとかなり浮いてしまうものがほとんど。そこで、これなら日本でも実践できる!?というスタイルを厳選してチョイスしてみました。
今回その答えがこのスナップの中に隠れています。「わかるかな~わかんね〜だろ〜な〜」©松鶴家 千とせ
答えは、タートルネックセーターです。日本では、その昔「とっくりセーター」と呼ばれていたことも。イタリアのファッション関係者は「ドルチェ ビータ」(甘い生活)とカッコつけて言う人もいます。
ちなみに右の御仁は、白のタートルネックセーターですが、とても品よく見えますよね!! 白シャツと同じ感覚で合わせられるので、どのようなコーディネートにも合う万能選手ながら、日本では案外着ている方を見ることが少ないように思えます。
原因は、秋冬に白セーターを着る習慣が日本にあまりないからでしょうか? 白は寒々しく見えるのと、汚れを気にするからでしょうか……。どちらにしても、この御仁の様にコーディネートすると品格ある大人のスタイルが簡単に出来上がるので、ぜひトライしていただきたいアイティムです。若いうちは、黒とかグレーのモノトーンのタートルセーターも似合いますが、ある程度年齢が上がってくると顔映りの良い白や明るい色目のアイティムをVゾーンにもってきたほうが、老け込んで見えず顔色もよく見えるので女性(男性も)からの評判も上がるはずです。
隣の女性は、トレンド(Wジャケット、英国柄パンツ)が満載でインパクトも半端ないですね!!
こちらの御仁は、ビジネスでタートルネックを使う場合のコーディネート例。キャメル→ライトグレー→モカブラウンというラグジュアリー感漂う色の組み合わせ。
ここで大切なのが、コートの下に着たライトグレースーツ。ここがネービーやチャコールグレーだとこの感じは出せません。カバンのダークブラウンも隠し味となって、このカラーリングの上品さを際立てています。
日本の冬のビジネスシーンも最近はノーネクタイでOKな会社が増えてきました。シャツをボタン開けて着るより、タートルネックの方がリラックスしつつも程よくきちんと感が出るので、ビジネスでの現場でもっと活用されてもよいのではと思います。
こちらはモード編。なんでスタジャンがモードなの?とつこみたくなる年配の方も多いと思いますが、こんなスタイリングが今のパリやニューヨークのモードな感じなのです。
この御仁も白タートル!! 足元はお約束の白スニーカー。ピッティ会場の中ではなく、サンタマリア ノベッラ教会の裏の広場でスナップしたものですが、この様なスタイルの人もピッティに参加しているのが、ピッティの良いところ。
モード、クラシック、アメカジなどなどがミックスされたメンズの総合的なファッションの国際見本市ならではの良いところです。パリのメンズコレクションには、ここまで多様なファッションの人は集まりませんので……。
こちらは、イエローのタートルネックをニットジャケットに合わせたニット オン ニットのコーディネート。
この御仁の色合わせは、かなり難度が高いので誰にでも似合いますとは言えませんが、髪の毛に白い色が混じりだした方の方が、ファッションを楽しんでいる姿は日本の男性も見習うべきではないでしょうか。「定年したら、もう服は買わないで良いよ、あるもの着てりゃ充分」なんて言わず人生楽しんだ者勝ちですから。
イタリアのファッションブランドは日本でもかなり知れ渡りましたが、イタリア人のこうしたファッションの裏に隠された「服を通して生活を楽しんだり、美しいものを愛し便利さや機能性よりも優先する」という考え方が浸透すると、日本の男性のライフスタイルも幅が出るのでは。
プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに通い、日本人でもまねできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こなしを求めたトレンドウオッチを続ける。
Photograph & Text:Yoichi Onishi