お酒
地中海の辛口が暑い日本の夏にぴったり!
セリェール・ピニョル ヌエストラ・セニョーラ・ポルタル 2013
[今週の家飲みワイン]
2018.07.20
「カタルーニャの南に広がる、DOテラ・アルタは、これまではワイン産地としては見向きもされないマイナーな土地でした。ところが最近、自分たちのエリアを見直そう、そんな志の高い若い世代の生産者が増えてきたのです。彼らが造るワインの多くは、肩の力が抜けているのに、ちょっとだけ都会的なセンスの入った味わいに仕上がっています。目指しているのは、特別の日のワインではなく、日々の食事を楽しむためのワイン。セリェール・ピニョル ヌエストラ・セニョーラ・ポルタルは、まさにそんな一本です」と梁 世柱さんは言います。
セリェール・ピニョル社は1945年に創立されたワイナリーだが、長年にわたり「トーレス」社など、ペネデスの大手生産者にワインをバルク売りするような、典型的なテラ・アルタのワインメーカーだった。ところが、1995年に4代目のフアンホ・ガルセラ・ピニョル氏に代替わりしてから一念発起、自社瓶詰を開始した。ぶどう栽培においても有機栽培を実践し、収量を抑えるなどして高品質なワインを目指し、めきめきとクオリティーを向上させてきた。地ぶどうを使ったおいしいワインを造りたい、の思いから、この一本も「ガルナッチャ・ブランカ」を85%使用している。
「土地の個性がよく出たワインに仕上がっていると思います。地中海のワインらしい、塩味を感じるミネラル感が強く、すっきりとした辛口ながら、厚みや凝縮感を感じます。イカやタコなどの魚介類、コハダなど酢で締めた魚にも合うので鮨(すし)もいける。暑い日本の夏にもぴったりですね。これが、1700円くらいで買えるのですから、見逃す手はない。アメリカやオーストラリアなどの同じ値段のワインと比べたら、明らかにクオリティが高いですね」とも。
ひと昔前に比べて格段にクオリティーが高くなっても、ワイン市場での国際競争力というとまだ高くはないため、価格が低めに抑えられてきるスペインのワインは、いま、まさに買いのワインだ。造り手の名前を知らずとも、国と価格帯で探してみると、意外な掘り出しものに出合える、そんな楽しみがある。ぜひ、週末の一本に選んでみてほしい。
Photograph:Reiko Masutani