腕時計
バーゼルワールド2018 レポート
カール F. ブヘラ
2018.06.13
年明け1月のSIHH(ジュネーブサロン)に続いて、バーゼルワールドがスイスで3月22日〜27日に開催された。1917年から始まった商品見本市をルーツとして、昨年に100周年を迎えた国際的な時計と宝飾の展示会。多彩な新作が数多く披露された。今年のトレンドは最後にまとめるとして、日本でも人気の高い有力ブランドから注目のモデルをピックアップしていく。
トゥールビヨンが宙に浮く!世界初のモデルを発表
カール F. ブヘラは時計宝飾店をルーツとして、1919年からオリジナルの時計づくりをスタート。2008年には「ペリフェラルローター」による自動巻きムーブメントを自社開発して念願のマニュファクチュールとなった。一般的な自動巻きは半円形のローターが回転するのだが、このムーブメントではリング状になっており、シースルーになっているケースバックを覆わないというメリットがある。
今年は創業130周年となり、アニバーサリーにふさわしい世界初のトゥールビヨンが発表された。トゥールビヨンは時計の心臓部にあたる調速脱進機構をキャリッジ(ケージ)にまとめて、これを回転させることで重力の影響を平均化する仕組みだが、この機構を支えるブリッジが表側にも裏側にもない。つまり宙に浮いて見えるのである。ブリッジがなく地板だけで支えるタイプをフライングトゥールビヨンと呼ぶが、これをさらに発展させた革新的な機構だ。自動巻き「ペリフェラルローター」では3カ所に配置されたセラミック製ボールベアリングが円滑な回転を保持しており、この仕組みを小型化したと表現できるだろう。このため、自動巻きと併せて「マネロ トゥールビヨン ダブル ペリフェラル」とネーミングされている。
計測途中でもワンプッシュですべてをゼロからリスタートできるクロノグラフ「マネロ フライバック」では、ブラックダイヤルのモデルが登場した。2つ目玉(スモールセコンド、30分積算計)にクサビ型インデックスがシャープで知的な印象。ビジネスシーンにもフィットする。ストラップをブラックで統一するのでなく、敢えてダークブラウンのアリゲーターを組み合わせており、紳士らしい余裕と優しさも感じさせる。
「アダマビ」はタイムレスなシンプルビューティをコンセプトとするコレクションだが、新たにミラネーゼブレスレットモデルをラインナップに追加。ケース径は39㎜、31㎜の2種類でいずれも自動巻き。ペアウォッチとしても愛用できる。ちなみに「アダマビ」とは、ラテン語で「喜びを感じる」または「好きになる」という意味。
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
問/ブヘラジャパン 03-6226-4650
プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。