紳士の雑学
これで差がつく! スーツを綺麗に保つブラシがけの方法とブラシの選び方
2019.02.06
天然のウールを使用したスーツは、生地自体が生き物と言えます。ちゃんとした手入れをすることで息をし、本来の艶と機能性を維持することができます。今回は日常のケアでぜひ取り入れたいブラッシングについて紹介します。
なぜスーツはブラッシングが必要? そのメリットは?
スーツの機能を支えるのは天然のウール素材ならではの通気性や発汗性。 ただ生地が汚れで目詰まりすると、毛本来の特長が発揮しにくくなり、繊維の傷みの原因となります。こうした汚れを防ぐのに効果的なのが天然毛のブラシ。ブラシでホコリやチリを掻き出すことで、生地が息を吹き返し、本来の風合いを取り戻します。また繊維の流れを整えることで、テカリの防止にも。
ブラッシングをしないと汚れはたまって雑菌となり、カビや臭いの元になります。定期的に行うことにより、結果的にスーツは長持ちするので経済的です。
スーツを傷めない、正しいブラシの選び方
生地を傷めないためには天然毛がベスト。特に毛が長く、程よく弾力のあるものが適しています。素材には主に馬と豚がありますが、前者は柔らかく、後者は硬めという特徴があります。タグを確認し、カシミアが入ったもの、またウールでも目が細かいものは馬毛、化繊との混紡やツイードのような粗目であれば豚毛と使い分けましょう。
ただしさっとかけた時、引っかかりを感じるたら、毛の引っかかりが出ている可能性があります。そのまま使い続けているとスーツを傷めるので控えてください。
靴用のブラシを併用することは論外ですが、未使用の靴用ブラシも使わないほうが無難です。毛の長さ、硬さや植え込み方が服用と異なるので、効果がないばかりか、生地へのダメージとなります。
スーツを長持ちさせる正しいブラッシング
ブラッシングはコツをおぼえれば特に難しくありません。毛が生地に垂直にあたるようにし、最初は下から上へかけてホコリを浮かせてください。次に上から下へ浮き上がったホコリを落とすようにブラッシング。力を入れすぎないように、やさしくリズミカルにかけるのはコツです。ジャケットであれば、まずは袖、前身頃から。
次にラペルの表と裏をかけます。特に裏はホコリがたまりやすいので、必ず襟まで立てて掻き出すようにしてください。
次に腰のポケット。特にフラップがついたものは、こちらも裏返してかけることを忘れずに。小物を入れるのであれば、裏地を引き出して底の縫い目にもかけましょう。
最後に背中全体をかけて終了です。
その他、気を付けておきたいこと
スーツは1日着ただけでも汚れがたまります。理想を言えば毎日かけるのが理想ですが、できれば3回に1回はケアしたいもの。長い目で見れば、確実に違いが出てきます。
また、ブラシ自体のメンテナンスも定期的行うようにしましょう。ブラシに汚れがたまると逆効果。逆にスーツを汚すことになります。毛の根本にたまったホコリを目の粗い櫛で梳かしてとったり、ぬるま湯で洗ったりしてください。洗った後は充分に乾燥させてから使うことを忘れずに。
まとめ
簡易的な汚れ取りテープや粘着シートでは、生地の奥にまで入った汚れは取り切れません。効果的なのはブラッシング。最低でもひとつはそろえ、大切なスーツをケアしてあげてください。長い目で見れば、確実に違いが出てきます。
①スーツの生地は生きている。適切なブラッシングでコンディションをキープ
②ブラシは素材に合った天然素材が最適。ホコリを取り、風合いを蘇らせる。
③かける順番は下から上で、次に上から下へ。ポケットも念入りに。
Photograph:Tomoka Tanaka(kiitos)
Styling:Yukihiro Yoshida
Text:Mitsuhide Sako(KATANA)