旅と暮らし
簡単でヘルシーな、ティーの楽しみ方。
2018.06.06
コーヒーと比べて種類や飲み方が豊富で、入れ方が難しそうという印象のあるお茶。“ティータイム”や“お茶”という言葉も、男性にとっては少しなじみが薄いかもしれない。
「ティーはカップとお湯さえあれば、誰でも簡単に入れられて、どこでも楽しめる。また疲れているとき、元気になりたいとき、ゆっくり眠りたいとき、目を覚ましたいとき……と、生活のいろいろなシーンや体調に合わせて選べ、ハーブのもつ力やカフェインの量で、体調管理の手助けをしてくれる。ヘルシーで、とても身近な飲み物なんです」と語るのは、世界各地のティーブランドを紹介するTEAWELL代表、北条史子さん。
そんな北条さんに、“ティー”とは? その定義を教えてもらった。
「お茶というと和を想像するし、紅茶というといわゆるブラックティーだけのことを指すので、私は広く“ティー”と言うようにしています。本当は、茶の木から採れたものだけがお茶なのですが、そこから派生して、いまではごぼう茶やドクダミ茶など、さまざまな植物の抽出液がお茶と呼ばれています。ティーは大きく分けると、紅茶、中国茶、ハーブティーの3種。茶の木から採れるものは、発酵度によっていろいろな種類のお茶になります」
●紅茶
中国発祥の全発酵茶のことを言い、主な産地はスリランカ、インド、ケニア、中国など。近年は和紅茶(熊本、鹿児島、沖縄、静岡など)も話題。日本に輸入されるティーの大半はスリランカ産。インド産ならアッサムやダージリンも人気だ。
●ハーブティー
ツバキ科カメリア・シネンシスという樹木から採れる、葉以外の草木や花、実をティーのように抽出したもの。カフェインフリーのものが多い。
「ハーブにはそれぞれ、効果効能を期待できる特徴があります。例えばルイボスなら抗酸化作用、ごぼうなら身体を温めて毒素を排出する、カモミールなら気持ちを穏やかにするなど。目的に合わせたものを飲むといいですね」
●中国茶
中国茶は発酵方法や製造方法によって、以下の7つに分類される。
1.緑茶(不発酵茶)
2.白茶(弱発酵茶)
3.黄茶(後発酵茶)
4.青茶(半発酵茶=烏龍茶のこと。発酵、焙煎の度合いによりバリエーション豊か)
5.紅茶(全発酵茶)
6.黒茶(後発酵茶・全発酵茶。微生物による発酵)。そのうち、福建省プーアル県で生産されたものがプーアル茶。
7.花茶(菊茶、薔薇茶、ジャスミン茶など、茶葉に花を混ぜたもの)
●注目のブレンドティー
ブレンドティーにはルールはない。いくつかの産地の茶葉を混ぜたものもブレンドティーと呼ばれる一方、特定の茶葉をベースに、ハーブやスパイスをブレンドしたものはもちろん、さまざまなハーブ同士をブレンドしたハーブブレンドティーもあり、睡眠やデトックス、消化促進など、目的別のバリエーションも豊か。ハーブの力を借りて、ヘルシーな水分補給がかなう。欧米では、緑茶ベースのブレンドティーやフレーバードティーも人気がある。
「ブレンドティーは世界的なトレンドで、より本格的なお茶で楽しめるようになりました。ブレンドティーの面白さは、組み合わせの妙。掛け合わせることで、新たな味わいが生まれます。そこがコーヒーにはない、ティーらしさ。香料を使わず、天然のものをブレンドすると、ブレンドする人のセンスが如実に表れます。特に「LOVE TEA」は創業者が自然療法士でもあるので、ハーブの豊富な知識に基づいてブレンドされています。胃腸が重いときには消化を促すティー、出張で眠りたいときにはスリープというティーもあり、それぞれ目的に合わせて飲んでほしいです」と北条さん。
最後に、おいしくティーを入れるポイントを教えてもらった。
「中国茶は、1煎目は捨てるなど細かな入れ方がありますが、紅茶はミネラルウォーターよりくみたての水道水をろ過したもの、もしくは浄水を使うことくらい。それから入れるときはふたをして、きちんと蒸らすこと。またティーバッグの場合は、揺らしたり絞らず、静かに入れておいておくだけで、きちんと茶葉が広がっていきます。
ティーバッグはリーフより劣るというのは、いまでは過去のもの。ピラミッド型ティーバッグ(世界のティーブランドの9割が日本の機械を使用)の技術により、ティーバッグのティーも格段においしくなり、手軽に本格的なものを楽しめるようになったんです。
私は大きなマグカップに入れて、ラフに楽しんでいます。男性の方にも、もっとカジュアルに楽しんでいただけたらと思います」
ー TIPS! 新感覚のティーの楽しみ方 ー
ターメリック(ウコン)を使った、スパイスティーは全く新しい味わい。
「ターメリックは豊富な抗酸化成分を含み、巡りを整え、消化をサポートするなど、古くから用いられてきたスパイスです。サプリではなく、こういう状態でターメリックを飲用したり食べるのが、スーパーフードへの注目度への高まりとともに、はやってきています」
「LOVE TEA」のターメリックを使ったティーは2種類。パウダー状の「ゴールデンスパイス」と、ドライのピースを使った「ターメリック」。どちらも材料はターメリック、シナモン、ブラックペッパーなどシンプルで、チャイを楽しんでもらうのにも適したブレンドのひとつ。
「パウダー状の方はミルクになじませるだけなので、入れ方も簡単です。厳密に言うとお茶ではないですが、新しいティーの楽しみ方ですね」
次回は「アイスティー」の簡単な入れ方を紹介する。
Photograph:Hiroyuki Matsuzaki(INTO THE LIGHT)
Text:Mayumi Akagi