腕時計
バーゼルワールド2018 レポート
ブランパン
2018.08.07
年明け1月のSIHH(ジュネーブサロン)に続いて、バーゼルワールドがスイスで3月22日〜27日に開催された。1917年から始まった商品見本市をルーツとして、昨年に100周年を迎えた国際的な時計と宝飾の展示会。多彩な新作が数多く披露された。今年のトレンドは最後にまとめるとして、日本でも人気の高い有力ブランドから注目のモデルをピックアップしていく。
ダイバーズ「フィフティ ファゾムス」でカレンダー搭載モデルが充実
ブランパンは1953年に世界初のモダンダイバーズウォッチ「フィフティ ファゾムス」を発表。「ファゾム」(1.828m)とはヤード・ポンド法の単位で、当時のダイバーの潜水限度が50ファゾムス(91.4m)と考えられていたことから、このネーミングとなった。1956年には、日常使いに適したケースサイズの一般用モデルとして「バチスカーフ」が追加されている。
これらのダイバーズコレクションで、カレンダー機構をアレンジした新作が登場した。まず「フィフティ ファゾムス」では、6時位置に大型の分割式日付表示を搭載した「フィフティ ファゾムス ラージデイト」。これまでは4時位置の小窓だったが、それを2ケタの大きな数字にしており、視認性が大幅に向上した。この日付表示は真夜中に瞬時に切り替わる。自社開発・製造のキャリバー6918Bを搭載しており、主ゼンマイ(動力ゼンマイ)を収めた香箱を3つ搭載したトリプルバレルによって、約5日間のロングパワーリザーブを実現。シリコン製ヒゲゼンマイの採用で耐磁性にも優れている。ダイビングだけでなく日常使いにも便利なモデルだ。
「フィフティ ファゾムス バチスカーフ」では、年に1回(3月1日)だけ調整すれば、ほかの月末は自動送りしてくれるアニュアルカレンダー搭載モデルが新登場した。しかも、曜日、日付、月を3つの小窓としてダイヤル右側にまとめており、視線がまごつくことがない。ツインバレルによって、約3日間のロングパワーリザーブ。こちらも日常使いに便利なモデルだ。
「フィフティ ファゾムス バチスカーフ デイ・デイト70s」も3時位置に曜日と日付を表示する小窓があるが、ネーミングにあるように70年代に発表された独創的なモデルのダイヤルを踏襲。インデックスも、アプライド(植え込み)の長方形のバーとアラビア数字を5分おきに配置したスタイルを復活させている。
ブランパンの最もクラシックなコレクションである「ヴィルレ」でも、ユニークなカレンダーモデルが発表された。5時~6時位置に大型の分割式日付表示があるだけでなく、7時から9時位置にかけて大きな扇形の曜日表示を配置。 指針はMon(月曜)から始まり、Sun(日曜)の午前0時を過ぎれば瞬時にMonに戻るレトログレード式になっている。曜日でこのタイプの表示方式はブランパンでは初という。カレンダーを見るのが毎日の楽しみになる時計だ。
問/ブランパン ブティック銀座 03-6254-7233
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。