旅と暮らし
多くのゲストが訪れる、宮崎県シーガイアの「レタールーム」とは?
2018.08.06
宮崎県にあるフェニックス・シーガイア・リゾートのフラッグシップホテル「シェラトン・グランデ・オーシャンリゾート」には、ホテルには珍しい“レタールーム”という手紙を書くための専用スペースが用意されている。レタールームコンシェルジュが在籍しており、旅先での思い出がより深くなるようなサポートや、手紙を書く楽しさを伝えているという。
レタールームは、「風待ちテラス」という名の宿泊者専用ラウンジのいちばん奥にある。多彩なポストカードに、パーカーの万年筆、ファーバーカステルの色鉛筆や天然ゴムで作られたゴービーのスタンプなど、手紙を書く気持ちが高まる上質なツールが完備。2016年8月1日のオープン以降、1万8000通を超える手紙が投函されてきたというが、その理由はこの空間や設備のほかに、特徴的なポストも要因のひとつかもしれない。英国のアンティーク家具をリメイクしたポストに、「大切なひとへの手紙」「未来への手紙」「あてのない手紙」という、3つの投稿口があるのだ。
「大切なひとへの手紙」と書かれた投函口に入れると、切手代はホテルが負担し郵送してもらえる(海外も可)。「未来への手紙」は、最大20年間、手紙をレタールームに保管してくれるというもの。未来の自分宛や、生まれてくる子どもへメッセージを残すのもいいだろう。そして「あてのない手紙」に投函された手紙は、一定期間レタールームに飾られるそうだ。「大きくなったらまたパパとママとここにきたい」と子どもたちが書いた手紙や、「本当はあなたと一緒に来たかった」といったはかないラブレター、亡くなられた方へ宛てた思いなど、さまざまなストーリーがレタールームに残されている。
レタールームの人気について、レターコンシェルジュの山下茂男さんはこう話す。
「手紙を書いている間はずっと相手のことだけを考えています。ハガキや便せんを選ぶ、万年筆で書くかボールペンで書くかを迷う、手紙を書く前からそれは始まっています。EメールやSNS全盛で一度に多くの人にメッセージを送られる時代に、ひとりの方に伝えるために手紙を書く時間は、とても貴重でぜいたくな時間の使い方だと思います。多くの方がレタールームにお越しになられるのは、そのような“手紙の持つ魅力”を理解していただけたからだと思っています」
旅の思い出や、言葉にできない思いを手紙につづる……、普段なら気恥ずかしく感じてしまうことも、雄大な太平洋沿いの広大な黒松林に囲まれた美しいロケーションを目の当りにしたら、ささいなことに感じてしまうだろう。「シェラトン・グランデ・オーシャンリゾート」には、いま求めている新しい体験が待っているのだ。
Text : AERA STYLE MAGAZINE