旅と暮らし
ブルガリが上海につくったホテルは、
ベッドの寝心地が天国のようだった!
2019.01.25

Bvlgari Hotel Shanghai
ブルガリ ホテル 上海/中国 上海
初めての「ブルガリ ホテル」に、じわじわと魅せられた
先月スペインに行った際に、「大石さんは世界中のベッドの寝心地をリサーチする仕事をしているんですよね?」と現地在住の方に言われたが、あながち間違ってはいない。
数えてみたら、2018年は海外で60ものホテルに泊まっていた。そのなかで衝撃の寝心地だったのが、「ブルガリ ホテル 上海」だ。そこで、今回はこのホテルについて紹介したい。

イタリアの老舗ジュエラーであるブルガリといえば、その世界観を伝えるべく、ミラノやバリ、ドバイに最高級ホテルを展開している。そんなブルガリが2018年6月に最新のホテルを上海にオープンした。
場所はリバーサイドの歴史保護区域内にある旧上海商工会議所と隣接する48階建てのタワー内。最上部9フロアと地下1階から3フロアが「ブルガリ ホテル 上海」だ。
ブルガリの商品はひとつももっていない。ただ、「卓越したエレガンス」という文章や広告を何度か見ていて、「卓越したエレガンスとはなんぞや?」と、その言葉がずっと頭に残っていた。それが、ホテルに泊まってみてどういうことか分かった気がする。


レセプションでカードキーを受け取り、部屋に入る。正直なところ、ここまでは何かに圧倒されるということはなかった。それが、じわじわとブルガリというブランド自体が好きになるほどの素晴らしさを感じてしまった。
張り切ったことが透けて見えるデザインではない。1916年に建てられた旧上海商工会議所のクラシックなたたずまいと調和がとれるよう、静かかつ気品高いものに仕上がっている。
例えばインテリアに使われている茶色の色みや、木材の質感ひとつとっても洗練されているのだ。自分の美意識までも上がり、「ネイルや髪をきちんとせねば!」という気持ちになってくる。
客室のテレビ、エレベーター内のモニター、バー&ダイニングの壁にはこれまでブルガリのジュエリーを身につけた美女が映され、ほれぼれする。見事なまでに、みんなブルガリをつけこなして、美しいだけでなく強さも感じた。
客室のムービーにはブルガリのアンバサダーを務めるベラ・ハディッドが映されていた。 1963年のイギリス映画『予期せぬ出来事』でブルガリのジュエリーをつけるエリザベス・テイラー。 バーの壁にかけられていた写真の女性は、ひときわ鮮やかなスタイリングだった。
ここのスパ&プールはうっとりする!
2000㎡もの広さを誇るスパへ行けば、そこは大都会上海のなかで時間が止まったような優雅な空間。緑と茶色の大理石や金のタイルが使用され、プールサイドには南国の植物が並ぶ。邪魔な色や模様がひとつもなく、目に映るものすべてがきれいだった。
カバナがついてプライベート感もある、プールサイドのデイベッド。 王宮のお風呂のような美しいジャグジー! ウッドのほうはドライサウナ、大理石の中はスチームサウナ。休むスペースのタイル製デイベッドがしゃれていた。
できれば、このスパ&プールで3時間は過ごしたい。こういうホテルには、時間を忘れられるくらいの余裕をもって泊まりたいものだ。今回は友人と1泊だけだったけれど、いつか3泊できるくらいの経済的余裕をつくりたい。サウナに入りながら、そう思った。
バーからベッドへ。秒速で眠りに落ちた夜
そして夜は、きらびやかな外灘(バンド)の夜景を眺められる47階のバーへ。このバーに行ったら、夜景を見渡すテラス席がベスト! それは知っていたが、10月初旬の夜、テラス席はすでに満席だった(泣)。やっぱり、誰もが座りたい絶景スポットなのだ。
夜景を眺められる側はもちろんいいが、壁の写真を眺めるカウンターもいい雰囲気。
ホテルのバーに行く前に、外で食事をとりながらお酒を飲み、その後、ほかのバーでカクテルを2杯ずつ飲んでいた。そのため、ホテルに戻ったときには旅の疲れもあってうとうとしていたが、シグネチャーカクテルをオーダー。このカクテルが美味かつパンチがあり、もう即寝寸前。
そこにきてくだんのベッドである。横になれば、これまで泊まったホテルのベッドのなかで1位を争う気持ちよさ。ベッドの中に滑り込んだ瞬間に、ふんわりとした雲に全身を包まれたかのようになり、マットレスが心地よく沈む。あんなに柔らかなものに覆われたのは初めてだ。いつもは柔らかいベッドが苦手なのに、完全に覆された。

さらに、シーツは肌と一体化するような滑らかさで、明らかに密度が高く上質なコットンを使用している。
隣の友人を見ると、ベッドに入り、本当に5秒で寝ていた。私は、もう少し起きたままこの気持ちよさを感じていたかったが、無理だった。
翌日のチェックアウト直前、名残おしい気持ちで、もう一度ベッドに入った。「まずい、このままではまた眠りに落ちてしまう」とアラームをかけ、最後の10分間をベッドで過ごした。
次に上海にいつ行くか分からないが、あのマシュマロベッドでもう一度眠りに落ちることを夢見ている。気持ちよさとエレガンスがそこにはあった。
当然ながら、シャンプーや石けんなどのアメニティはすべてブルガリ。 朝食は、Roma、NY、Workshop、Shanghai、Bvlgariの5種のコースがある。写真はお粥がメインのShanghai(小籠包は3つ入りだがひとつ撮影前に食べてしまった)。¥33,000(税込)のBvlgariではドン・ペリニヨンやキャビア、ロブスターオムレツなどが提供される。
外灘(バンド)の景色を眺めるテラス。夜はバーとして営業していて、ここに座りたかった。 隣にある旧上海商工会議所の美しい階段。
「BVLGARI HOTEL SHANGHAI」
https://www.bulgarihotels.com/ja_JP/shanghai
+86-21-3606-7788
宿泊料金:1泊 ¥62,000~(季節により変動)
プロフィル
大石智子(おおいし・ともこ)
出版社勤務後フリーランス・ライターとなる。男性誌を中心にホテル、飲食、インタビュー記事を執筆。ホテル&レストランリサーチのため、年に10回は海外に渡航。タイ、スペイン、南米に行く頻度が高い。最近のお気に入りホテルはバルセロナの「COTTON HOUSE HOTEL」。Instagramでも海外情報を発信中。