お酒
果実味にあふれた華やかな「シャトー・ポタンサック」
[今週の家飲みワイン]
2018.04.06
今月フォーカスするぶどう品種は「カベルネ・ソーヴィニヨン」。世界で最も栽培されている、言わずと知れた黒ぶどうの一種だ。原産地はフランスのボルドーで、さらに古い時代から存在するカベルネ・フランとソーヴィニヨン・ブランの自然交配から生まれた品種だ。小粒で皮が厚く、種が大きく、果肉分が少ない。これが、タンニンと酸のしっかりしたフルボディーのワインを造る要因となる。また、ほかの品種と合わせることで、よりその特徴が際立つという性質をもつため、ボルドーではカベルネ・フランやメルローなどとブレンドしてワインに仕上げるのが一般的。さらに、酸とタンニンが豊富なことから、長期熟成にも向き、よりよりエレガントな味わいへと昇華するポテンシャルを秘めている。
「ボルドースタイルと言われる、ボルドーらしさのとてもよく出た一本です」と大橋直誉さん。「ボルドーではカベルネ・ソーヴィニヨン100%というワインは造られていません。ブレンドが基本です。これは60%以上カベルネ・ソーヴィニヨンが使われているため、ボルドーの赤のなかでもカベルネ・ソーヴィニヨンの個性がよく出ています。」
シャトー・ポタンサックは、ボルドーの左岸、メドックの中央に位置する、2級シャトーながら、格別に高品質な“スーパーセカンド”ワインを造ることで知られる「シャトー・レオヴィル・ラス・カーズ」が手がけるワインだ。「何がボルドーらしいのかというと、まず香りです。凝縮したベリー系の香りのなかに、樽由来の鉛筆の芯のような香りがあり、それが爽快感となって食指をそそります。味わいは、酸味と甘みのバランスのとれた豊かな果実味と、それを下支えする柔らかなタンニンがまさにボルドーならではの特徴です」
そして何より素晴らしいのが、コストパフォーマンス。これだけボルドーらしさが3000円未満で味わえるのだから驚く。2004年のマスターズオブワインの「最もお買い得なボルドーワイン」に選ばれたり、ワイン評論家ロバート・パーカー氏も「熱心なボルドーワインの愛好家なら試さなければおかしいと言える高品質」と評したほど。早速試してみよう!
Photograph:Makiko Doi