腕時計
バーゼルワールド2018 レポート
ゼニス
2018.06.05
年明け1月のSIHH(ジュネーブサロン)に続いて、バーゼルワールドがスイスで3月22日〜27日に開催された。1917年から始まった商品見本市をルーツとして、昨年に100周年を迎えた国際的な時計と宝飾の展示会。多彩な新作が数多く披露された。今年のトレンドは最後にまとめるとして、日本でも人気の高い有力ブランドから注目のモデルをピックアップしていく。
次世代を担う「デファイ」のバリエーションが増加
ゼニスのクロノグラフ・ムーブメント「エル・プリメロ」は、1/10秒を計測できる高精度で世界的に知られている。これを1/100秒、つまりコンマ以下の秒数を1ケタから2ケタに劇的に進化させたムーブメントが、昨年に発表された「デファイ エル・プリメロ21」だ。クロノグラフ機構を動力ゼンマイも含めて時計本体とは完全に独立。それによって毎秒100振動(50Hz)の高速テンプが可能になったのである(時計本体のテンプは毎秒10振動)。時分針と同軸の長いクロノグラフ秒針は、ダイヤルを疾走するように1秒で1周。その俊敏な動きに圧倒されるが、外周には100分の1秒単位の目盛りが表記されているので、読み取りも容易だ
今年はこの「デファイ」コレクションのバリエーションが大幅に増加した。「エル・プリメロ 21」では、ケース素材にチタンやローズゴールド、ベゼルにダイヤモンドをセットした豪華なモデルも登場している。また、光沢のあるブラックのハイテクセラミックをケースに採用した新作も追加。ブレスレットも同じ素材にしたモデルはスタイリッシュかつ精悍(せいかん)なイメージ。パーツを凝縮したような密度の高いスケルトンのダイヤルが、次世代の機械式クロノグラフであることをアピールしている。
この「デファイ エル・プリメロ21」の未来的なエッセンスを、3針の自動巻きとして展開したのが「デファイ クラシック」だ。ゼニスが誇るもうひとつの自社製ムーブメントの薄型自動巻き「エリート」を搭載。ケースには軽量で剛性が高く、耐食性にも優れたチタンを採用している。ファセットカットを施したバーインデックスやスケルトンダイヤルがモダンなイメージ。ブルーのミニッツリング(分/秒目盛りの帯)が個性的なアクセントになっている。
ゼニスはパイロットウオッチの分野でもパイオニアであり、そのオリジンを彷彿とさせるネオレトロなコレクションを2012年に発表。ビンテージ感たっぷりのラージケースが世界的な人気となったが、つやを抑えたマットなブルーダイヤルに経年変化を楽しめるブロンズケースの新作が登場。ブルーのオイリーヌバックレザーストラップが、古き良き時代の冒険精神を感じさせる。また、同じくブロンズケースで直径40㎜モデルも追加。手首が細い人にもフィットするサイズが揃った。
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
問/LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン ゼニス 03-5524-6420
プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。