お酒
まさに教科書どおりのおいしさ「テキストブック2016」
[今週の家飲みワイン]
2018.04.13
カリフォルニアのナパバレーで造られるカベルネ・ソーヴィニヨンの典型的な味わいを有するワイン。「まさに、テキストブックの名のとおりのワインです。この“教科書”っていう名前をつけるという発想も日本人にはないというか、面白いですね。それも自信の表れなのでしょう」と大橋直誉さんは言う。
テキストブック2016をひと口飲めば、チェリーや黒すぐりなどの黒系の果実味が口中にあふれ、スパイスとほんのりスモーキーな香りが鼻孔を抜ける。また、樽由来のバニラの風味に、やわらかなタンニンが合わさった、馥郁(ふくいく)たる余韻がいつまでも残って心地よい。
「若干のメルローがブレンドされていますが、主となるカベルネ・ソーヴィニヨンが収獲される畑は、驚くほど凝縮感のあるカリフォルニアのカルトワインとして名高い、『スクリーミング・イーグル』の隣にあり、メルローの畑は『オーパスワン』の隣といえば、『テキストブック』がいかに恵まれたテロワールから造られているか、想像できるでしょう。完成度の高さでは申し分なしですが、料理とマリアージュさせるというよりも、ワイン単体で楽しみたい、そんな味です。しいて合わせるとしたら、パルミジャーノレッジャーノなど、ハード系のチーズくらいですね」
オーナー兼ワインメーカーのジョナサン・ペイと妻のスーザンは2人合わせて50年以上の経験をもつ、ベテランの造り手だ。夫のジョナサンはフランス、イタリア、ポルトガル、オーストラリア、ニュージーランドと新旧のワイン造りを体験し、スーザンはアメリカでもトップクラスのレストラン・ワイン・バイヤーのひとり。そんな彼らが、テキストブックと名付けたワインなのだから間違いなし。
「タンニンもほどよく利いたフルボディですから、10年、20年と熟成させても楽しめます。リーズナブルな価格で手に入る、いまのうちに買っておくのもいいですね」
Photograph:Makiko Doi