接待と手土産

「あえてクラシカル」という選択
[秘書課の御推奨手みやげ]

2018.08.28

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今回の手みやげマスター・共同ピーアールの武井真帆さんには心に残る手みやげがある。それは〝バナナ〟と〝バナナハンガー〟。

「以前の職場でのことなのですが、出向してきた本部長を出向元の男性2人が訪ねてきたんです。彼らの手みやげがバナナ。びっくりするくらい大きく30房以上はあったでしょうか。そして、それを掛けるハンガーはバナナが大きすぎて使えませんでした(笑)」

彼らは「(本部長を)よろしくお願いします」と言い「皆さんでどうぞ!」とくだんのブツを置いたという。その迫力とユーモアに、武井さんは本部長がどれだけ出向元で愛されていたかを知った。

手みやげはかくも雄弁だ。印象に残れば残るほど、饒舌(じょうぜつ)になる。この方程式は、現在、武井さんの手みやげ選びの大切な要素のひとつになっている。印象に残るためには、「見た目」や「おいしさ」はもちろん、「ストーリー」が大切だ。

「弊社は50年近く本社を銀座に置く会社。それを印象に残していただきたいと、できるだけ銀座のお店のものを選んでいます」

誰が何を手みやげにするか──それはそれぞれの個性を浮き彫りにする。だから、武井さんは「新しい店の話題の品もいい」と前置きしつつ「奇をてらわず、あえてクラシカルな本物を選ぶ」と言う。

「銀座という街のブランドがもつイメージを弊社と重ね合わせていただけたらと」

たとえば「五代庵GINZA」の『紀州五代梅の心』は、木箱入り。気の利いた夏場の手土産と老舗の品のよさを兼ね備えた逸品だ。京都のものではあるが、品のよさという共通項がある「ヨネムラ・ザ・ストア」の『トリュフクッキー』はその香りの高さがエレガント。「SIKIRO NEW YORK 銀座店」の「ボックスアレンジメント」には、銀座のセンスが光る。そのほかにも「空也のもなか」「銀座甘楽の生菓子」「資生堂パーラーのプティフール セック」など、武井さんの手みやげリストを見ると、〝銀座はやはり本物だ〟と再確認ができる。

「話題のものを求めようと3 時間並んだとしても、先さまが望まず内輪受けになってしまう場合もあります。それよりも面白みには欠けるかもしれませんが、『あぁ、あそこのあの商品』と思っていただける、記憶に残るものを」

最後は、手みやげに語らせようとするあまり、独りよがりに陥ってしまいがちな手みやげ初心者にアドバイスをくれた。肝に銘じるのは「先さまあっての手みやげ」。

1.写真上:蘭が華やかさを演出する同系色でまとめたフラワーボックス。¥5,000~/SIKIRO NEW YORK 銀座店 03-6264-5616
2.写真中:肉厚な果肉が自慢の紀州五代梅をひとつひとつ包装。贈り物にぴったりな木箱に詰めたセット。紀州五代梅の心 10粒木箱 ¥3,200/五代庵 0120-12-5310
3.写真下:トリュフの香り立ちが抜群でシャンパンやワインとの相性もよし。サマートリュフクッキー ¥6,800(税込)/ヨネムラ・ザ・ストア 03-6262-3151 

Photograph:Mitsuru Kugue[still]、Akina Okada[model]
Text:Sachiko Ikeno

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