腕時計
バーゼルワールド2018レポート
ブライトリング
2018.06.07
年明け1月のSIHH(ジュネーブサロン)に続いて、バーゼルワールドがスイスで3月22日〜27日に開催された。1917年から始まった商品見本市をルーツとして、昨年に100周年を迎えた国際的な時計と宝飾の展示会。多彩な新作が数多く披露された。今年のトレンドは最後にまとめるとして、日本でも人気の高い有力ブランドから注目のモデルをピックアップしていく。
パイロットウォッチの新コレクションが本格デビュー
ブライトリングはパイロットウォッチで世界的な人気を誇るブランドであり、日本でもファンやコレクターは少なくない。昨年、イギリスの投資ファンドが同社の主要株主となり、IWCを急成長させた立役者として知られるジョージ・カーン氏が新CEOに就任したことから、製品戦略などの動向が注目されていたが、バーゼルワールドで新コレクション「ナビタイマー 8」が本格的にデビューした。
1952年に登場した初代「ナビタイマー」は世界初の航空用回転計算尺(フライト・コンピューター)を装備したクロノグラフ。新コレクションではナビタイマーの名を冠しつつも、その語源「ナビゲーション+タイマー」の真意を汲み、1952年以前に同社が手掛けた航空計器から着想を得ている。シンボリックな回転計算尺ではない両方向回転ベゼルが採用されているのはそのためだ。モデル名の「8」は、軍民両用の航空計器の製造を目的として1938年に同社に設立された「ユイット(フランス語で8の意味)アビエーション部門」に由来している。この部門が製作したダッシュボードクロックのベゼル上の刻みや文字盤の書体、1940年代のパイロットウォッチに採用されていた12時位置に刻まれたアワーマーカーなどのディテールが新コレクションに活かされている。
今後は「ナビタイマー 1」として継続する従来の航空用計算尺搭載モデルと比べて、細かな目盛りがなく、ベゼル周りの数字もすっきりと整理されているため、「ナビタイマー 1」は機能重視の航空服、「ナビタイマー 8」はスタイリッシュな背広やビジネスシーンにマッチすると表現すれば異論があるだろうか。
5モデルがラインナップされており、代表的なモデルは自社製造ムーブメントのキャリバー01を採用した「ナビタイマー 8 B01 クロノグラフ 43」。30 分積算計、12 時間積算計を備えたクロノグラフで、前述したようにベゼルの外周に刻まれた 60 の小さなグリップ(ノッチ)がコレクション共通の装備。ベゼルの三角マークを分針に合わせて短時間を計測する際 (経過時間またはカウントダウン)に1分目盛りとして使用できる。
「ナビタイマー 8 B35 オートマチック ユニタイム 43」は、時差の異なる世界 24 都市の現在時間を表示するワールドタイム。メインの時分針は12 時位置にある都市に対応している。他の時間帯に移動する場合は、リューズを回してその都市名を 12 時位置に合わせるだけで、すべての表示が連動する。
昨年から経営母体が変わったとはいっても、恒例の日本限定モデルは今年も健在。合計5モデルが発表された。1000m防水というスーパースペックのダイバーズウォッチ「スーパーオーシャンⅡ 44 ジャパンエディション」では、レギュラーモデルにはないバーインデックスを採用。シャープでモダンなイメージに仕上がっている。
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
問/ブライトリング・ジャパン 03-3436-0011
プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。