カジュアルウェア
ファッション トレンド スナップ19
この時期に欠かせない春コートの着こなしをピッティやミラノ コレクションからチョイス。
2018.03.13
梅の花が咲き始めたこの時期、暖かい日があったかと思うと急に真冬に逆戻りすることがあるので、コットンや薄手ウールなどの春コートは必需品。コートと聞くとビジネスでしか着ないという方もいるかもしれませんが、実は着こなし方を変えればショッピングから美術館巡りなど様々な場面で活躍する万能選手なのです。
講釈はこのくらいにして、スナップを見てもらいましょう。
こちらにお揃いの方々のコートは、かなり個性的。
特に真ん中んで腕組みしている御仁のコートは、定番のトレンチコート!?に見えますが、よくよくディテールを確認するとヴィンテージのミリタリーコートのデザインを再現したものだということがわかります。まずは、前身ごろの下に小さなストラップがついていますね。ポケットは大きめのフラップにスナップボタンが付き、着丈も膝下というクラシックな英国調。ピッティのトラッド系に限らずミラノやパリのモード系も今年はの春コートは、ミリタリー系デザインが主流。着丈も膝下丈に戻ってきています。
とは言っても、実際日本でリアルに取り入れられるコーディネイトとなると、向かって左側のボストンメガネの御仁。優等生のイメージの強いステンカラーコートも、エリを無造作に立てるだけでスポーティ(ちょっと不良)な雰囲気変わります。是非トライしてほしいテクニックです。
左の御仁は、Pコートをウールではなくトレンチコートで良く使われるコットン ギャバジンで仕立てたもの。
ここで見逃せないのがコートの着丈。コートとしてみると着丈はかなり短いですが、ちゃんとスーツの上着(すそ)は見えない長さになっています。日本で春先に出回るコートの中には、極端に着丈が短いものがありますが、ビジネスで使うならこの御仁のように、スーツの上着が隠れる長さを選びましょう。
こちらの御仁は、ピッティ会場内でスナップさせていただいたのですが、かなりカジュアルなコートスタイル。しかしコーディネイトには、洋服のプロならではの難度の高い技が散りばめられています。
まずは、バブアー系のコットン地にワックスがかけられたコートですが、着丈も長いしシルエットはAライン。古着をリメイクしたのでしょうか?確かイギリスの乗馬(バイク)用のコートとかにこの感じに近いものがあったかと……。
足元は、ブルーのスニーカーにすることで、ベタな古着系のコーディネイトになっていません。それもスニーカーをよく見るとヒモ無しです。このスタイルは、昨年から続いているスニーカーのトレンドの一つ。
チノパンすそをロールアップしてターコイズブルーのソックスをチラ見せしています。このバランスはさり気なくできているように見えますが、実はかなり計算されたものだと思います。
こちらの御仁は、ミラノでのスナップ 。グレンチェック柄☓トレンチコートという典型的なブリティッシュな組み合わせですが、全体感はとてもモードな感じにまとまっています。
この雰囲気が、ミラノやパリの一番新しいトレンドなのです!! 2018-2019秋冬のレディースのコレクショで様々なメゾン系ブランドがこうした英国柄☓クラシックコートという打ち出しをしているのです。
コーディネイトのポイントは、インナーをモノトーンでまとめて、白シャツのエリを立てているところ。それとコートのベルトを結ばないで垂らすことで、モード感をより強くアピールしています。
シメのデザートはこちら。
ドルチェ&ガッバーナのコレクションに来ていた有名なハンブルグのブローガーCaro Daurさん。
こんなコート着て銀座歩いている人いないかな〜。春が早くこないかな。
プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに通い、日本人でもまねできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こなしを求めたトレンドウオッチを続ける。
Photograph & Text:Yoichi Onishi