旅と暮らし

すべて実食! 自慢の手土産。#16
「亀十」のどら焼き

2019.01.28

写真・図版

昔ながらの手作りの温かさと、
上品でモダンな味わいを持つ和菓子の定番。

はじめて「亀十」のどら焼きに出合ったのは数年前、とあるデパートの地下の食品売り場。ほんの小さなコーナーにもかかわらず、その周囲をぐるりと囲む人の列に誘われて、飛ぶように売れているどら焼きを買って帰った。それ以来、ちょっと遠出にはなるが、機会があれば浅草の本店まで足を運び、筆者の手土産の定番として大活躍している。もちろんそのたびに必ず自分の分も購入するのだ。

数ある和菓子のなかでも「どら焼き」は定番中の定番。なかでも亀十のどら焼きは、東京三大どら焼きのひとつと言われる大人気商品だ。創業は大正末期で、浅草雷門で約90年営業を続ける老舗中の老舗だ。年に数回、デパートなどの特設会場に出店することはあるが、それ以外で購入できるのは今もここだけ。もちろん常に長蛇の列で、店先は活気に満ちている。

あえて焼きムラをつけた皮は、柔らかでふわふわとしてパンケーキのよう。直球の和菓子というよりモダンな味わいなのだ。たっぷり挟まった自家製の餡(あん)は2種類あり、北海道十勝産の小豆をふっくらと炊き上げた黒あんと、手亡豆(てぼうまめ)を使ったクリーミーな白あん。どちらもしっとりとして上品な甘さが、空気をたっぷりと含んだ独得のふんわり生地ととにかくよく合う。

店の奥の作業場では、職人が一枚一枚皮を焼き上げ、餡を詰める。長年経験を積んだ職人にしかできない伝統の技だ。ほとんどの工程が手作りで、一日の販売数はおよそ3000個。昔ながらのどら焼きらしいルックスに手作りの温かさが感じられる。特に指定しなければ亀の甲羅の模様の書かれた袋に詰められるが、箱入りでの購入も可能。味のある袋入りはプライベートにはよいが、ビジネスシーンには”きちんと感”のある箱入りがおすすめだ。

普段のテリトリーからは少し距離があるうえに、長蛇の列、購入するには時間も手間もかかるが、また贈りたくなる亀十のどらやき。自分が食べたいときに出向く言い訳のような気がしないでもないが、贈るときには、つい自慢したくなり、大げさに言えば誇りのようなものを感じるのだ。自分の好きなものを、相手の喜ぶ顔を想像しながら贈る。そんな手土産の基本中の基本をまっとうさせてくれるのだ。

伝統の技と手作りの温かさ、そして上品でモダンな味わいのどら焼き。手土産として贈るだけではなく、そのおいしさはぜひ自分の舌でも確かめてほしい。筆者のまわりでも亀十ファンがじわじわと増殖中なのだ。

写真・図版

亀十(かめじゅう)
東京都台東区雷門2-18-11
営業時間/10:00~19:00
定休日/不定休(月1回程度)
価格/どら焼き(黒あん・白あん)各360円 ※価格は税込み
問/03-3841-2210

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Photograph:Hiroyuki Matsuzaki(INTO THE LIGHT)
Styling:Keiko Katanozaka
Edit & Text:Mayo Morino

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