旅と暮らし

クラシックギターで紡ぐ『シネマ』の世界
村治佳織インタビュー

2018.11.06

クラシックギターで紡ぐ『シネマ』の世界<br>村治佳織インタビュー

デビュー25年、世界的なクラシックレーベル〝デッカ〟専属契約15年という節目の年に、映画音楽を集めた『シネマ』を発売する村治佳織。アルバムへの思いとは──。

「ピアノ・レッスン」「カサブランカ」「禁じられた遊び」「ゴッドファーザー」──村治さんのニューアルバム『シネマ』に収録された18曲は、映画ファンはもちろん、そうでなくとも一度は耳にしたことがあるラインナップだ。「映画音楽って、クラシックギターに合うんだな」と、改めて思う。

デビュー25周年というメモリアルなアルバムゆえ、村治さん&ギターファンならずとも聴きたくなるものを、と企画は進められた。

「プロデューサーが提案してくれた『映画音楽』は、その意図にぴったりだと思いました。どうしてでしょう、映画音楽って、どこか〝懐かしさ〟も感じます」

18曲のうち12曲が今作のために新アレンジされたもの。楽曲が持つ魅力と編曲者の世界観がクロスオーバーし、パズルのように組み合わさり、ひとつの景色を作った。

「日本とイギリスのチームでいろいろと意見を出し合いました。良いスタッフに恵まれて皆で作り上げ、満足感が込み上げます」

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録音は、4日間をかけて4台のギターを使って行われた。所有ギター14台のうち愛着あるものばかりを選んだが、特筆すべきは150年近く前の超オールドギター。通常、クラシックギターの花の時期は20〜30年で終わってしまうなか、大切に保存されたギターを使ってみたいと考えた。

「最初は2曲くらいの演奏を考えていたのですが、音を聴いたプロデューサーが気に入って、結局10曲をこのギターで演奏しています」

どの曲がオールドギターで奏でられているかは、あえて伏せ、読者の楽しみに取っておこう。

「アルバムを作り終えて、改めて『あぁ、ギターはいい楽器だなぁ』と実感しました」と言う村治さん。筆者個人的には「秋の夜」にゆったりと聴くことをおすすめしたい。

村治佳織(むらじかおり)/1978年生まれ。3歳からギターを始め数々の音楽賞を受賞。2003年より英国の名門クラシックレーベルDECCAと契約。デビュー25周年記念アルバム『シネマ』が9月19日に発売された。「アルバムを聴きながらご自身の人生も感じていただけるとうれしいです」

Photograph:Reiko Masutani
Text:Sachiko Ikeno

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