カジュアルウェア
ファッション トレンド スナップ28
猛暑対策編。ピッティ流短パンの
スタイリングのポイントは、シャツ選びにあり!!
2018.08.15
大西陽一
日本の最近の猛暑は、地域によってはドバイやリヤドなど中東の国々と変わらない気温になっていたというニュースを聞きましたが、こうなると水分補給も大切ですが体温調整術のひとつとして服装で涼しくするのも大切ですね。
ということで、今回はピッティ期間中に見つけたクールな短パンの着こなしをピックアップしてみました。
まずは、この御仁から。どちらかと言うと短パンのモード系の着こなし例です。御仁の短パンは、イギリス軍由来のグルカパンツをアレンジしたデザイン。特長は、腰回りにタックが入りすそまでがゆったりとしたシルエット。ウェストに革ベルトをしないベルトレス式（アジャスター付き）か、パンツの生地と共地のベルトをつかうのが他の短パンとの違い。グルカパンツは、モード系の方から人気に火がつきピッティでも注目されています。
さてさて、コーディネイトに目を向けましょうか。シャツは、長袖で深いグリーンで胸にポケットが２つ付いていますね。これも実はミリタリーシャツをアレンジしたもの。素材を上質なものにし、ポケットを少し大きめにすることでモード感あふれるシャツに仕上がっています。
着こなしポイントは、シャツをパンツの中に入れていること。それも前は深く入れて横と後ろは浅く入れてシャツをたるませています。このテクニックは、この御仁の様に痩せ気味の方にオススメで、程よく体のラインをカバーするので貧弱に見えません。
靴はなんとグリーンのビットローファー。きっとグッチですね。日本では、短パンにはサンダルやスニーカーなどを合わせるのが一般的ですが、ことピッティにおいてはローファーなどの革靴をあわせる人がほとんど。短パンがカジュアルなので、シャツや靴でキチッと感をプラスしているのです。
ピッティに限らずイタリアでは、夏になると素足に革靴はとても一般的ですが、日本ではやっと認知されてきたかなと言う感じ。10年くらい前に俳優の石田純一さんがやっていたときは、かなり異端視されていたことを思い出しました。日本も徐々にイタリア化しているのですね？！
こちらの御仁も短パンに素足で革靴。短パンの丈がヒザの上にかかるくらいというのは、前に出たモードの御仁と共通しています。個人的には、短パンの丈はこのぐらいが最もバランスが良いと思います。ヒザが隠れてしまう様な場合は、カットして短くするのをお勧めします。
ピッティで短パンを履いている人に共通しているポイントを発見!!
それは短パンのときには、長袖シャツを合わせるということ。短パンにTシャツという方は、ピッティ会場内ではほぼゼロ（私の見る限り）。「長袖を腕まくりしてるんだったら、半袖でもいいんじゃないの？」と思う方もいらっしゃると思いますが、ソデを自分流にまくり上げたりすることで、自己アピールができるのです。それに半袖よりほんのちょっとドレッシー。ファッション関係者にとってピッティは仕事場、重鎮からは「ビーチを歩くような格好で、権威のあるピッティを闊歩するのは不謹慎!!」と白い目でみられてしまいますから……。
この御仁のこのシャツはよくよく見るとかなりこだわりがありました。素材は麻でソデをまくり上げるとフラップが出て固定できるのです。こうしたディテールは、サファリシャツによくあったものです。シャツのすそを出していますが、すその丈がドレスシャツのように長くないので短パンとの相性もピッタリ。
やはり短パンがシンプルな分、シャツの素材やディテールなどで盛らないと大人の短パンスタイルは完成しないのです。
最後は日本では全く馴染みのない短パンコーディネイトを。このひげの御仁は、スリーピーススーツの短パンバージョン。手にジャケットを持っていますよね！ 実はイタリアのファッション関係者には、ジャケットに短パンをあわせる人がそこそこいるのです。
もしかすると石田純一さんの革靴素足履きの様に、数10年後には短パン＆ジャケットのクールビズスタイルが日本に根付くかも？
流石にこれは無いかな……。
プロフィル
大西陽一（おおにし・よういち）
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに通い、日本人でもまねできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こなしを求めたトレンドウオッチを続ける。
Photograph & Text:Yoichi Onishi
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