腕時計
バーゼルワールド2018 レポート
タグ・ホイヤー
2018.05.30
年明け1月のSIHH(ジュネーブサロン)に続いて、バーゼルワールドがスイスで3月22日〜27日に開催された。1917年から始まった商品見本市をルーツとして、昨年に100周年を迎えた国際的な時計と宝飾の展示会。多彩な新作が数多く披露された。今年のトレンドは最後にまとめるとして、日本でも人気の高い有力ブランドから注目のモデルをピックアップしていく。
「カレラ」誕生55周年を記念して、GMT搭載のクロノグラフを追加
タグ・ホイヤーはモータースポーツとの関係が深いブランドだが、グーグル、インテルと提携して2015年に発表したスマートウォッチ「タグ・ホイヤー コネクテッド」が世界的に大ヒット。昨年からさまざまなストラップやラグにカスタマイズできる「タグ・ホイヤー コネクテッド モジュラー45」を展開。今年はケース径を41㎜にサイズダウンしたコレクションを追加するだけでなく、合計23.35カラットのバゲットダイヤモンドをセットした超高価なハイジュエリーモデルも発売された。
このようにラグジュアリーなスマートウォッチで快進撃を続けるタグ・ホイヤーだが、伝統的な得意分野である機械式クロノグラフでも意欲的な新作が数多い。なかでも代表的なコレクション「タグ・ホイヤー カレラ」が誕生55周年。これを記念して、クロノグラフにGMT機構(第2時間帯表示)を搭載した新バージョンに注目したい。ケース外周のセラミックベゼルが24時間計となっており、赤い針がもうひとつの時間帯(母国時間など)を示す。昼と夜を色分けしたつやのあるブラックとブルーがしゃれたアクセントに。スケルトンのムーブメントも立体感があり、機械式メカの魅力を堪能できる。
また、「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー16 クロノグラフ ジャパンエディション」として、日本限定400本の特別モデルもラインナップ。現行コレクションにはないローマ数字のインデックスに、ローズゴールドの針がブラックダイヤルに映えるドレッシーなモデルに仕上がっている。
1969年に発表された「モナコ」は、世界に先駆けた自動巻きクロノグラフを、やはり世界初の角形防水ケースに搭載した革新的なモデルだった。1971年公開の映画『栄光のル・マン』でスティーブ・マックイーンが着用して伝説的な存在となったが、「ホイヤー モナコ キャリバー11 クロノグラフ ガルフ エディション」が登場した。タグ・ホイヤーとガルフ オイル インターナショナルとのパートナーシップ締結を記念したモデルであり、ブルーとオレンジのストライプが目を引く。このカラーリングとガルフのロゴ以外は、ムーブメントのキャリバー11をはじめとして初代のスタイルを継承。ケースの左側にリュウズ、右側にクロノグラフのプッシャーだけを配置していることが際立った特徴だ。サブダイヤルをケースと同じ正方形にして、1時、5時、7時、11時のインデックスを水平の長いバーにするなど、デザイン的にも独創性が高い。
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問/LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー 03-5635-7054
プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。