カジュアルウェア
ファッション トレンド スナップ21
春先に重宝する4ポケットジャケットは、小物使いと配色でイメージがガラっと変わる!?
2018.04.12
コットンやナイロンできた4ポケットのジャケットは、襟の形やポケットのデザインの違いによってサファリジャケット、M65ジャケット、ライダースジャケットと呼ばれています。
どれも、砂漠、ジャングル、未舗装の山岳地帯といったエリアで着るための服として生まれたものでしたが、最近はセレクトショップや百貨店でよく見かけるようになったり、ファッション誌が特集したりしたので熱心なファン以外にも徐々に人気が出てきています。
元々はかなり硬派な服なのですが、実はジャケットの色のチョイスや小物の組み合わせ方次第ではエレガントに着こなすことも可能です。今回はそのへんをスナップを参考にレクチャーしてみたいと思います。
トップバッターはこの御仁。バイクに乗るためのジャケットとして作られた4ポケットのジャケット(Belstaffのロードマスター)にマドラスチェックのネクタイを合わせることで、男くささを払拭し、物腰が優しくどことなく可愛いさが漂うコーディネートに仕上げられています。キーポイントは、ジャケットの色。ネイビーやブラックだとこの感じにはなりません。
よ~くコーディネートを見ると下にテーラードジャケット着ていますね。これからの季節なら、ネクタイをはずして下に柄もののジレ(ベスト)を着るのもおすすめです。
それと、かなり難度が高いのですが、ベルトは絞めても前の合わせはピッタリ閉じるのではなく、この御仁のようにちょっとだけインナーが見えるように隙間を開けるのが、このタイプの服(ベルトの付いた上着)の最新の着こなしテクニックです。
こちらの御仁は、M65(ミリタリージャケットの一種)タイプの4ポケットジャケットをモードに着こなした一例。
全身モノトーンという一見ありきたりな着こなしに見えますが、実は小物でバージョンアップされているのです。まずは、足元。ここが白のスポーツ系スニーカーになっているのは見逃せません。少し前のトレンドでの組み合わせなら、黒のサイドゴアブーツやウイングチップといったレザーシューズが王道でした。
あえて、靴をスポーツ系スニーカーにしてはずすというスタイリングは、日本の女性ファッション誌では定番になっていますし、パリやニューヨークではスーツ(ただしネクタイはしていません)にスニーカーというスタイリングも珍しくはありません。
それとこの御仁のスタイリングで見逃せないのがキャップの使い方。レザーキャップをかぶることで、大人の上質感を醸し出しています。ここを、ベースボールキャップにするスタイリングも悪くはありませんが、どうしてもアメリカ的なカジュアル感が強く出てしまい、この御仁の雰囲気がガラっと変わってしまいます。もちろんそこは好みの分かれるところですが……。
以上4ポケットジャケットの着こなし方についてあれこれ書きましたが、実はジーンズにTシャツでも様になってしまうのが、このジャケットの最大の魅力。まだ購入されていない方は、ぜひ試着してみてください。通勤用の春コート、旅行の上着、普段のお出かけ着として重宝するはずです!
プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに通い、日本人でもまねできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こなしを求めたトレンドウオッチを続ける。
Photograph & Text:Yoichi Onishi