旅と暮らし
ビジネスマンに効く日本茶の楽しみ方
2018.10.29
今夏、日本茶のバイリンガル本を上梓した日本茶伝道師、ブレケル・オスカル氏。働く男に効く、日本茶の魅力を聞いた。
「起きて最初にすることはケトルのスイッチをつけること。急須でお茶をいれるのが、毎朝の習慣です」と語るブレケル・オスカル氏。スウェーデン出身の日本茶伝道師だ。高校時代に世界史の授業で日本の近代化に興味をもち、茶室文化に出合う。日本茶の世界に開眼したきっかけだ。
「コーヒーの世界にはバリスタ、ワインの世界にはソムリエ。その道のプロフェッショナルがいる。日本茶の世界のプロフェッショナルになりたかったんです」
根っからの日本茶オタクである。 2014年に日本茶インストラクターの資格を取得した後、日本茶の世界に入り込むため、静岡で1年間、修行の日々を過ごした。それも、日本茶が好き、日本茶の魅力を世界中に発信したいという、強い思いがあったからだと言う。
この夏に発売された著書は、日英バイリンガルで書かれた、彼にとって念願の一冊となった。
「数えてみたら、昨年アメリカやヨーロッパ出張が多く4分の1も海外で過ごしていました。ここ2、3年で日本茶が世界中から注目されているのを実感しています」
国内外問わず世界中を飛び回る彼にとって、日本茶は仕事のパフォーマンスを高めてくれるとも話す。
「仕事で行き詰まったとき、ストレスを感じるときなど、ビジネスマンの方なら一日1回はありますよね。そんなとき、お茶をいれて、飲んで、ホッとしてみてほしいんです。日本茶は、旨み、甘み、渋み、苦みのバランスで味が決まる。70〜80℃のお湯を使って静かに注ぐことが雑味が出ないお茶をいれるコツですが、この行為が頭をリセットしてくれるし、心を落ち着かせるひとときになるんです」
マインドフルネスにも近い、日本茶を楽しむという行為。仕事への士気を高める日本茶の効能を、多忙なビジネスマンこそ今一度再確認してみてはどうだろう。
Oscar Brekell(ブレケル・オスカル) スウェーデン生まれ。ルンド大学日本語学科卒業後、日本企業に就職しながら日本茶インストラクターの資格を取得。現在は国内外でのお茶の講座やセミナーなどを開催。近著に『ブレケル・オスカルのバイリンガル日本茶BOOK』(淡交社刊)など。
Photograph:Reiko Masutani
Text:AERA STYLE MAGAZINE